トップ 大阪大学 2004年 文系 第1問

大阪大学 2004年 文系 第1問 解説

数学2/微分法数学2/図形と式テーマ/接線・法線テーマ/最大・最小
大阪大学 2004年 文系 第1問 解説

方針・初手

(1) については、3次関数が極値をもつための条件、すなわち導関数 $f'(x) = 0$ が異なる2つの実数解をもつ条件を判別式を用いて求める。

(2) については、極値をとる点を通る直線の傾きを求めるため、$f(x)$ を $f'(x)$ で割る「次数下げ」の計算が有効である。これにより、直接 $\alpha, \beta$ を代入して計算する手間を大幅に省くことができる。また、平行移動に関する証明では、3次関数のグラフが変曲点について点対称であることを利用し、変曲点を原点に移すような平行移動を考えると見通しが良い。

解法1

(1)

与えられた関数は以下の通りである。

$$ f(x) = x^3 + 3ax^2 + bx + c $$

これを $x$ で微分すると導関数が得られる。

$$ f'(x) = 3x^2 + 6ax + b $$

3次関数 $f(x)$ が極値をもつための条件は、2次方程式 $f'(x) = 0$ が異なる2つの実数解をもつことである。$f'(x) = 0$ の判別式を $D$ とすると、$D > 0$ が成り立てばよい。

$$ \frac{D}{4} = (3a)^2 - 3 \cdot b = 9a^2 - 3b $$

したがって、求める条件は以下のようになる。

$$ 9a^2 - 3b > 0 $$

$$ 3a^2 - b > 0 $$

(2)

まず、$f(x)$ を $f'(x)$ で割り算し、商と余りを求める。

$$ f(x) = \left( \frac{1}{3}x + \frac{1}{3}a \right) f'(x) + \left( -2a^2 + \frac{2}{3}b \right) x + c - \frac{1}{3}ab $$

ここで、$x = \alpha, \beta$ は $f(x)$ が極値をとる点であるから、$f'(\alpha) = 0$ および $f'(\beta) = 0$ を満たす。これを上の等式に代入すると、以下の式が得られる。

$$ f(\alpha) = \left( -2a^2 + \frac{2}{3}b \right) \alpha + c - \frac{1}{3}ab $$

$$ f(\beta) = \left( -2a^2 + \frac{2}{3}b \right) \beta + c - \frac{1}{3}ab $$

この2つの式は、点 $(\alpha, f(\alpha))$ と点 $(\beta, f(\beta))$ がともに直線 $y = \left( -2a^2 + \frac{2}{3}b \right) x + c - \frac{1}{3}ab$ 上にあることを示している。したがって、この2点を結ぶ直線の傾き $m$ は、この直線の傾きそのものである。

$$ m = -2a^2 + \frac{2}{3}b $$

次に、平行移動について考える。$y=f(x)$ のグラフの変曲点の $x$ 座標を求めるため、第2次導関数 $f''(x) = 0$ となる $x$ を探す。

$$ f''(x) = 6x + 6a $$

$f''(x) = 0$ より $x = -a$ である。3次関数のグラフは変曲点 $(-a, f(-a))$ に関して点対称であるため、この変曲点が原点 $(0,0)$ に重なるように平行移動を行う。すなわち、$x$ 軸方向に $a$、$y$ 軸方向に $-f(-a)$ だけ平行移動する。移動後の関数を $g(x)$ とすると、次のように表せる。

$$ g(x) = f(x-a) - f(-a) $$

まず、$f(x-a)$ を計算する。

$$ f(x-a) = (x-a)^3 + 3a(x-a)^2 + b(x-a) + c $$

$$ = (x^3 - 3ax^2 + 3a^2x - a^3) + 3a(x^2 - 2ax + a^2) + bx - ab + c $$

$$ = x^3 - 3ax^2 + 3a^2x - a^3 + 3ax^2 - 6a^2x + 3a^3 + bx - ab + c $$

$$ = x^3 + (-3a^2 + b)x + 2a^3 - ab + c $$

また、$f(-a)$ を計算する。

$$ f(-a) = (-a)^3 + 3a(-a)^2 + b(-a) + c = 2a^3 - ab + c $$

したがって、$g(x)$ は以下のように簡略化される。

$$ g(x) = \left\{ x^3 + (-3a^2 + b)x + 2a^3 - ab + c \right\} - (2a^3 - ab + c) $$

$$ = x^3 + (-3a^2 + b)x $$

先ほど求めた傾き $m = -2a^2 + \frac{2}{3}b$ を用いると、$-3a^2 + b$ は次のように変形できる。

$$ \frac{3}{2}m = \frac{3}{2} \left( -2a^2 + \frac{2}{3}b \right) = -3a^2 + b $$

これを $g(x)$ に代入する。

$$ g(x) = x^3 + \frac{3}{2}mx $$

以上により、$y=f(x)$ のグラフは、$x$ 軸方向に $a$、$y$ 軸方向に $-f(-a)$ の平行移動によって、関数 $y = x^3 + \frac{3}{2}mx$ のグラフに移ることが示された。

解法2

(2) の前半(傾き $m$ の別解)

$x = \alpha, \beta$ は 2次方程式 $3x^2 + 6ax + b = 0$ の2つの解であるため、解と係数の関係より以下の等式が成り立つ。

$$ \alpha + \beta = -2a $$

$$ \alpha\beta = \frac{b}{3} $$

2点 $(\alpha, f(\alpha)), (\beta, f(\beta))$ を結ぶ直線の傾き $m$ は、変化の割合として次のように計算できる。

$$ m = \frac{f(\beta) - f(\alpha)}{\beta - \alpha} $$

分子を計算し、$\beta - \alpha$ で割る。

$$ \frac{(\beta^3 - \alpha^3) + 3a(\beta^2 - \alpha^2) + b(\beta - \alpha)}{\beta - \alpha} $$

$$ = (\beta^2 + \beta\alpha + \alpha^2) + 3a(\beta + \alpha) + b $$

対称式として整理するため、$(\alpha + \beta)$ と $\alpha\beta$ で表す。

$$ = (\alpha + \beta)^2 - \alpha\beta + 3a(\alpha + \beta) + b $$

解と係数の関係の式を代入する。

$$ m = (-2a)^2 - \frac{b}{3} + 3a(-2a) + b $$

$$ = 4a^2 - \frac{b}{3} - 6a^2 + b $$

$$ = -2a^2 + \frac{2}{3}b $$

解説

本問は、3次関数の極値に関する典型的なテーマを扱っている。

(2) の前半において、「極値をとる2点を通る直線」の方程式や傾きを求める際には、直接代入して計算するよりも、$f(x)$ を $f'(x)$ で割った余りを利用する「次数下げ」のテクニックが非常に有用である。計算ミスを減らし、時間を短縮できるため、ぜひ習得しておきたい。

後半の「平行移動」については、3次関数が変曲点に関して点対称であるという性質を理解しているかが問われている。変曲点を原点に移す平行移動を行えば、2次の項と定数項が消え、$y = x^3 + px$ のような奇関数の形(原点対称)に帰着できることを知っていれば、方針に迷うことなく計算を進められる。

答え

(1)

$$ 3a^2 - b > 0 $$

(2)

傾き $m$ は以下のように表される。

$$ m = -2a^2 + \frac{2}{3}b $$

また、$y=f(x)$ のグラフを $x$ 軸方向に $a$、$y$ 軸方向に $-f(-a)$ だけ平行移動させることにより、$y=x^3+\frac{3}{2}mx$ のグラフに移ることが示された。(証明は解法1に記載)

自分の記録

ログインすると保存できます。

誤りを報告

解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。