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大阪大学 1992年 文系 第1問 解説

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大阪大学 1992年 文系 第1問 解説

方針・初手

2曲線 $y = f(x)$ と $y = f(x+t)$ が共有点を持たないという条件を、方程式 $f(x) = f(x+t)$ が実数解を持たないという条件に言い換える。 $f(x)$ は3次式であるため、$f(x+t) - f(x) = 0$ は $x$ についての2次以下の方程式となる。これが任意の実数 $t \neq 0$ に対して実数解を持たないように、係数についての条件を絞り込んでいく。また、グラフの増減(微分の利用)からアプローチすることも可能である。

解法1

2曲線 $y = f(x)$ と $y = f(x+t)$ が共有点を持たないための必要十分条件は、方程式 $f(x+t) = f(x)$ が実数解を持たないことである。 与えられた $f(x) = x^3 + ax^2 + bx + c$ を用いて方程式を整理する。

$$ \begin{aligned} f(x+t) - f(x) &= (x+t)^3 + a(x+t)^2 + b(x+t) + c - (x^3 + ax^2 + bx + c) \\ &= (x^3 + 3tx^2 + 3t^2x + t^3) + a(x^2 + 2tx + t^2) + b(x+t) - x^3 - ax^2 - bx \\ &= 3tx^2 + (3t^2 + 2at)x + t^3 + at^2 + bt \end{aligned} $$

したがって、考えるべき方程式は以下のようになる。

$$ 3tx^2 + (3t^2 + 2at)x + t^3 + at^2 + bt = 0 $$

ここで、$t \neq 0$ であるから、両辺を $t$ で割ると $x$ についての2次方程式が得られる。

$$ 3x^2 + (3t + 2a)x + t^2 + at + b = 0 $$

この方程式が実数解を持たないための必要十分条件は、判別式を $D$ とすると $D < 0$ となることである。

$$ \begin{aligned} D &= (3t + 2a)^2 - 4 \cdot 3(t^2 + at + b) \\ &= 9t^2 + 12at + 4a^2 - 12t^2 - 12at - 12b \\ &= -3t^2 + 4a^2 - 12b \end{aligned} $$

条件より、$D < 0$ が「$0$ でない任意の実数 $t$」に対して成り立つ必要がある。すなわち、

$$ -3t^2 + 4a^2 - 12b < 0 $$

$$ 3t^2 > 4a^2 - 12b $$

$t \neq 0$ のとき、常に $3t^2 > 0$ である。したがって、この不等式が任意の $t \neq 0$ に対して成り立つための必要十分条件は、右辺が $0$ 以下となることである。

$$ 4a^2 - 12b \le 0 $$

両辺を $4$ で割って整理する。

$$ a^2 - 3b \le 0 $$

解法2

微分の観点から、関数の増減を用いて考える。 $f(x) = x^3 + ax^2 + bx + c$ を微分すると以下のようになる。

$$ f'(x) = 3x^2 + 2ax + b $$

2次方程式 $f'(x) = 0$ の判別式を $D'$ とすると $\frac{D'}{4} = a^2 - 3b$ である。この判別式の符号によって場合分けを行う。

(i)

$a^2 - 3b \le 0$ のとき

すべての実数 $x$ に対して $f'(x) \ge 0$ となり、$f'(x) = 0$ となる点は高々1つである。 したがって、任意の $x_1 < x_2$ に対して、区間 $[x_1,x_2]$ の中で $f'(x)$ は高々1点を除いて正であるから

$$ f(x_2)-f(x_1)=\int_{x_1}^{x_2} f'(x)\,dx>0 $$

となる。よって関数 $f(x)$ は狭義単調増加である。 このとき、$t \neq 0$ ならば $x+t \neq x$ であるから、関数の単調増加性より $f(x+t) \neq f(x)$ が任意の実数 $x$ で成り立つ。 よって、2曲線 $y = f(x)$ と $y = f(x+t)$ は共有点を持たない。

(ii)

$a^2 - 3b > 0$ のとき

方程式 $f'(x) = 0$ は異なる2つの実数解を持つ。それらを $\alpha, \beta$ ($\alpha < \beta$) とする。 $f(x)$ は $x = \alpha$ で極大値 $f(\alpha)$ をとり、$x = \beta$ で極小値 $f(\beta)$ をとる。極値の性質から $f(\alpha) > f(\beta)$ である。 ここで、特定の $t$ として $t = \beta - \alpha$ ($t > 0$) を考える。

$$ f(\alpha + t) = f(\beta) $$

関数 $g(x) = f(x+t) - f(x)$ を定義する。 $x = \alpha - t$ のとき、$\alpha - t < \alpha$ の範囲で $f(x)$ は単調増加であるため $f(\alpha - t) < f(\alpha)$ となり、

$$ g(\alpha - t) = f(\alpha) - f(\alpha - t) > 0 $$

一方、$x = \alpha$ のときは

$$ g(\alpha) = f(\alpha + t) - f(\alpha) = f(\beta) - f(\alpha) < 0 $$

関数 $g(x)$ は連続であるから、中間値の定理より $g(x) = 0$ を満たす実数 $x$ が $\alpha - t$ と $\alpha$ の間に少なくとも1つ存在する。 すなわち $f(x+t) = f(x)$ となる $x$ が存在するため、この $t$ に対して2曲線は共有点を持つ。 これは「$0$ でない実数 $t$ をどのようにとっても共有点を持たない」という条件に反する。

(i), (ii) より、求める必要十分条件は $a^2 - 3b \le 0$ である。

解説

ある曲線とそれを $x$ 軸方向に $-t$ 平行移動した曲線が交わらないための条件を問う問題である。 解法1のように差をとって方程式の解の有無に帰着させるのが、代数的で最も確実な手法である。差をとることで $x^3$ の項が消え、$x$ についての2次方程式になるため、判別式で処理できるのがポイントである。 解法2で示した通り、結果として得られた $a^2 - 3b \le 0$ という条件は「$f(x)$ が極値を持たない(単調増加である)」ための条件と完全に一致する。3次関数のグラフの形状(極値を持つと波打つ形になり、少しずらすと必ず交わる)を想像できると、見通しよく解くことができる。

答え

$$ a^2 - 3b \le 0 $$

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