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名古屋大学 1983年 理系 第4問 解説

数学2/三角関数数学2/微分法テーマ/最大・最小テーマ/存在証明
名古屋大学 1983年 理系 第4問 解説

方針・初手

与えられた条件は、方程式 $\sin x = ax + b$ が任意の定数 $b$ に対して実数解をただ1つもつことと同値である。 この方程式を $\sin x - ax = b$ と変形し、関数 $f(x) = \sin x - ax$ を考える。 任意の実数 $b$ に対して $y = f(x)$ のグラフと直線 $y = b$ がただ1つの交点をもつためには、関数 $f(x)$ が実数全体で単調増加かつその値域が実数全体であるか、または実数全体で単調減少かつその値域が実数全体であることが必要十分条件となる。

解法1

方程式 $\sin x = ax + b$ を変形して、

$$ \sin x - ax = b $$

とする。 関数 $f(x) = \sin x - ax$ とおくと、題意をみたす条件は、任意の実数 $b$ に対して $y = f(x)$ と $y = b$ がただ1つの交点をもつことである。 $f(x)$ を $x$ で微分すると、

$$ f'(x) = \cos x - a $$

となる。 関数 $f(x)$ が単調増加または単調減少となるための $a$ の条件を調べる。

(i) $a \ge 1$ のとき

任意の $x$ に対して $\cos x \le 1$ であるから、

$$ f'(x) = \cos x - a \le 1 - a \le 0 $$

となる。 $f'(x) = 0$ となるのは、$a = 1$ かつ $\cos x = 1$ のとき、すなわち $x = 2n\pi$ ($n$ は整数) のときに限られる。 導関数 $f'(x)$ が $0$ となる点が離散的であるため、$f(x)$ は実数全体で単調減少する。 また、$-1 \le \sin x \le 1$ より、

$$ \lim_{x \to \infty} f(x) = -\infty, \quad \lim_{x \to -\infty} f(x) = \infty $$

となるため、$f(x)$ の値域は実数全体である。 したがって、任意の $b$ に対して交点はただ1つとなり、条件をみたす。

(ii) $a \le -1$ のとき

任意の $x$ に対して $\cos x \ge -1$ であるから、

$$ f'(x) = \cos x - a \ge -1 - a \ge 0 $$

となる。 $f'(x) = 0$ となるのは、$a = -1$ かつ $\cos x = -1$ のとき、すなわち $x = (2n+1)\pi$ ($n$ は整数) のときに限られる。 導関数 $f'(x)$ が $0$ となる点が離散的であるため、$f(x)$ は実数全体で単調増加する。 また、$-1 \le \sin x \le 1$ より、

$$ \lim_{x \to \infty} f(x) = \infty, \quad \lim_{x \to -\infty} f(x) = -\infty $$

となるため、$f(x)$ の値域は実数全体である。 したがって、任意の $b$ に対して交点はただ1つとなり、条件をみたす。

(iii) $-1 < a < 1$ のとき

$f'(x) = \cos x - a$ であり、$-1 < a < 1$ であるから、方程式 $\cos x = a$ は実数解をもつ。 このとき、$f'(x)$ は正の値も負の値もとるため、$f(x)$ は増加と減少を繰り返す。 したがって、$f(x)$ は極大値および極小値をもつ。 $f(x)$ は連続関数であるため、ある極大値と極小値の間の値を $b$ に選ぶと、$y = f(x)$ と $y = b$ は複数の交点をもつことになる。 これは、任意の $b$ に対して交点がただ1点であるという条件に反する。

以上 (i), (ii), (iii) より、求める $a$ の範囲は $a \le -1$ または $1 \le a$ である。

解説

「どんな $b$ に対しても交点がただ1点である」という条件を数式でどう処理するかがポイントとなる問題である。 方程式 $\sin x = ax + b$ のまま考えるのではなく、定数 $b$ を分離して $\sin x - ax = b$ と変形することで、「関数 $f(x)$ のグラフと水平な直線 $y = b$ の交点がただ1つである」という視点に持ち込むのが定石である。

これにより、問題は「関数 $f(x)$ が実数全体で単調関数(狭義単調増加または狭義単調減少)になる条件を求める」ことに帰着される。 導関数 $f'(x) \ge 0$ (または $f'(x) \le 0$)を常にみたす必要があり、そこから $a$ の範囲を絞り込むことができる。 なお、$f'(x) = 0$ となる瞬間があっても、それが特定の点(離散的な点)のみであれば、関数の単調性は失われないことに注意する。

答え

$$ a \le -1, \quad 1 \le a $$

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