大阪大学 1987年 文系 第3問 解説

方針・初手
(1) は関数 $f(x)$ を微分して増減を調べ、極値をとる $x$ の値を求める基本問題である。 (2) は正三角形の図形的な性質を利用する。点 $A, B$ の中点が原点となることに着目し、ベクトルや複素数平面を用いた「回転」を考えると計算量が減る。 (3) は (2) で求めた重心 $G$ の座標を曲線 $y=f(x)$ の方程式に代入して $a$ の方程式を解く。$f(x)$ が奇関数である性質を利用すると記述が簡潔になる。
解法1
(1)
$f(x) = \sqrt{a}(x^3 - 3x)$ を $x$ について微分すると、
$$ f'(x) = \sqrt{a}(3x^2 - 3) = 3\sqrt{a}(x+1)(x-1) $$
$a > 0$ より $3\sqrt{a} > 0$ であるから、$f'(x) = 0$ となるのは $x = -1, 1$ のときである。 $f(x)$ の増減表は以下のようになる。
$x < -1$ のとき、$f'(x) > 0$ $x = -1$ のとき、$f'(x) = 0$ (極大) $-1 < x < 1$ のとき、$f'(x) < 0$ $x = 1$ のとき、$f'(x) = 0$ (極小) $x > 1$ のとき、$f'(x) > 0$
したがって、$f(x)$ は $x = -1$ で極大値、$x = 1$ で極小値をとる。 よって、求める値は以下の通りである。
$$ \alpha = -1, \quad \beta = 1 $$
(2)
(1) より、点 $A, B$ の座標は $A(-1, 2\sqrt{a})$, $B(1, -2\sqrt{a})$ である。 線分 $AB$ の中点を $M$ とすると、$M$ の座標は $(0, 0)$ であり、原点 $O$ に一致する。
正三角形の頂点を $A, B, C$、重心を $G$ とすると、重心 $G$ は線分 $AB$ の垂直二等分線上にある。 また、重心 $G$ は正三角形の外心でもあり、$\triangle M A G$ は $\angle AMG = 90^\circ$, $\angle MAG = 30^\circ$, $\angle MGA = 60^\circ$ の直角三角形となる。 したがって、辺の比から $MG : MA = 1 : \sqrt{3}$ であり、
$$ OG = OA \times \frac{1}{\sqrt{3}} $$
が成り立つ。 ベクトル $\vec{OG}$ は、ベクトル $\vec{OA} = (-1, 2\sqrt{a})$ を原点中心に $90^\circ$ または $-90^\circ$ 回転し、その大きさを $\frac{1}{\sqrt{3}}$ 倍したものである。 $(p, q)$ を $90^\circ$ 回転させたベクトルは $(-q, p)$、$-90^\circ$ 回転させたベクトルは $(q, -p)$ であるから、
$$ \vec{OG} = \frac{1}{\sqrt{3}} \left( -2\sqrt{a}, -1 \right) \quad \text{または} \quad \frac{1}{\sqrt{3}} \left( 2\sqrt{a}, 1 \right) $$
となる。したがって、重心 $G$ の座標 $(X, Y)$ は
$$ \left( -\frac{2\sqrt{a}}{\sqrt{3}}, -\frac{1}{\sqrt{3}} \right) \quad \text{または} \quad \left( \frac{2\sqrt{a}}{\sqrt{3}}, \frac{1}{\sqrt{3}} \right) $$
と表される。 ここで、$a$ はすべての正の数 ($a > 0$) を動くため、$\sqrt{a} > 0$ である。 したがって、$X < 0$ のとき $Y = -\frac{1}{\sqrt{3}}$ となり、$X > 0$ のとき $Y = \frac{1}{\sqrt{3}}$ となる。 以上より、$G$ の描く図形は、半直線 $y = -\frac{1}{\sqrt{3}}$ ($x < 0$) および 半直線 $y = \frac{1}{\sqrt{3}}$ ($x > 0$) である。
(3)
(2) より、$G$ の座標は $\left( \frac{2\sqrt{a}}{\sqrt{3}}, \frac{1}{\sqrt{3}} \right)$ または $\left( -\frac{2\sqrt{a}}{\sqrt{3}}, -\frac{1}{\sqrt{3}} \right)$ である。 関数 $f(x) = \sqrt{a}(x^3 - 3x)$ について、$f(-x) = -f(x)$ が成り立つため、曲線 $y = f(x)$ は原点対称である。 2つの $G$ の候補となる点も原点対称であるから、一方が $y = f(x)$ 上にあれば、もう一方も必ず $y = f(x)$ 上にある。 したがって、点 $\left( \frac{2\sqrt{a}}{\sqrt{3}}, \frac{1}{\sqrt{3}} \right)$ が曲線 $y = f(x)$ 上にある条件を求めれば十分である。 $y = f(x)$ に代入して、
$$ \frac{1}{\sqrt{3}} = \sqrt{a} \left\{ \left( \frac{2\sqrt{a}}{\sqrt{3}} \right)^3 - 3 \cdot \frac{2\sqrt{a}}{\sqrt{3}} \right\} $$
右辺を展開して整理する。
$$ \begin{aligned} \frac{1}{\sqrt{3}} &= \sqrt{a} \left( \frac{8a\sqrt{a}}{3\sqrt{3}} - \frac{6\sqrt{a}}{\sqrt{3}} \right) \\ \frac{1}{\sqrt{3}} &= \frac{8a^2}{3\sqrt{3}} - \frac{6a}{\sqrt{3}} \end{aligned} $$
両辺に $\sqrt{3}$ を掛ける。
$$ 1 = \frac{8}{3}a^2 - 6a $$
両辺に $3$ を掛けて移項し、$a$ の2次方程式とする。
$$ 8a^2 - 18a - 3 = 0 $$
解の公式を用いて $a$ を求める。
$$ a = \frac{9 \pm \sqrt{(-9)^2 - 8 \cdot (-3)}}{8} = \frac{9 \pm \sqrt{81 + 24}}{8} = \frac{9 \pm \sqrt{105}}{8} $$
ここで、$a > 0$ であり、$\sqrt{105} > \sqrt{81} = 9$ であるから、$9 - \sqrt{105} < 0$ となる。 したがって、条件を満たす $a$ の値は正の符号のみをとる。
$$ a = \frac{9 + \sqrt{105}}{8} $$
解説
(2) で正三角形の重心 $G$ の軌跡を求める際、図形的な特徴を捉えられるかがポイントである。線分 $AB$ の中点が原点であることに気づけば、ベクトルの回転(あるいは複素数平面における $\pm 90^\circ$ 回転)を用いて簡潔に $G$ の座標を表現できる。傾きや距離の公式を用いて方程式を立てることも可能であるが、計算が非常に煩雑になる。
(3) では、2つの $G$ の候補点が出てくるが、$f(x)$ が奇関数(原点対称)であることを見抜けば、片方の条件を調べるだけで済むため、記述と計算の手間を省くことができる。
答え
(1)
$$ \alpha = -1, \quad \beta = 1 $$
(2)
半直線 $y = \frac{1}{\sqrt{3}}$ ($x > 0$) 半直線 $y = -\frac{1}{\sqrt{3}}$ ($x < 0$) (これらを座標平面上に図示する。$y$軸上の端点 $(0, \frac{1}{\sqrt{3}}), (0, -\frac{1}{\sqrt{3}})$ は含まない白丸となる)
(3)
$$ a = \frac{9 + \sqrt{105}}{8} $$
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