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大阪大学 2003年 文系 第1問 解説

旧課程/行列・一次変換数学C/平面ベクトル数学2/式と証明テーマ/図形総合
大阪大学 2003年 文系 第1問 解説

方針・初手

定義された演算 $\{\vec{p}, \vec{q}\}$ は外積の $z$ 成分(または $2 \times 2$ 行列の行列式)に相当する。(1) は各ベクトルを成分で表して直接計算するのが最も簡明である。(2) は $l>0$ より $\vec{a}$ と $\vec{b}$ が一次独立であることに着目し、任意のベクトルを $\vec{a}$ と $\vec{b}$ で表した式に、(1) で得られた関係式の定数倍を足し合わせることで係数を非負にする工夫を行う。

解法1

(1)

$\vec{a} = (a_1, a_2)$, $\vec{b} = (b_1, b_2)$, $\vec{c} = (c_1, c_2)$ とおく。 与えられた定義 $\{\vec{p}, \vec{q}\} = p_1 q_2 - p_2 q_1$ より、条件の $l, m, n$ は次のように表される。

$$ \begin{aligned} l &= a_1 b_2 - a_2 b_1 \\ m &= b_1 c_2 - b_2 c_1 \\ n &= c_1 a_2 - c_2 a_1 \end{aligned} $$

これらを用いて、ベクトル $l\vec{c} + m\vec{a} + n\vec{b}$ の各成分を計算する。 $x$ 成分は、

$$ \begin{aligned} & l c_1 + m a_1 + n b_1 \\ &= (a_1 b_2 - a_2 b_1)c_1 + (b_1 c_2 - b_2 c_1)a_1 + (c_1 a_2 - c_2 a_1)b_1 \\ &= a_1 b_2 c_1 - a_2 b_1 c_1 + b_1 c_2 a_1 - b_2 c_1 a_1 + c_1 a_2 b_1 - c_2 a_1 b_1 \\ &= (a_1 b_2 c_1 - b_2 c_1 a_1) + (-a_2 b_1 c_1 + c_1 a_2 b_1) + (b_1 c_2 a_1 - c_2 a_1 b_1) \\ &= 0 \end{aligned} $$

$y$ 成分は、

$$ \begin{aligned} & l c_2 + m a_2 + n b_2 \\ &= (a_1 b_2 - a_2 b_1)c_2 + (b_1 c_2 - b_2 c_1)a_2 + (c_1 a_2 - c_2 a_1)b_2 \\ &= a_1 b_2 c_2 - a_2 b_1 c_2 + b_1 c_2 a_2 - b_2 c_1 a_2 + c_1 a_2 b_2 - c_2 a_1 b_2 \\ &= (a_1 b_2 c_2 - c_2 a_1 b_2) + (-a_2 b_1 c_2 + b_1 c_2 a_2) + (-b_2 c_1 a_2 + c_1 a_2 b_2) \\ &= 0 \end{aligned} $$

各成分がともに $0$ となるため、

$$ l\vec{c} + m\vec{a} + n\vec{b} = \vec{0} $$

が成り立つ。

(2)

条件より $l > 0$ であるため、$\{\vec{a}, \vec{b}\} = a_1 b_2 - a_2 b_1 \neq 0$ である。 したがって、$\vec{a}$ と $\vec{b}$ は一次独立であり、平面上の任意のベクトル $\vec{d}$ は実数 $x, y$ を用いて

$$ \vec{d} = x\vec{a} + y\vec{b} $$

と一意に表すことができる。

また、(1) の結果より $m\vec{a} + n\vec{b} + l\vec{c} = \vec{0}$ であるから、任意の実数 $k$ に対して

$$ k(m\vec{a} + n\vec{b} + l\vec{c}) = \vec{0} $$

が成り立つ。これを $\vec{d}$ の式に加えると、

$$ \begin{aligned} \vec{d} &= x\vec{a} + y\vec{b} + k(m\vec{a} + n\vec{b} + l\vec{c}) \\ &= (x + km)\vec{a} + (y + kn)\vec{b} + kl\vec{c} \end{aligned} $$

となる。ここで、各ベクトルの係数を

$$ \begin{aligned} r &= x + km \\ s &= y + kn \\ t &= kl \end{aligned} $$

とおく。

$l, m, n$ はすべて正の実数であるため、$r, s, t$ がすべて $0$ 以上となる条件は、

$$ \begin{aligned} x + km \geqq 0 &\iff k \geqq -\frac{x}{m} \\ y + kn \geqq 0 &\iff k \geqq -\frac{y}{n} \\ kl \geqq 0 &\iff k \geqq 0 \end{aligned} $$

である。したがって、$k$ を

$$ k \geqq \max\left(0, -\frac{x}{m}, -\frac{y}{n}\right) $$

を満たすように(例えば十分大きな正の実数として)一つ選べば、$r \geqq 0$, $s \geqq 0$, $t \geqq 0$ を満たすことができる。

以上より、任意の平面ベクトル $\vec{d}$ は、$0$ 以上の実数 $r, s, t$ を用いて $\vec{d} = r\vec{a} + s\vec{b} + t\vec{c}$ と表すことができることが示された。

解説

(1) で定義されている $\{\vec{p}, \vec{q}\}$ は、2つのベクトルが張る平行四辺形の有向面積(外積の大きさ、あるいは行列式)を意味する。この性質を用いると図形的な意味付けも可能だが、本問では素直に成分を代入して代数的に計算するのが最も簡潔で確実である。

(2) は「$\vec{0}$ の定数倍を足しても値が変わらない」という性質を利用し、係数の調整を行う問題である。$l, m, n$ が正であるという条件と、$\{\vec{a}, \vec{b}\} = l > 0$ から $\vec{a}, \vec{b}$ が基底をなすという事実を結びつけることができるかが鍵となる。

答え

(1)

略(証明問題のため)

(2)

略(証明問題のため)

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