大阪大学 1990年 理系 第3問 解説

方針・初手
曲線上における接線の方程式を立式し、それが点 $(a, 0)$ を通る条件から接点の $x$ 座標($t$ とする)に関する方程式を導くのが定石である。 本問で特に注意すべきは「接点の個数」と「接線の本数」が一致しない可能性があることである。一般に4次関数は二重接線(異なる2点で接する1本の直線)をもち得るため、まず二重接線が存在するか、それがどのような直線かを特定する必要がある。その後、$t$ の方程式の解の条件へと帰着させる。
解法1
曲線 $C: y = x^4 - 2x^2 + 1$ とする。 関数 $f(x) = x^4 - 2x^2 + 1$ とおくと、導関数は
$$ f'(x) = 4x^3 - 4x = 4x(x^2 - 1) $$
である。 曲線 $C$ 上の点 $(t, f(t))$ における接線の方程式は
$$ y - (t^4 - 2t^2 + 1) = 4t(t^2 - 1)(x - t) $$
すなわち
$$ y = 4t(t^2 - 1)x - 3t^4 + 2t^2 + 1 $$
である。この接線が点 $(a, 0)$ を通る条件は
$$ 0 = 4at(t^2 - 1) - 3t^4 + 2t^2 + 1 $$
$$ 3t^4 - 4at^3 - 2t^2 + 4at - 1 = 0 $$
この左辺は $t = 1, -1$ を代入するとともに $0$ になるため、因数定理を用いて整理すると
$$ 3t^4 - 2t^2 - 1 - 4at(t^2 - 1) = 0 $$
$$ (t^2 - 1)(3t^2 + 1) - 4at(t^2 - 1) = 0 $$
$$ (t^2 - 1)(3t^2 - 4at + 1) = 0 $$
よって、接点の $x$ 座標 $t$ は次の方程式を満たす。
$$ t = \pm 1 \quad \text{または} \quad 3t^2 - 4at + 1 = 0 \cdots \text{①} $$
ここで、曲線 $C$ に二重接線が存在するかを調べる。 直線 $y = mx + n$ が曲線 $C$ に異なる2点で接すると仮定すると、恒等式
$$ x^4 - 2x^2 + 1 - (mx + n) = (x^2 - px + q)^2 $$
が成り立つ。右辺を展開して係数を比較すると
$$ \begin{cases} 0 = -2p \\ -2 = p^2 + 2q \\ -m = -2pq \\ 1 - n = q^2 \end{cases} $$
これを解くと $p = 0, q = -1, m = 0, n = 0$ と定まる。 したがって、曲線 $C$ の二重接線は $y = 0$($x$ 軸)のみであり、接点は $x = \pm 1$ の2点である。 これ以外の点における接線は、すべて異なる直線となる。
$t = \pm 1$ のとき、対応する接線は $y = 0$($x$ 軸)である。 求める条件は「$x$ 軸以外に接線がただ 1 本存在する」ことであるから、2次方程式①が $t \neq \pm 1$ の範囲に実数解をただ 1 つもてばよい。 これには以下の 2 つの場合がある。
(i) ①が $t \neq \pm 1$ の重解をもつ場合
①の判別式を $D$ とすると、$D = 0$ となればよいので
$$ \frac{D}{4} = 4a^2 - 3 = 0 $$
$$ a = \pm \frac{\sqrt{3}}{2} $$
このとき、①の重解は $t = \frac{2a}{3} = \pm \frac{\sqrt{3}}{3}$ であり、明らかに $t \neq \pm 1$ を満たす。よって、これらは適する。
(ii) ①が $t = 1$ または $t = -1$ を解にもち、もう 1 つの解が $t \neq \pm 1$ である場合
$t = 1$ が①の解であるとき
$$ 3 - 4a + 1 = 0 \iff a = 1 $$
このとき①は $3t^2 - 4t + 1 = 0$ となり、$(t - 1)(3t - 1) = 0$ より解は $t = 1, \frac{1}{3}$ となる。もう 1 つの解 $\frac{1}{3}$ は $\pm 1$ ではないため適する。
$t = -1$ が①の解であるとき
$$ 3 + 4a + 1 = 0 \iff a = -1 $$
このとき①は $3t^2 + 4t + 1 = 0$ となり、$(t + 1)(3t + 1) = 0$ より解は $t = -1, -\frac{1}{3}$ となる。もう 1 つの解 $-\frac{1}{3}$ は $\pm 1$ ではないため適する。
(i), (ii) より、求める $a$ の値がすべて求まった。
解説
接点の個数と接線の本数の対応に注意が必要な、微分法における典型的な応用問題である。 3次関数のグラフでは「接点の個数=接線の本数」が常に成り立つが、4次関数では二重接線が存在し得るため、この 1 対 1 対応が崩れる箇所がある。本問では $y = (x^2 - 1)^2$ と変形できることから、$x$ 軸が $x = \pm 1$ で接する二重接線であることは直感的に見抜きやすいが、それ以外の二重接線が存在しないことを恒等式を用いて論証できれば完璧である。 後半は、導出した $t$ の2次方程式の「解の配置」問題に帰着する。特定の値を解にもつ場合を忘れずに検証する慎重さが求められる。
答え
$$ a = \pm 1, \pm \frac{\sqrt{3}}{2} $$
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