北海道大学 1993年 文系 第3問 解説

方針・初手
(1) 直線 $OA$ と 直線 $BC$ の方程式を求め、それらの交点 $D$ の座標を計算することで $OD : OA$ を求める。
(2) 1次変換の線形性 $f(k\vec{v}) = kf(\vec{v})$ を利用し、(1) で求めた比率から $\overrightarrow{OS}$ を $\overrightarrow{OP}$ の実数倍として計算する。
(3) 1次変換によって内分比が保たれる性質と、正三角形の面積が二等分される条件から、移った先の頂点の座標を決定し、行列の成分を逆算する。
解法1
(1) 原点 $O(0,0)$ と $A(2,2)$ を通る直線 $OA$ の方程式は、 $$ y = x $$ である。次に、$B(3,1)$ と $C(-2,0)$ を通る直線 $BC$ の傾きは、 $$ \frac{1 - 0}{3 - (-2)} = \frac{1}{5} $$ であるから、その方程式は、 $$ y - 0 = \frac{1}{5}(x - (-2)) \iff y = \frac{1}{5}x + \frac{2}{5} $$ となる。点 $D$ はこれら2直線の交点であるから、連立して解くと、 $$ x = \frac{1}{5}x + \frac{2}{5} \iff \frac{4}{5}x = \frac{2}{5} \iff x = \frac{1}{2} $$ となり、$y = x$ より $y = \frac{1}{2}$ を得る。よって、$D\left(\frac{1}{2}, \frac{1}{2}\right)$ である。 $A(2,2)$ であるから、原点 $O$ からの距離の比は、 $$ OD : OA = \sqrt{\left(\frac{1}{2}\right)^2 + \left(\frac{1}{2}\right)^2} : \sqrt{2^2 + 2^2} = \frac{\sqrt{2}}{2} : 2\sqrt{2} = 1 : 4 $$ となる。
(2) (1) の結果より、点 $D$ は線分 $OA$ 上にあり $OD : OA = 1 : 4$ であるから、 $$ \overrightarrow{OD} = \frac{1}{4}\overrightarrow{OA} $$ が成り立つ。1次変換 $f$ の線形性から、点 $D$ の像 $S$ の位置ベクトル $\overrightarrow{OS}$ は、 $$ \overrightarrow{OS} = f(\overrightarrow{OD}) = f\left(\frac{1}{4}\overrightarrow{OA}\right) = \frac{1}{4}f(\overrightarrow{OA}) $$ となる。ここで、点 $A$ の $f$ による像は $P(4,0)$ であるから、$f(\overrightarrow{OA}) = \overrightarrow{OP} = \begin{pmatrix} 4 \\ 0 \end{pmatrix}$ である。 したがって、 $$ \overrightarrow{OS} = \frac{1}{4}\begin{pmatrix} 4 \\ 0 \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} 1 \\ 0 \end{pmatrix} $$ となり、求める点 $S$ の座標は $(1,0)$ である。
(3) 1次変換 $f$ によって点 $B, C$ がそれぞれ点 $Q, R$ に移るとする。 $\triangle PQR$ は $x$ 軸で面積が二等分される正三角形である。 頂点 $P(4,0)$ は $x$ 軸上にあるため、この三角形の面積が頂点 $P$ を通る $x$ 軸によって二等分されるのは、$x$ 軸が対辺 $QR$ の中点を通るときに限られる。 一方、$B(3,1), C(-2,0)$ より、線分 $BC$ の中点の座標は $\left(\frac{3 - 2}{2}, \frac{1 + 0}{2}\right) = \left(\frac{1}{2}, \frac{1}{2}\right)$ であり、これは点 $D$ と一致する。 1次変換は線分の内分比を保つため、線分 $BC$ の中点 $D$ の像である $S(1,0)$ は、線分 $QR$ の中点となる。 正三角形において中線は対辺の垂直二等分線であるため、$x$ 軸は線分 $QR$ の垂直二等分線となる。よって、点 $Q$ と $R$ は $x$ 軸に関して対称である。 中点 $S$ の座標が $(1,0)$ であることから、直線 $QR$ の方程式は $x = 1$ となる。ゆえに、$Q$ と $R$ の座標は実数 $a > 0$ を用いて $(1, a), (1, -a)$ とおける。 $\triangle PQR$ は正三角形であるから、$PQ = QR$ が成り立つ。 $$ \begin{aligned} PQ^2 &= (1 - 4)^2 + a^2 = a^2 + 9 \\ QR^2 &= (2a)^2 = 4a^2 \end{aligned} $$ これらが等しいことから、 $$ a^2 + 9 = 4a^2 \iff 3a^2 = 9 \iff a^2 = 3 $$ $a > 0$ より $a = \sqrt{3}$ を得る。したがって、移った先の頂点の組 $\{Q, R\}$ は $\{(1, \sqrt{3}), (1, -\sqrt{3})\}$ である。
$f$ を表す行列を $X = \begin{pmatrix} p & q \\ r & s \end{pmatrix}$ とおく。 $f(A) = P$ より、 $$ \begin{pmatrix} p & q \\ r & s \end{pmatrix}\begin{pmatrix} 2 \\ 2 \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} 4 \\ 0 \end{pmatrix} \iff \begin{cases} 2p + 2q = 4 \\ 2r + 2s = 0 \end{cases} \iff \begin{cases} p + q = 2 \quad \cdots \text{①} \\ r + s = 0 \quad \cdots \text{②} \end{cases} $$ $f(C)$ は点 $(1, \sqrt{3})$ または $(1, -\sqrt{3})$ であるから、 $$ \begin{pmatrix} p & q \\ r & s \end{pmatrix}\begin{pmatrix} -2 \\ 0 \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} 1 \\ \pm\sqrt{3} \end{pmatrix} \iff \begin{cases} -2p = 1 \quad \cdots \text{③} \\ -2r = \pm\sqrt{3} \quad \cdots \text{④} \end{cases} $$ ③より $p = -\frac{1}{2}$ であり、これを①に代入して $q = \frac{5}{2}$ を得る。 ④より $r = \mp\frac{\sqrt{3}}{2}$ であり、これを②に代入して $s = \pm\frac{\sqrt{3}}{2}$ (複号同順)を得る。 以上より、条件を満たす行列 $X$ は2つ存在し、求める行列である。
解説
1次変換の重要な性質である「線形性」と「直線の像は直線(または点)になり、内分比が保たれること」を活用する標準的な問題である。 (1) や (2) で図形的な関係($D$ が中点であること)を把握し、(3) で正三角形の図形的な性質(頂点と対辺の中点を結ぶ直線が垂直二等分線になること)に帰着させるのが最もスムーズな方針となる。 像の点の対応において、$B \to Q, C \to R$ の場合と $B \to R, C \to Q$ の場合の2通りが考えられるため、最終的な行列が2つ出てくることに注意したい。
答え
(1) $OD : OA = 1 : 4$
(2) $S(1, 0)$
(3) $X = \begin{pmatrix} -\frac{1}{2} & \frac{5}{2} \\ -\frac{\sqrt{3}}{2} & \frac{\sqrt{3}}{2} \end{pmatrix}, \quad \begin{pmatrix} -\frac{1}{2} & \frac{5}{2} \\ \frac{\sqrt{3}}{2} & -\frac{\sqrt{3}}{2} \end{pmatrix}$
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