大阪大学 1991年 理系 第1問 解説

方針・初手
2つのグラフの交点の $x$ 座標を文字でおき、解と係数の関係を用いて条件式を導く。放物線上の点と直線の距離の式を点と直線の距離の公式から立て、その最大値を求める。求まった最大値の式について、相加平均と相乗平均の大小関係を用いて最大化を行う。
解法1
(1) 放物線 $y = ax^2 - bx + b$ と直線 $y = a^2x$ の交点の $x$ 座標を $\alpha, \beta$ ($\alpha < \beta$) とする。
これらは2次方程式 $ax^2 - bx + b = a^2x$、すなわち $ax^2 - (a^2+b)x + b = 0$ の2つの実数解である。
解と係数の関係より
$$ \alpha + \beta = \frac{a^2+b}{a}, \quad \alpha\beta = \frac{b}{a} $$
交点の $x$ 座標の差の絶対値は $1$ であるから、$\beta - \alpha = 1$ より $(\beta - \alpha)^2 = 1$ である。
$$ (\alpha + \beta)^2 - 4\alpha\beta = 1 $$
$$ \left(\frac{a^2+b}{a}\right)^2 - 4\frac{b}{a} = 1 $$
整理すると
$$ \frac{(a^2+b)^2 - 4ab}{a^2} = 1 $$
$$ (a^2+b)^2 - 4ab = a^2 $$
を得る。
放物線上の点を $R(t, at^2 - bt + b)$ ($\alpha \le t \le \beta$) とおく。点 $R$ と直線 $a^2x - y = 0$ の距離 $l(t)$ は、点と直線の距離の公式より
$$ l(t) = \frac{|a^2t - (at^2 - bt + b)|}{\sqrt{(a^2)^2 + (-1)^2}} = \frac{|-at^2 + (a^2+b)t - b|}{\sqrt{a^4+1}} $$
絶対値の中身の2次関数を $f(t) = -at^2 + (a^2+b)t - b$ とおく。
$a > 0$ であり、放物線の弧 $PQ$ は直線 $y = a^2x$ の下側にあるため、$\alpha \le t \le \beta$ の範囲で $f(t) \ge 0$ である。
$f(t)$ を平方完成すると
$$ f(t) = -a\left(t - \frac{a^2+b}{2a}\right)^2 + \frac{(a^2+b)^2 - 4ab}{4a} $$
ここで、先ほど求めた関係式 $(a^2+b)^2 - 4ab = a^2$ を用いると
$$ f(t) = -a\left(t - \frac{a^2+b}{2a}\right)^2 + \frac{a^2}{4a} = -a\left(t - \frac{a^2+b}{2a}\right)^2 + \frac{a}{4} $$
したがって、$f(t)$ の最大値は $\frac{a}{4}$ である。
よって、距離の最大値 $d$ は
$$ d = \frac{\frac{a}{4}}{\sqrt{a^4+1}} = \frac{a}{4\sqrt{a^4+1}} $$
(2) (1) で求めた $d$ について、分母分子を正の数 $a$ で割ると
$$ d = \frac{1}{4\sqrt{\frac{a^4+1}{a^2}}} = \frac{1}{4\sqrt{a^2 + \frac{1}{a^2}}} $$
$a > 0$ より $a^2 > 0, \frac{1}{a^2} > 0$ であるから、相加平均と相乗平均の大小関係より
$$ a^2 + \frac{1}{a^2} \ge 2\sqrt{a^2 \cdot \frac{1}{a^2}} = 2 $$
等号が成立するのは $a^2 = \frac{1}{a^2}$ のときであり、$a > 0$ より $a^4 = 1$、すなわち $a = 1$ のときである。
このとき分母が最小となるため、$d$ は最大となる。
$a = 1$ のとき、(1) で導いた関係式 $(a^2+b)^2 - 4ab = a^2$ に代入して
$$ (1+b)^2 - 4b = 1 $$
$$ 1 + 2b + b^2 - 4b = 1 $$
$$ b^2 - 2b = 0 $$
$$ b(b - 2) = 0 $$
よって、$b = 0, 2$ を得る。
解説
放物線と直線の交点条件を「解と係数の関係」を用いて処理し、放物線上の点と直線の距離を最大化する典型的な問題である。
点と直線の距離の公式を用いた後の分子の2次関数は、そのまま平方完成して交点条件の式を代入してもよいし、$-a(t-\alpha)(t-\beta)$ と因数分解できることに着目して最大値 $a \frac{(\beta-\alpha)^2}{4}$ を求めてもよい。
(2) の最大化では、分母と分子に変数 $a$ が散らばっているため、分母分子を $a$ で割ることで変数を分母に集約し、$a^2 + \frac{1}{a^2}$ の形を作り出すのが定石である。ここで相加平均・相乗平均の関係を用いることで、微分計算を避けて簡潔に最大値をとる条件を求めることができる。
答え
(1)
$$ d = \frac{a}{4\sqrt{a^4+1}} $$
(2)
$$ a = 1, \quad b = 0, 2 $$
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