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北海道大学 2017年 文系 第4問 解説

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北海道大学 2017年 文系 第4問 解説

方針・初手

定積分 $\int_{-1}^1 f(t)dt$ は定数であるため、これを文字定数 $C$ と置いて $f(x)$ の式を具体的に表すことから始める。その後、この $f(x)$ を再び積分の定義式に代入して $C$ の値を決定する。 後半は $f'(x) = 0$ の解の配置問題に帰着させる。3次関数の極大値・極小値をもつ $x$ と $f'(x)=0$ の解の関係を把握し、グラフを用いた条件処理を行う。

解法1

(1)

定積分を $C = \int_{-1}^1 f(t)dt$ とおくと、関数 $f(x)$ は次のように表せる。

$$f(x) = \frac{1}{3}x^3 - ax^2 + (a^2 - b)x + C$$

ここで、$f(0)$ を求めると $f(0) = C$ となるため、$C$ の値を求めればよい。 $f(x)$ を $C$ の定義式に代入する。

$$C = \int_{-1}^1 \left( \frac{1}{3}t^3 - at^2 + (a^2 - b)t + C \right) dt$$

積分区間が $-1$ から $1$ までと原点対称であるため、奇数次の項の定積分は $0$ となることを利用する。

$$C = 2 \int_{0}^1 (-at^2 + C) dt$$

定積分を計算する。

$$C = 2 \left[ -\frac{a}{3}t^3 + Ct \right]_0^1$$

$$C = 2 \left( -\frac{a}{3} + C \right)$$

$$C = -\frac{2}{3}a + 2C$$

これを解いて $C$ を求める。

$$C = \frac{2}{3}a$$

したがって、$f(0) = C$ より以下を得る。

$$f(0) = \frac{2}{3}a$$

(2)

(1) の結果より、$f(x)$ は次のように定まる。

$$f(x) = \frac{1}{3}x^3 - ax^2 + (a^2 - b)x + \frac{2}{3}a$$

これを $x$ について微分する。

$$f'(x) = x^2 - 2ax + a^2 - b = (x - a)^2 - b$$

関数 $f(x)$ は $x^3$ の係数が正の3次関数であるため、極値を持つための条件は $f'(x) = 0$ が異なる2つの実数解を持つことである。 $f'(x) = 0$ の判別式を $D$ とすると、$D > 0$ より、

$$\frac{D}{4} = (-a)^2 - 1 \cdot (a^2 - b) = b > 0$$

このとき、極大値を与える $x$ は $f'(x) = 0$ の2つの解のうち小さい方(数直線上で左側)である。 題意を満たすためには、放物線 $y = f'(x)$ と $x$ 軸の交点のうち、左側の交点の $x$ 座標が $1$ より大きければよい。 したがって、以下の3つの条件をすべて満たす必要がある。

(i) 軸の位置:放物線の軸 $x = a$ について、$a > 1$ (ii) 端点の符号:$f'(1) > 0$ (iii) 判別式:$b > 0$(上で確認済み)

(ii) の条件を計算する。

$$f'(1) = 1 - 2a + a^2 - b = (a-1)^2 - b > 0$$

よって、$b < (a-1)^2$ となる。 (i), (ii), (iii) をまとめると、求める条件は以下のようになる。

$$a > 1 \text{ かつ } 0 < b < (a-1)^2$$

点 $P(a,b)$ の存在範囲は、$ab$ 座標平面において、放物線 $b = (a-1)^2$ の下側かつ $a$ 軸 ($b=0$) の上側の領域のうち、$a > 1$ の部分である。境界線はいずれも含まない。

解法2

(2) の $f'(x) = 0$ の解を用いた別解

微分して $f'(x) = (x - a)^2 - b$ を得るところまでは解法1と同様である。 極値を持つ条件から $b > 0$ であり、$f'(x) = 0$ の解は解の公式(または平方根)より以下となる。

$$x = a \pm \sqrt{b}$$

極大値を与えるのは小さい方の解であるから、$x = a - \sqrt{b}$ である。 これが $x > 1$ の範囲にあるため、以下の不等式が成り立つ。

$$a - \sqrt{b} > 1$$

$$\sqrt{b} < a - 1$$

ここで、前提条件 $b > 0$ より $\sqrt{b} > 0$ であるため、右辺について $a - 1 > 0$ すなわち $a > 1$ が必要である。 $a - 1 > 0$ かつ $\sqrt{b} > 0$ より両辺ともに正であるため、両辺を2乗して同値変形ができる。

$$b < (a - 1)^2$$

よって、求める条件は $a > 1$ かつ $0 < b < (a - 1)^2$ となる。

解説

(1) は定積分を含んだ方程式(積分方程式)の典型的な問題である。積分区間が定数から定数までとなっている場合は、その定積分自体を一つの文字(定数)に置き換える手法が定石である。偶関数・奇関数の性質を利用することで計算量を減らす工夫ができる。 (2) は3次関数の極値の条件と、2次方程式の解の配置問題を組み合わせた標準問題である。解法1のようにグラフの特徴(軸、判別式、端点の値)を用いるのが一般的だが、解法2のように直接解を求めて不等式評価を行うことも可能である。解法2の場合は、両辺を2乗する際に両辺が正であることの確認(同値性の担保)を忘れないように注意したい。

答え

(1)

$$f(0) = \frac{2}{3}a$$

(2)

条件:$a > 1$ かつ $0 < b < (a-1)^2$

図示:$ab$ 座標平面において、放物線 $b = (a-1)^2$ の下側かつ横軸 ($b=0$) の上側で、$a > 1$ の領域。(境界線はすべて含まない)

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