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大阪大学 2002年 文系 第1問 解説

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大阪大学 2002年 文系 第1問 解説

方針・初手

(1) 与えられた方程式を $f(x) = 0$ の形に置き、関数 $f(x)$ の増減を調べる。導関数 $f'(x)$ の符号を調べることで単調性を示し、グラフの概形と $x$ 軸との交点の個数を考える。

(2) (1) の結果から $p$ を $\alpha$ の式で、$q$ を $\beta$ の式で表すことができる。それらを証明すべき不等式の右辺に代入して因数分解する方針(解法1)と、関数の差分に着目して平均値の定理を利用する方針(解法2)が考えられる。どちらの場合も、条件 $p \geqq 2, q \geqq 2$ から $\alpha, \beta$ のとり得る値の範囲を絞り込むことが鍵となる。

解法1

(1) 関数 $f(x) = x^3 + x - p$ を考える。 $x$ について微分すると、

$$ f'(x) = 3x^2 + 1 $$

すべての実数 $x$ において $x^2 \geqq 0$ であるから、$f'(x) > 0$ となる。 したがって、$f(x)$ は実数全体で単調に増加する。 また、

$$ \lim_{x \to -\infty} f(x) = -\infty $$

$$ \lim_{x \to \infty} f(x) = \infty $$

であるから、$y=f(x)$ のグラフは連続であり、$x$ 軸とただ1つの交点を持つ。 ゆえに、3次方程式 $x^3 + x - p = 0$ の実数解の個数は1個である。

(2) (1)より、$x^3 + x - p = 0$ の唯一の実数解が $\alpha$ であるから、

$$ \alpha^3 + \alpha - p = 0 \iff p = \alpha^3 + \alpha $$

が成り立つ。同様に、$x^3 + x - q = 0$ の唯一の実数解が $\beta$ であるから、

$$ \beta^3 + \beta - q = 0 \iff q = \beta^3 + \beta $$

が成り立つ。 ここで、$g(x) = x^3 + x$ とおくと、(1)の議論から $g'(x) = 3x^2 + 1 > 0$ であり、$g(x)$ は単調増加関数である。 条件より $p \geqq 2$ であり、また $g(1) = 1^3 + 1 = 2$ であるから、

$$ g(\alpha) \geqq g(1) $$

となり、単調増加性より

$$ \alpha \geqq 1 $$

が導かれる。同様に、$q \geqq 2$ より $g(\beta) \geqq g(1)$ となるから、

$$ \beta \geqq 1 $$

である。 さて、示すべき不等式の右辺にある $|p - q|$ に代入して変形する。

$$ \begin{aligned} |p - q| &= |(\alpha^3 + \alpha) - (\beta^3 + \beta)| \\ &= |(\alpha^3 - \beta^3) + (\alpha - \beta)| \\ &= |(\alpha - \beta)(\alpha^2 + \alpha\beta + \beta^2) + (\alpha - \beta)| \\ &= |\alpha - \beta||\alpha^2 + \alpha\beta + \beta^2 + 1| \end{aligned} $$

ここで、$\alpha \geqq 1, \beta \geqq 1$ であるから、

$$ \alpha^2 + \alpha\beta + \beta^2 + 1 \geqq 1^2 + 1 \cdot 1 + 1^2 + 1 = 4 $$

が成り立つ。すなわち $|\alpha^2 + \alpha\beta + \beta^2 + 1| \geqq 4$ であるから、

$$ |p - q| \geqq 4|\alpha - \beta| $$

となる。両辺を $4$ で割ることで、

$$ |\alpha - \beta| \leqq \frac{1}{4}|p - q| $$

が得られ、与不等式が成立することが示された。

解法2

(2)の別解として、平均値の定理を利用する解法を示す。

解法1と同様に、$g(x) = x^3 + x$ とおくと、$p = g(\alpha)$、$q = g(\beta)$ であり、単調増加性から $\alpha \geqq 1$ および $\beta \geqq 1$ となる。

(i)

$\alpha = \beta$ のとき $p = q$ となり、示すべき不等式の両辺はともに $0$ となるため、成立する。

(ii)

$\alpha \neq \beta$ のとき 関数 $g(x)$ はすべての実数において連続かつ微分可能であるから、区間 $[\alpha, \beta]$ (または $[\beta, \alpha]$)において平均値の定理を適用できる。

$$ \frac{g(\alpha) - g(\beta)}{\alpha - \beta} = g'(c) $$

を満たす実数 $c$ が $\alpha$ と $\beta$ の間に存在する。 $\alpha \geqq 1, \beta \geqq 1$ であり、かつ $\alpha \neq \beta$ であるから、その間にある $c$ は $c > 1$ を満たす。 $g'(x) = 3x^2 + 1$ であるため、

$$ g'(c) = 3c^2 + 1 > 3 \cdot 1^2 + 1 = 4 $$

となる。したがって、

$$ \left| \frac{p - q}{\alpha - \beta} \right| = g'(c) > 4 $$

$\alpha \neq \beta$ より $|\alpha - \beta| > 0$ であるから、両辺に $\frac{1}{4}|\alpha - \beta|$ を掛けて整理すると、

$$ |\alpha - \beta| < \frac{1}{4}|p - q| $$

となり成立する。

(i), (ii) より、すべての条件において

$$ |\alpha - \beta| \leqq \frac{1}{4}|p - q| $$

が成立する。

解説

(1) は3次方程式の実数解の個数を問う基本的な問題である。導関数を利用してグラフの単調性を確認する手順は、微積分における標準的な処理である。

(2) は方程式の解を文字でおき、その文字を用いた恒等式(今回は $p = \alpha^3 + \alpha$ など)を作り出すことが第一歩である。$p \geqq 2$ などの条件が与えられたとき、「その条件が解 $\alpha$ に対してどのような制約を与えるか」を考える必要がある。(1) で調べた関数の単調増加性を利用することで、$\alpha \geqq 1$ という強力な条件を引き出せるかどうかが、この問題を解き切る最大のポイントである。

変形後は代数的に評価する(解法1)のが自然であるが、関数の差の形 $|f(\alpha) - f(\beta)|$ が現れることから、平均値の定理(解法2)を連想できると、より簡潔に記述できる場合がある。

答え

(1)

関数 $f(x) = x^3 + x - p$ が単調増加であることと極限から、交点が1つであることを示した。

(2)

条件より導かれる $\alpha \geqq 1, \beta \geqq 1$ を用いて代数的に評価(または平均値の定理を利用)することにより、与不等式が成立することを示した。

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