大阪大学 1987年 文系 第2問 解説

方針・初手
(1) は1次変換による軌跡の基本的な求め方に従う。変換前の曲線上の点を $(s, t)$ とおき、変換後の点を $(X, Y)$ とおいて関係式を導き、$s, t$ を消去して $X, Y$ の方程式を求める。
(2) は (1) で求めた放物線ともとの放物線の交点を求め、定積分を用いて面積を計算する。積分区間における放物線の上下関係を正しく把握し、$\frac{1}{6}$ 公式を利用して計算を簡略化する。
解法1
(1)
曲線 $C : y = x^2$ 上の点を $(s, t)$ とおくと、
$$ t = s^2 $$
が成り立つ。この点が 1次変換 $f$ によって点 $(X, Y)$ に移るとすると、
$$ \begin{pmatrix} X \\ Y \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} 2 & 0 \\ a & 1 \end{pmatrix} \begin{pmatrix} s \\ t \end{pmatrix} $$
行列の積を計算して、
$$ \begin{pmatrix} X \\ Y \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} 2s \\ as + t \end{pmatrix} $$
したがって、次の2つの関係式が得られる。
$$ \begin{cases} X = 2s \\ Y = as + t \end{cases} $$
これを $s, t$ について解くと、
$$ s = \frac{1}{2}X $$
$$ t = Y - as = Y - \frac{a}{2}X $$
これらを $t = s^2$ に代入すると、
$$ Y - \frac{a}{2}X = \left( \frac{1}{2}X \right)^2 $$
$$ Y = \frac{1}{4}X^2 + \frac{a}{2}X $$
求める $C'$ の方程式は、$X, Y$ を $x, y$ に書き換えて、
$$ y = \frac{1}{4}x^2 + \frac{a}{2}x $$
(2)
曲線 $C$ と $C'$ の交点の $x$ 座標は、方程式 $x^2 = \frac{1}{4}x^2 + \frac{a}{2}x$ の解である。整理すると、
$$ \frac{3}{4}x^2 - \frac{a}{2}x = 0 $$
$$ 3x^2 - 2ax = 0 $$
$$ x(3x - 2a) = 0 $$
$a > 0$ であるから、交点の $x$ 座標は $x = 0, \frac{2a}{3}$ であり、$0 < \frac{2a}{3}$ となる。
区間 $0 \leqq x \leqq \frac{2a}{3}$ において、
$$ \left( \frac{1}{4}x^2 + \frac{a}{2}x \right) - x^2 = -\frac{3}{4}x\left(x - \frac{2a}{3}\right) \geqq 0 $$
が成り立つので、この区間では $C'$ が $C$ の上側(または一致)にある。
したがって、$C$ と $C'$ で囲まれた部分の面積 $S$ は、
$$ \begin{aligned} S &= \int_{0}^{\frac{2a}{3}} \left\{ \left( \frac{1}{4}x^2 + \frac{a}{2}x \right) - x^2 \right\} dx \\ &= \int_{0}^{\frac{2a}{3}} \left( -\frac{3}{4}x^2 + \frac{a}{2}x \right) dx \\ &= -\frac{3}{4} \int_{0}^{\frac{2a}{3}} x\left(x - \frac{2a}{3}\right) dx \end{aligned} $$
ここで、定積分の公式 $\int_{\alpha}^{\beta} (x - \alpha)(x - \beta) dx = -\frac{1}{6}(\beta - \alpha)^3$ を用いると、
$$ \begin{aligned} S &= -\frac{3}{4} \cdot \left( -\frac{1}{6} \right) \left( \frac{2a}{3} - 0 \right)^3 \\ &= \frac{1}{8} \cdot \frac{8a^3}{27} \\ &= \frac{a^3}{27} \end{aligned} $$
条件より $S = 1$ であるから、
$$ \frac{a^3}{27} = 1 $$
$$ a^3 = 27 $$
$a$ は実数であるから、
$$ a = 3 $$
これは $a > 0$ を満たす。
解説
1次変換による図形の像の求め方と、定積分による面積計算という標準的なテーマを組み合わせた問題である。
(1) においては、変換前の点 $(s, t)$ と変換後の点 $(X, Y)$ の関係式から、$s, t$ を $X, Y$ で表し、変換前の図形の方程式に代入するという軌跡の定石を確実に実行することが重要である。
(2) では、2つの2次関数のグラフで囲まれた面積を求めるため、いわゆる $\frac{1}{6}$ 公式を利用すると計算ミスを防ぎやすい。放物線どうしの囲む面積の計算においては、被積分関数を立式してから展開するのではなく、交点の $x$ 座標を解にもつ因数分解の形を維持したまま積分公式を適用するのが効果的である。
答え
(1)
$y = \frac{1}{4}x^2 + \frac{a}{2}x$
(2)
$a = 3$
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