大阪大学 1995年 文系 第2問 解説

方針・初手
点 $P$ は円周上にあるため、パラメータを用いて三角関数で座標を表すか、座標をそのまま文字でおいて軌跡の考え方(実数存在条件)を用いるかのいずれかの方針が考えられる。 直線 $AP$ 上の点 $Q$ を実数倍のパラメータで表し、平面 $x+y+z=-2$ 上にあるという条件からパラメータの値を求めて $z$ 座標の関数に帰着させるのが確実なアプローチである。
解法1
点 $P$ は $xy$ 平面上の原点を中心とする半径 $1$ の円周上にあるため、媒介変数 $\theta$($0 \le \theta < 2\pi$)を用いて、$P(\cos\theta, \sin\theta, 0)$ とおくことができる。 また、定点 $(0, 0, 2)$ を $A$ とおく。
点 $Q$ は直線 $AP$ 上にあるので、実数 $t$ を用いて $\vec{OQ} = (1-t)\vec{OA} + t\vec{OP}$ と表せる。 成分で表すと、
$$ \vec{OQ} = (1-t)(0, 0, 2) + t(\cos\theta, \sin\theta, 0) = (t\cos\theta, t\sin\theta, 2-2t) $$
となる。 点 $Q$ は平面 $x+y+z=-2$ 上にあるから、各成分を代入して
$$ t\cos\theta + t\sin\theta + 2-2t = -2 $$
$$ t(\cos\theta + \sin\theta - 2) = -4 $$
ここで、$0 \le \theta < 2\pi$ において $-2 \le \cos\theta + \sin\theta \le \sqrt{2} < 2$ であるから、$\cos\theta + \sin\theta - 2 \neq 0$ となる。 したがって、両辺を割って $t$ を求めることができる。
$$ t = \frac{4}{2 - (\cos\theta + \sin\theta)} $$
点 $Q$ の $z$ 座標を $z_Q$ とすると、$z_Q = 2-2t$ であるから、
$$ z_Q = 2 - \frac{8}{2 - (\cos\theta + \sin\theta)} $$
と表される。 ここで、$u = \cos\theta + \sin\theta$ とおくと、三角関数の合成より $u = \sqrt{2}\sin\left(\theta + \frac{\pi}{4}\right)$ となるため、$0 \le \theta < 2\pi$ より $u$ のとり得る値の範囲は
$$ -\sqrt{2} \le u \le \sqrt{2} $$
である。 このとき、$z_Q$ は $u$ の関数として次のように表せる。
$$ z_Q = 2 - \frac{8}{2-u} $$
$-\sqrt{2} \le u \le \sqrt{2}$ の範囲において、$2-u > 0$ である。 $u$ の値が増加するとき、分母の $2-u$ の値は減少し、$\frac{8}{2-u}$ の値は増加するため、$z_Q$ は単調に減少する関数である。
したがって、$z_Q$ は $u = -\sqrt{2}$ のときに最大値、 $u = \sqrt{2}$ のときに最小値をとる。
最大値:
$$ 2 - \frac{8}{2 - (-\sqrt{2})} = 2 - \frac{8(2-\sqrt{2})}{(2+\sqrt{2})(2-\sqrt{2})} = 2 - \frac{8(2-\sqrt{2})}{4-2} = 2 - 4(2-\sqrt{2}) = -6 + 4\sqrt{2} $$
最小値:
$$ 2 - \frac{8}{2 - \sqrt{2}} = 2 - \frac{8(2+\sqrt{2})}{(2-\sqrt{2})(2+\sqrt{2})} = 2 - \frac{8(2+\sqrt{2})}{4-2} = 2 - 4(2+\sqrt{2}) = -6 - 4\sqrt{2} $$
解法2
定点 $(0, 0, 2)$ を $A$ とおく。 点 $P$ の座標を $(X, Y, 0)$ とおくと、点 $P$ は半径 $1$ の円周上にあるため、
$$ X^2 + Y^2 = 1 \cdots \text{①} $$
が成り立つ。 点 $Q$ の座標を $(x, y, z)$ とおく。 点 $Q$ は直線 $AP$ 上にあるので、実数 $k$ を用いて $\vec{AQ} = k\vec{AP}$ と表せる。
$$ (x, y, z-2) = k(X, Y, -2) = (kX, kY, -2k) $$
これより、$x=kX$、$y=kY$、$z=2-2k$ である。 点 $Q$ は平面 $x+y+z=-2$ 上にあるので、
$$ kX + kY + 2-2k = -2 $$
$$ k(X+Y) = 2k-4 \cdots \text{②} $$
ここで $k=0$ とすると、②より $0=-4$ となり矛盾するため $k \neq 0$ である。 また、$z=2-2k$ より $k = \frac{2-z}{2}$ であり、$k \neq 0$ から $z \neq 2$ となる。 ②の両辺を $k$ で割り、$k = \frac{2-z}{2}$ を代入すると、
$$ X+Y = \frac{2k-4}{k} = 2 - \frac{4}{k} = 2 - \frac{8}{2-z} = \frac{2(2-z)-8}{2-z} = \frac{2z+4}{z-2} \cdots \text{③} $$
一方、実数 $X, Y$ について、コーシー・シュワルツの不等式 $(1^2+1^2)(X^2+Y^2) \ge (X+Y)^2$ を用いると、①より
$$ 2 \ge (X+Y)^2 $$
$$ -\sqrt{2} \le X+Y \le \sqrt{2} \cdots \text{④} $$
が成り立つ。(※直線 $X+Y=C$ と円 $X^2+Y^2=1$ が共有点をもつ条件から導くこともできる) ③を④に代入して、
$$ -\sqrt{2} \le \frac{2z+4}{z-2} \le \sqrt{2} $$
各辺から絶対値をとって表現すると、
$$ \left| \frac{2z+4}{z-2} \right| \le \sqrt{2} $$
両辺は正または $0$ であるから、そのまま2乗しても同値性は崩れない。
$$ \frac{4(z+2)^2}{(z-2)^2} \le 2 $$
$$ 2(z^2+4z+4) \le z^2-4z+4 $$
$$ z^2+12z+4 \le 0 $$
これを解くと、
$$ -6-4\sqrt{2} \le z \le -6+4\sqrt{2} $$
なお、$-6+4\sqrt{2} < -6+4\times 1.5 = 0 < 2$ であるため、$z \neq 2$ の条件は常に満たされている。 よって、$z$ の最大値は $-6+4\sqrt{2}$、最小値は $-6-4\sqrt{2}$ である。
解説
空間図形において「定点と動点を通る直線と、特定の平面の交点」の軌跡や取り得る値の範囲を求める典型的な問題である。 解法1のように、媒介変数 $\theta$ や直線上の点を表すパラメータ $t$ を自ら設定し、立式してから不要な文字を消去していく手法が最も確実である。最終的に分数関数と三角関数の合成に帰着するため、単調性に注意して最大最小を求めればよい。 解法2のように、初めから座標を文字でおき、元の条件式 $X^2+Y^2=1$ と直線・平面の条件を連立させて不要な文字を消去し、$z$ だけの不等式を導く手法も強力である。実数の存在条件や不等式を利用して値域を絞り込む考え方は、難関大で頻出の処理である。
答え
最大値は $-6 + 4\sqrt{2}$、最小値は $-6 - 4\sqrt{2}$
自分の記録
誤りを報告
解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。











