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名古屋大学 1983年 理系 第3問 解説

数学2/図形と式数学2/微分法数学2/積分法テーマ/最大・最小テーマ/面積・体積
名古屋大学 1983年 理系 第3問 解説

方針・初手

曲線上の動点 $\text{P}$ の座標を変数を用いて設定し、定点 $\text{A}$ との距離の2乗をその関数の最小値問題として帰着させる。今回は $y = x^2$ であるため、$x$ 座標を $t$ とおくと距離の2乗は $t^2$ の2次関数として扱うことができる。定義域に注意しながら平方完成を行い、軸の位置による場合分けを行う。 後半の面積については、求めた点 $\text{P}$ を用いて円の方程式を確定させ、定積分を計算する。円の式を含む定積分は、置換積分を用いるか、図形(扇形や三角形)の面積の一部として幾何学的に処理する。

解法1

曲線 $y = x^2 \ (x \geqq 0)$ 上の点 $\text{P}$ の座標を $(t, t^2)$ (ただし $t \geqq 0$)とおく。

点 $\text{A}(0, a)$ と点 $\text{P}$ の距離の2乗 $\text{AP}^2$ は、

$$\text{AP}^2 = t^2 + (t^2 - a)^2 = t^4 + (1 - 2a)t^2 + a^2$$

と表される。ここで $X = t^2$ とおくと、$t \geqq 0$ より $X \geqq 0$ である。$\text{AP}^2$ を $X$ の関数とみて $f(X)$ とすると、

$$f(X) = X^2 + (1 - 2a)X + a^2$$

これを平方完成すると、

$$f(X) = \left( X - \frac{2a - 1}{2} \right)^2 + a^2 - \frac{(2a - 1)^2}{4} = \left( X - \frac{2a - 1}{2} \right)^2 + \frac{4a - 1}{4}$$

となる。この $X$ についての2次関数は下に凸であり、軸は $X = \frac{2a - 1}{2} = a - \frac{1}{2}$ である。$X \geqq 0$ における最小値を、軸の位置で場合分けして調べる。

(i) 軸が $X \leqq 0$ にあるとき、すなわち $a - \frac{1}{2} \leqq 0 \iff a \leqq \frac{1}{2}$ のとき

$X \geqq 0$ の範囲において $f(X)$ は単調に増加する。したがって、$f(X)$ は $X = 0$ のとき最小となる。

このとき $t^2 = 0$ であり、$t \geqq 0$ より $t = 0$ である。よって、求める点 $\text{P}$ の座標は $(0, 0)$ である。

(ii) 軸が $X > 0$ にあるとき、すなわち $a - \frac{1}{2} > 0 \iff a > \frac{1}{2}$ のとき

$f(X)$ は頂点である $X = a - \frac{1}{2}$ のとき最小となる。

このとき $t^2 = a - \frac{1}{2}$ であり、$t \geqq 0$ より $t = \sqrt{a - \frac{1}{2}}$ である。よって、求める点 $\text{P}$ の座標は $\left( \sqrt{a - \frac{1}{2}}, a - \frac{1}{2} \right)$ である。

次に、$a = \frac{3}{4}$ のときを考える。

$a > \frac{1}{2}$ を満たすため、(ii) の結果より点 $\text{P}$ の座標は、

$$\left( \sqrt{\frac{3}{4} - \frac{1}{2}}, \frac{3}{4} - \frac{1}{2} \right) = \left( \frac{1}{2}, \frac{1}{4} \right)$$

となる。また、点 $\text{A}$ は $\left(0, \frac{3}{4}\right)$ であり、円の半径 $\text{AP}$ の2乗は、

$$\text{AP}^2 = \left( \frac{1}{2} - 0 \right)^2 + \left( \frac{1}{4} - \frac{3}{4} \right)^2 = \frac{1}{4} + \frac{1}{4} = \frac{1}{2}$$

である。よって、点 $\text{A}$ を中心とする半径 $\text{AP}$ の円の方程式は、

$$x^2 + \left( y - \frac{3}{4} \right)^2 = \frac{1}{2}$$

となる。この円と曲線 $y = x^2$ および $y$ 軸で囲まれる部分の面積 $S$ を求める。

区間 $0 \leqq x < \frac{1}{2}$ における円と放物線の上下関係を調べる。円の下側の弧の方程式は $y = \frac{3}{4} - \sqrt{\frac{1}{2} - x^2}$ であり、これと放物線 $y = x^2$ の差をとると、

$$\frac{3}{4} - \sqrt{\frac{1}{2} - x^2} - x^2 = \left( \frac{3}{4} - x^2 \right) - \sqrt{\frac{1}{2} - x^2}$$

$0 \leqq x < \frac{1}{2}$ において $\frac{3}{4} - x^2 > 0$ であるから、両項の2乗の差を比較すると、

$$\left( \frac{3}{4} - x^2 \right)^2 - \left( \frac{1}{2} - x^2 \right) = \frac{9}{16} - \frac{3}{2}x^2 + x^4 - \frac{1}{2} + x^2 = x^4 - \frac{1}{2}x^2 + \frac{1}{16} = \left( x^2 - \frac{1}{4} \right)^2 > 0$$

したがって、この区間では常に円の下側の弧が放物線より上にある。よって求める面積 $S$ は、

$$S = \int_{0}^{\frac{1}{2}} \left\{ \left( \frac{3}{4} - \sqrt{\frac{1}{2} - x^2} \right) - x^2 \right\} dx$$

$$S = \int_{0}^{\frac{1}{2}} \left( \frac{3}{4} - x^2 \right) dx - \int_{0}^{\frac{1}{2}} \sqrt{\frac{1}{2} - x^2} dx$$

ここで、第1項の定積分は、

$$\int_{0}^{\frac{1}{2}} \left( \frac{3}{4} - x^2 \right) dx = \left[ \frac{3}{4}x - \frac{x^3}{3} \right]_{0}^{\frac{1}{2}} = \frac{3}{8} - \frac{1}{24} = \frac{1}{3}$$

第2項の定積分 $\int_{0}^{\frac{1}{2}} \sqrt{\frac{1}{2} - x^2} dx$ は、中心が原点、半径が $\frac{1}{\sqrt{2}}$ の円 $x^2 + y^2 = \frac{1}{2}$ と、$x$ 軸、$y$ 軸、直線 $x = \frac{1}{2}$ で囲まれた第1象限の図形の面積を表す。

この図形上の点は $x = \frac{1}{2}$ のとき $y = \frac{1}{2}$ となるため、中心角 $\frac{\pi}{4}$ の扇形と、底辺 $\frac{1}{2}$・高さ $\frac{1}{2}$ の直角三角形に分割して面積を求めることができる。よって、

$$\int_{0}^{\frac{1}{2}} \sqrt{\frac{1}{2} - x^2} dx = \frac{1}{2} \cdot \left(\frac{1}{\sqrt{2}}\right)^2 \cdot \frac{\pi}{4} + \frac{1}{2} \cdot \frac{1}{2} \cdot \frac{1}{2} = \frac{\pi}{16} + \frac{1}{8}$$

以上より、面積 $S$ は、

$$S = \frac{1}{3} - \left( \frac{\pi}{16} + \frac{1}{8} \right) = \frac{5}{24} - \frac{\pi}{16}$$

解説

点と曲線の距離の最小値問題は、直接微積分を用いる方法もありますが、今回のように距離の2乗を立式することで、変数の置き換えによるシンプルな2次関数の最小値問題に帰着させることが定石です。その際、置換した変数の定義域(今回は $X \geqq 0$)に対する軸の位置関係での場合分けが必須となります。

後半の面積計算では、円の式が含まれる定積分をまともに計算する( $x = \frac{1}{\sqrt{2}}\sin\theta$ などの置換積分を用いる)ことも可能ですが、円の一部であることを利用し、扇形や直角三角形の面積の和・差として図形的に処理すると、計算ミスを防ぎやすく時間短縮にもつながります。また、点 $\text{P}$ が最短距離の点であることから、点 $\text{P}$ において円と放物線が接している(共通の接線を持つ)という幾何学的な意味合いも背景にあります。

答え

点 $\text{P}$ の座標: $a \leqq \frac{1}{2}$ のとき $(0, 0)$ $a > \frac{1}{2}$ のとき $\left( \sqrt{a - \frac{1}{2}}, a - \frac{1}{2} \right)$

面積: $\frac{5}{24} - \frac{\pi}{16}$

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