大阪大学 1983年 文系 第3問 解説

方針・初手
- 接線 $l$ の方程式を求め、曲線 $C$ と $l$ の交点を求めて、囲まれた図形の面積 $S$ を計算する。
- 面積を2等分する直線 $m$ が通る点 $(1, 0)$ は曲線 $C$ 上の点であることに着目する。
- 積分計算を簡略化するため、領域を直線 $x=1$ で分割した際の面積を求め、直線 $m$ によって作られる三角形の面積の足し引きとして方程式を立てる。
解法1
$y = x^3 - x$ より $y' = 3x^2 - 1$ である。 点 $(-1, 0)$ における接線の傾きは $3(-1)^2 - 1 = 2$ であるから、接線 $l$ の方程式は
$$ y - 0 = 2(x - (-1)) $$
$$ y = 2x + 2 $$
となる。次に、曲線 $C$ と直線 $l$ の交点を求める。
$$ x^3 - x = 2x + 2 $$
$$ x^3 - 3x - 2 = 0 $$
$x = -1$ で接することから $(x+1)^2$ を因数にもつので、
$$ (x+1)^2(x-2) = 0 $$
これより、交点の $x$ 座標は $x = -1, 2$ である。 区間 $-1 \le x \le 2$ において、$(2x+2) - (x^3-x) = -(x+1)^2(x-2) \ge 0$ であるから、$l$ は $C$ の上側(または境界上)にある。 $C$ と $l$ で囲まれた図形の面積を $S$ とすると、
$$ \begin{aligned} S &= \int_{-1}^{2} \{ (2x+2) - (x^3-x) \} \,dx \\ &= \int_{-1}^{2} (-x^3 + 3x + 2) \,dx \\ &= \left[ -\frac{1}{4}x^4 + \frac{3}{2}x^2 + 2x \right]_{-1}^{2} \\ &= \left( -4 + 6 + 4 \right) - \left( -\frac{1}{4} + \frac{3}{2} - 2 \right) \\ &= 6 - \left( -\frac{3}{4} \right) = \frac{27}{4} \end{aligned} $$
面積を2等分する直線 $m$ は点 $(1, 0)$ を通る。ここで $x=1$ のとき $x^3-x = 0$ となるため、点 $(1, 0)$ は曲線 $C$ 上の点である。 直線 $x=1$ によって領域を左側($-1 \le x \le 1$)と右側($1 \le x \le 2$)に分割し、左側の面積 $S_1$ を求める。
$$ \begin{aligned} S_1 &= \int_{-1}^{1} (-x^3 + 3x + 2) \,dx \\ &= \left[ -\frac{1}{4}x^4 + \frac{3}{2}x^2 + 2x \right]_{-1}^{1} \\ &= \left( -\frac{1}{4} + \frac{3}{2} + 2 \right) - \left( -\frac{1}{4} + \frac{3}{2} - 2 \right) \\ &= 4 \end{aligned} $$
$S_1 = 4$ であり、求める面積の半分は $\frac{S}{2} = \frac{27}{8} = 3.375$ であるから、$S_1 > \frac{S}{2}$ となる。 したがって、面積を2等分する直線 $m$ は、$x=1$ ではなく、点 $(1,0)$ を通りながら $x=1$ の左側領域の面積を減らすように通る。すなわち、直線 $m$ は区間 $-1 < x < 1$ で直線 $l$ と交わる。
直線 $m$ と直線 $l$ の交点の $x$ 座標を $t$ $(-1 < t < 1)$ とおく。交点の座標は $(t, 2t+2)$ である。 直線 $m$ は区間 $-1 \le x \le t$ で領域の外($l$ の上側)にあり、区間 $t \le x \le 1$ で領域の内部を通る。 直線 $m$ が切り取る左側の領域の面積は、$x=1$ の左側の面積 $S_1$ から、直線 $l$、直線 $m$、および直線 $x=1$ で囲まれる三角形の面積を引いたものに等しい。
この三角形の3つの頂点は $(t, 2t+2), (1, 4), (1, 0)$ であり、底辺を $x=1$ 上の線分と見るとその長さは $4$、高さは $1 - t$ である。 したがって、三角形の面積は
$$ \frac{1}{2} \cdot 4 \cdot (1 - t) = 2(1 - t) $$
となる。直線 $m$ の左側の領域の面積が $\frac{S}{2}$ に等しいので、
$$ 4 - 2(1 - t) = \frac{27}{8} $$
$$ 2 + 2t = \frac{27}{8} $$
$$ 2t = \frac{11}{8} $$
$$ t = \frac{11}{16} $$
これは $-1 < t < 1$ を満たす。 このとき、直線 $m$ は2点 $(1, 0), \left(\frac{11}{16}, \frac{27}{8}\right)$ を通るので、その傾き $a$ は
$$ a = \frac{\frac{27}{8} - 0}{\frac{11}{16} - 1} = \frac{\frac{27}{8}}{-\frac{5}{16}} = -\frac{54}{5} $$
となり、直線 $m$ の方程式は $y = -\frac{54}{5}(x - 1)$ となる。
最後に、この直線 $m$ が区間 $-1 < x < 1$ で曲線 $C$ と交わらない(すなわち $m$ が $C$ より上にある)ことを確認する。 $m$ と $C$ の交点の $x$ 座標は方程式 $x^3 - x = -\frac{54}{5}(x - 1)$ の実数解である。
$$ (x - 1)(x^2 + x) + \frac{54}{5}(x - 1) = 0 $$
$$ (x - 1)\left(x^2 + x + \frac{54}{5}\right) = 0 $$
2次方程式 $x^2 + x + \frac{54}{5} = 0$ の判別式を $D$ とすると、$D = 1^2 - 4 \cdot \frac{54}{5} < 0$ となり実数解をもたない。 よって $m$ と $C$ の交点は $(1, 0)$ のみであり、途中で交わることはないため、面積の立式は正しい。
以上より、求める直線 $m$ の方程式は
$$ y = -\frac{54}{5}x + \frac{54}{5} $$
である。
解説
面積を2等分する直線を求める際、まともに積分方程式を立てようとすると計算が煩雑になりやすい典型問題である。 本問では、直線 $m$ が通る点 $(1, 0)$ が曲線 $C$ 上にあることに気づけるかが大きなポイントになる。 さらに、領域の境界となる直線を基準(本問では $x=1$)として面積を評価し、図形的な引き算(三角形の面積)を利用することで、積分計算の負担を劇的に減らすことができる。 最後に求めた直線が、領域内で曲線と交差しないかを判別式等で確認する論証も忘れないようにする。
答え
$$ y = -\frac{54}{5}x + \frac{54}{5} $$
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