大阪大学 1967年 文系 第4問 解説

方針・初手
2つの放物線の交点の $x$ 座標を求め、定積分を用いて面積 $S$ を $a$ の式で表す。面積を求める際はいわゆる「 $\frac{1}{6}$ 公式」を利用することで、計算を大幅に簡略化できる。面積 $S$ が求まったら、与えられた不等式 $2 \leqq S \leqq 8$ に代入して $a$ について解く。この際、$2つの放物線が面積を持つ(異なる2交点を持つ)ための条件を忘れないよう注意する。
解法1
2つの放物線の方程式 $y = x^2 + 3x$ と $y = ax^2$ から $y$ を消去して交点の $x$ 座標を求める。
$$x^2 + 3x = ax^2$$
$$(a - 1)x^2 - 3x = 0$$
$$x \{ (a - 1)x - 3 \} = 0$$
ここで、$a = 1$ のときは交点が $x = 0$ の1点のみとなり図形を囲まないため、面積を持たない。したがって $a \neq 1$ である。 $a \neq 1$ のとき、2つの交点の $x$ 座標は $x = 0, \frac{3}{a - 1}$ となる。
これら2つの交点の $x$ 座標を $\alpha, \beta$ ($\alpha < \beta$)とおく。 2つの放物線で囲まれる図形の面積 $S$ は、放物線の上下関係によらず定積分を用いて次のように表される。
$$S = \int_{\alpha}^{\beta} | (x^2 + 3x) - ax^2 | dx$$
$$S = \int_{\alpha}^{\beta} | -(a - 1)x^2 + 3x | dx$$
被積分関数の絶対値の中身は $x^2$ の係数が $-(a - 1)$ であり、$= 0$ の解が $\alpha, \beta$ であるため、面積公式(いわゆる $\frac{1}{6}$ 公式)を用いると次のように計算できる。
$$S = \frac{| -(a - 1) |}{6} (\beta - \alpha)^3 = \frac{|a - 1|}{6} (\beta - \alpha)^3$$
ここで、交点間の距離 $\beta - \alpha$ は $x = 0$ と $x = \frac{3}{a - 1}$ の差の絶対値に等しい。
$$\beta - \alpha = \left| \frac{3}{a - 1} - 0 \right| = \frac{3}{|a - 1|}$$
これを代入して $S$ を計算する。
$$S = \frac{|a - 1|}{6} \left( \frac{3}{|a - 1|} \right)^3$$
$$S = \frac{|a - 1|}{6} \cdot \frac{27}{|a - 1|^3}$$
$$S = \frac{9}{2|a - 1|^2}$$
$|a - 1|^2 = (a - 1)^2$ であるから、
$$S = \frac{9}{2(a - 1)^2}$$
条件より $2 \leqq S \leqq 8$ であるから、
$$2 \leqq \frac{9}{2(a - 1)^2} \leqq 8$$
各辺に正の数 $2(a - 1)^2$ を掛けて、
$$4(a - 1)^2 \leqq 9 \leqq 16(a - 1)^2$$
この不等式は、次の2つの不等式を同時に満たすことと同値である。
(i) $4(a - 1)^2 \leqq 9$
(ii) $9 \leqq 16(a - 1)^2$
(i) について解く。
$$(a - 1)^2 \leqq \frac{9}{4}$$
$$-\frac{3}{2} \leqq a - 1 \leqq \frac{3}{2}$$
$$-\frac{1}{2} \leqq a \leqq \frac{5}{2}$$
(ii) について解く。
$$(a - 1)^2 \geqq \frac{9}{16}$$
$$a - 1 \leqq -\frac{3}{4}, \quad \frac{3}{4} \leqq a - 1$$
$$a \leqq \frac{1}{4}, \quad \frac{7}{4} \leqq a$$
(i) と (ii) の共通範囲を求めて、
$$-\frac{1}{2} \leqq a \leqq \frac{1}{4}, \quad \frac{7}{4} \leqq a \leqq \frac{5}{2}$$
解法2
定積分の絶対値を外すために、$a$ の値によって交点の位置と放物線の上下関係を場合分けして計算する。 解法1と同様に $a \neq 1$ であり、交点の $x$ 座標は $x = 0, \frac{3}{a - 1}$ である。
(i) $a > 1$ のとき
$a - 1 > 0$ であるから、$\frac{3}{a - 1} > 0$ となる。 区間 $0 \leqq x \leqq \frac{3}{a - 1}$ において、$x^2 + 3x \geqq ax^2$ (すなわち $y = x^2 + 3x$ が上)である。 したがって、面積 $S$ は
$$S = \int_{0}^{\frac{3}{a - 1}} \{ (x^2 + 3x) - ax^2 \} dx$$
$$S = \int_{0}^{\frac{3}{a - 1}} -(a - 1)x \left( x - \frac{3}{a - 1} \right) dx$$
$$S = \frac{a - 1}{6} \left( \frac{3}{a - 1} - 0 \right)^3$$
$$S = \frac{a - 1}{6} \cdot \frac{27}{(a - 1)^3} = \frac{9}{2(a - 1)^2}$$
(ii) $a < 1$ のとき
$a - 1 < 0$ であるから、$\frac{3}{a - 1} < 0$ となる。 区間 $\frac{3}{a - 1} \leqq x \leqq 0$ において、$ax^2 \geqq x^2 + 3x$ (すなわち $y = ax^2$ が上)である。 したがって、面積 $S$ は
$$S = \int_{\frac{3}{a - 1}}^{0} \{ ax^2 - (x^2 + 3x) \} dx$$
$$S = \int_{\frac{3}{a - 1}}^{0} (a - 1)x \left( x - \frac{3}{a - 1} \right) dx$$
$$S = -\frac{a - 1}{6} \left( 0 - \frac{3}{a - 1} \right)^3$$
$$S = -\frac{a - 1}{6} \left( -\frac{3}{a - 1} \right)^3$$
$$S = -\frac{a - 1}{6} \cdot \frac{-27}{(a - 1)^3} = \frac{9}{2(a - 1)^2}$$
(i), (ii) のいずれの場合も、面積 $S$ は次のように表される。
$$S = \frac{9}{2(a - 1)^2}$$
以降の不等式 $2 \leqq S \leqq 8$ を解いて $a$ の範囲を求める手順は解法1と全く同じであるため省略する。
解説
2つの放物線で囲まれる図形の面積を求める典型問題である。計算量の削減とミスの防止のために積分計算において「 $\frac{1}{6}$ 公式」を使いこなすことが重要となる。
本問のように、未知数 $a$ の値によって放物線の上下関係や交点の左右関係が変わる場合、解法2のように場合分けを行うのが定石であるが、符号のミスが発生しやすい。そこで、解法1のように絶対値を用いた $\frac{1}{6}$ 公式の表現である $S = \frac{|p|}{6}(\beta - \alpha)^3$ ($p$ は $x^2$ の係数の差)を活用すると、煩雑な場合分けを完全に回避して面積を一意に表すことができるため、非常に実戦的である。
答え
$$-\frac{1}{2} \leqq a \leqq \frac{1}{4}, \quad \frac{7}{4} \leqq a \leqq \frac{5}{2}$$
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