九州大学 1984年 理系 第3問 解説

方針・初手
空間内の直線の方程式は、通る1点の座標と方向ベクトルを用いた媒介変数表示(ベクトル方程式)で表すのが定石である。 球面と直線の交点や、平面と直線の交点の座標は、設定した直線の媒介変数表示をそれぞれの図形の方程式に代入し、パラメータの値を決定することで求める。
解法1
(1)
実数の媒介変数 $t$ を用いて表す。 直線 $l$ は点 $N(0, 0, 2)$ を通り、方向ベクトルが $(a, b, -1)$ であるから、直線 $l$ 上の点の座標 $(x, y, z)$ は
$$\begin{cases} x = 0 + at \\ y = 0 + bt \\ z = 2 - t \end{cases}$$
と表される。これが求める直線 $l$ の方程式である。(対称形での解答も可)
(2)
球面 $S$ は中心が $P(0, 0, 1)$ で半径が $1$ であるから、その方程式は
$$x^2 + y^2 + (z-1)^2 = 1$$
である。直線 $l$ と球面 $S$ の交点を求めるため、(1) で求めた $x, y, z$ を球面の方程式に代入する。
$$(at)^2 + (bt)^2 + (2-t-1)^2 = 1$$
展開して整理すると、
$$a^2 t^2 + b^2 t^2 + (1-t)^2 = 1$$
$$(a^2 + b^2 + 1)t^2 - 2t = 0$$
$$t \{ (a^2 + b^2 + 1)t - 2 \} = 0$$
ここで、$t = 0$ は点 $N$ に対応する。点 $Q$ は $N$ 以外の点であるから、$t \neq 0$ であり、
$$t = \frac{2}{a^2 + b^2 + 1}$$
となる。これを (1) の方程式に代入して点 $Q$ の各座標を求める。
$$x = \frac{2a}{a^2 + b^2 + 1}$$
$$y = \frac{2b}{a^2 + b^2 + 1}$$
$$z = 2 - \frac{2}{a^2 + b^2 + 1} = \frac{2(a^2 + b^2 + 1) - 2}{a^2 + b^2 + 1} = \frac{2(a^2 + b^2)}{a^2 + b^2 + 1}$$
したがって、点 $Q$ の座標は $\left( \frac{2a}{a^2 + b^2 + 1}, \frac{2b}{a^2 + b^2 + 1}, \frac{2(a^2 + b^2)}{a^2 + b^2 + 1} \right)$ である。
次に、直線 $l$ と $xy$ 平面との交点 $R$ の座標を求める。 $xy$ 平面の方程式は $z = 0$ であるから、(1) より
$$2 - t = 0$$
よって $t = 2$ となる。これを (1) に代入すると $x = 2a, y = 2b$ となる。 したがって、点 $R$ の座標は $(2a, 2b, 0)$ である。
(3)
点 $Q$ が曲線 $C$ 上にあるとき、点 $Q$ は平面 $y = \frac{1}{2}$ 上にあるため、その $y$ 座標について次が成り立つ。
$$\frac{2b}{a^2 + b^2 + 1} = \frac{1}{2}$$
分母を払って整理すると、
$$4b = a^2 + b^2 + 1$$
$$a^2 + b^2 - 4b + 1 = 0$$
ここで、点 $R$ の座標を $(X, Y, Z)$ とおくと、(2) より $X = 2a, Y = 2b, Z = 0$ である。 これらを $a = \frac{X}{2}, b = \frac{Y}{2}$ と変形し、上の関係式に代入してパラメータ $a, b$ を消去する。
$$\left( \frac{X}{2} \right)^2 + \left( \frac{Y}{2} \right)^2 - 4\left( \frac{Y}{2} \right) + 1 = 0$$
両辺に $4$ を掛けて整理する。
$$X^2 + Y^2 - 8Y + 4 = 0$$
$$X^2 + (Y - 4)^2 - 16 + 4 = 0$$
$$X^2 + (Y - 4)^2 = 12$$
また、点 $R$ は $xy$ 平面上の点であるから $Z = 0$ である。 したがって、点 $R$ の描く図形の方程式は
$$\begin{cases} x^2 + (y - 4)^2 = 12 \\ z = 0 \end{cases}$$
となる。
解説
球面上の点を別の平面上に投影する「立体射影(ステレオ投影)」をテーマにした空間座標系の典型問題である。(1) における直線の方程式を媒介変数を用いて正しく設定できるかが解法の要となる。 (2) の連立方程式では、2次方程式の解の1つである $t=0$ が「射影の極である点 $N$」に対応することを見抜き、$t \neq 0$ として割ることで無駄な計算を省くことができる。 (3) は軌跡を求める定石通り、「動く点の条件からパラメータ(本問では $a, b$)の等式を導き、それを求める点の座標を表す文字に置き換える」という手順を踏むことで自然に結論を得ることができる。空間内の図形であることを明示するために、$z=0$ を忘れずに併記しておきたい。
答え
(1)
$$\begin{cases} x = at \\ y = bt \\ z = 2 - t \end{cases}$$
($t$ は実数の媒介変数)
(2)
点 $Q$ : $\left( \frac{2a}{a^2 + b^2 + 1}, \frac{2b}{a^2 + b^2 + 1}, \frac{2(a^2 + b^2)}{a^2 + b^2 + 1} \right)$
点 $R$ : $(2a, 2b, 0)$
(3)
$$\begin{cases} x^2 + (y - 4)^2 = 12 \\ z = 0 \end{cases}$$
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