名古屋大学 1981年 理系 第2問 解説

方針・初手
点 $P$ の座標を $(X, Y)$ と設定し、条件を満たす直線 $l$ の方程式を文字を用いて表すことから始めます。
曲線 $y=x^2$ と直線が囲む図形の面積を扱うため、直線の式を $y=mx+n$ とおき、曲線と直線が異なる2点で交わる条件を立式します。その後、いわゆる「 $\frac{1}{6}$ 公式」を用いて面積の条件を解と係数の関係に結びつけます。
最後に、題意を満たす直線 $l$ が「存在する」という条件を、傾き $m$ が実数として存在するための条件に帰着(逆像法)させて領域を求めます。
解法1
点 $P$ の座標を $(X, Y)$ とおく。
直線 $l$ が $y$ 軸と平行な直線( $x=k$ )であるとき、曲線 $y=x^2$ とは1点でしか交わらず、囲まれた部分は存在しないため面積は $0$ となり不適である。 したがって、直線 $l$ は $y$ 軸と平行ではなく、その方程式を $y=mx+n$ とおくことができる。
直線 $l$ は点 $P(X, Y)$ を通るから、
$$ Y = mX + n $$
$$ n = Y - mX $$
が成り立つ。 直線 $l$ と曲線 $y=x^2$ が異なる2点で交わるための条件を考える。 連立させた方程式
$$ x^2 = mx + n $$
$$ x^2 - mx - n = 0 $$
が異なる2つの実数解をもてばよい。この2次方程式の判別式を $D$ とすると、
$$ D = m^2 + 4n > 0 $$
である。 このとき、方程式の2つの実数解を $\alpha, \beta$ ( $\alpha < \beta$ )とすると、解と係数の関係より以下の式が成り立つ。
$$ \alpha + \beta = m $$
$$ \alpha\beta = -n $$
直線 $l$ と曲線 $y=x^2$ で囲まれた部分の面積 $S$ は、
$$ \begin{aligned} S &= \int_{\alpha}^{\beta} \left\{ (mx+n) - x^2 \right\} dx \\ &= -\int_{\alpha}^{\beta} (x-\alpha)(x-\beta) dx \\ &= \frac{1}{6}(\beta-\alpha)^3 \end{aligned} $$
となる。条件よりこの面積が $\frac{1}{6}$ であるから、
$$ \frac{1}{6}(\beta-\alpha)^3 = \frac{1}{6} $$
$$ (\beta-\alpha)^3 = 1 $$
$\alpha, \beta$ は実数であるから、
$$ \beta - \alpha = 1 $$
両辺を2乗して、解と係数の関係を代入する。
$$ (\beta - \alpha)^2 = 1 $$
$$ (\alpha + \beta)^2 - 4\alpha\beta = 1 $$
$$ m^2 + 4n = 1 $$
このとき、$D = m^2 + 4n = 1 > 0$ を満たしており、直線と曲線が異なる2点で交わる条件は満たされている。
この関係式に $n = Y - mX$ を代入する。
$$ m^2 + 4(Y - mX) = 1 $$
$$ m^2 - 4Xm + 4Y - 1 = 0 $$
条件を満たす直線 $l$ が存在することは、上の $m$ についての2次方程式が実数解をもつことと同値である。 この2次方程式の判別式を $D'$ とすると、$D' \geqq 0$ となればよい。
$$ \frac{D'}{4} = (-2X)^2 - 1 \cdot (4Y - 1) \geqq 0 $$
$$ 4X^2 - 4Y + 1 \geqq 0 $$
$$ 4Y \leqq 4X^2 + 1 $$
$$ Y \leqq X^2 + \frac{1}{4} $$
以上より、点 $P(X, Y)$ の満たすべき条件が求まったので、$X, Y$ をそれぞれ $x, y$ に置き換えることで求める集合の不等式が得られる。
解説
2次関数と直線で囲まれた面積の計算において必須となる $\frac{1}{6}$ 公式を適切に用いることができるかを問う標準的な問題です。面積の条件から交点の $x$ 座標の差が定まるため、解と係数の関係を利用して直線の方程式の係数に関する条件式を導き出します。
また、本問のもう一つの主題は「存在条件(逆像法)」の処理です。「条件を満たす直線 $l$ が存在する」という文言を、「直線の傾き $m$ の実数方程式が解をもつ」という数学的な条件に正しく言い換えられるかが、この問題を完答するための最大の鍵となります。
答え
求める点 $P$ 全体の集合は、不等式
$$ y \leqq x^2 + \frac{1}{4} $$
を満たす領域である。 これを図示すると、放物線 $y = x^2 + \frac{1}{4}$ の下側の領域となる。(境界線を含む)
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