大阪大学 1992年 理系 第1問 解説

方針・初手
座標平面を設定し、与えられた条件を数式に落とし込んで計算を進める方針をとる。
放物線 $F$ は下に凸で頂点が原点 $O$ であるから、その方程式を $y = ax^2$ $(a > 0)$ とおくことができる。また、放物線 $G$ は上に凸で頂点が $A(p, q)$ であるから、その方程式を $y = -b(x-p)^2 + q$ $(b > 0)$ とおく。
点 $P$ から順に $Q, R$ の座標を求め、ベクトルや共線条件を用いて交点 $R$ の位置を特定する。点 $P$ の座標を変数を用いて表す際、頂点 $A$ からの $x$ 座標の増分を文字でおくことで、計算量を大幅に減らすことができる。
解法1
$F$ は下に凸で頂点が $O(0,0)$ であるから、正の定数 $a$ を用いて次のように表せる。
$$ F: y = ax^2 $$
$G$ は上に凸で頂点が $A(p, q)$ であるから、正の定数 $b$ を用いて次のように表せる。
$$ G: y = -b(x-p)^2 + q $$
ただし、点 $A$ は原点と異なるため $(p, q) \neq (0, 0)$ である。
点 $P$ は $G$ 上の点である。その $x$ 座標を $p+w$ とおく。点 $P$ は直線 $OA$ 上にはないため、点 $A$ と一致することはなく、$w \neq 0$ である。このとき、点 $P$ の座標は次のようになる。
$$ P(p+w, q-bw^2) $$
直線 $AP$ の傾き $m$ は次のように計算できる。
$$ m = \frac{(q-bw^2) - q}{(p+w) - p} = \frac{-bw^2}{w} = -bw $$
直線 $OQ$ は原点 $O$ を通り直線 $AP$ に平行であるため、その方程式は $y = -bwx$ である。点 $Q$ は $F$ と直線 $OQ$ の交点のうち $O$ 以外の点である。$ax^2 = -bwx$ を解くと、$x \neq 0$ より $x = -\frac{bw}{a}$ となる。したがって、点 $Q$ の座標は次のようになる。
$$ Q\left( -\frac{bw}{a}, \frac{b^2 w^2}{a} \right) $$
点 $R$ は直線 $OA$ と直線 $PQ$ の交点である。$\vec{OA} = (p, q)$ であり、点 $R$ は直線 $OA$ 上にあるから、実数 $k$ を用いて $\vec{OR} = k \vec{OA}$ と表せる。すなわち $R(kp, kq)$ である。
また、点 $R$ は直線 $PQ$ 上にもあるため、3点 $P, Q, R$ は同一直線上にある。よって $\vec{PR} \parallel \vec{PQ}$ が成り立つ。それぞれの成分を計算する。
$$ \begin{aligned} \vec{PR} &= (kp - (p+w), kq - (q-bw^2)) \\ &= ((k-1)p - w, (k-1)q + bw^2) \end{aligned} $$
$$ \begin{aligned} \vec{PQ} &= \left( -\frac{bw}{a} - (p+w), \frac{b^2w^2}{a} - (q-bw^2) \right) \\ &= \left( -p - \frac{a+b}{a}w, -q + \frac{b(a+b)}{a}w^2 \right) \end{aligned} $$
$\vec{PR} \parallel \vec{PQ}$ より、2つのベクトルの成分のたすき掛けの差(外積)が $0$ となる。
$$ ((k-1)p - w) \left( -q + \frac{b(a+b)}{a}w^2 \right) - ((k-1)q + bw^2) \left( -p - \frac{a+b}{a}w \right) = 0 $$
これを展開して整理する。
$$ \begin{aligned} & -pq(k-1) + p\frac{b(a+b)}{a}w^2(k-1) + qw - \frac{b(a+b)}{a}w^3 \\ & - \left\{ -pq(k-1) - q\frac{a+b}{a}w(k-1) - pbw^2 - \frac{b(a+b)}{a}w^3 \right\} = 0 \end{aligned} $$
同類項である $-pq(k-1)$ および $-\frac{b(a+b)}{a}w^3$ が相殺され、次のようになる。
$$ p\frac{b(a+b)}{a}w^2(k-1) + qw + q\frac{a+b}{a}w(k-1) + pbw^2 = 0 $$
$w \neq 0$ であるから両辺を $w$ で割り、さらに項を整理する。
$$ p\frac{b(a+b)}{a}w(k-1) + q + q\frac{a+b}{a}(k-1) + pbw = 0 $$
共通する式でくくると、次のように因数分解できる。
$$ \begin{aligned} (k-1)\frac{a+b}{a} (bpw + q) + (bpw + q) &= 0 \\ (bpw + q) \left\{ (k-1)\frac{a+b}{a} + 1 \right\} &= 0 \end{aligned} $$
ここで、点 $P(p+w, q-bw^2)$ が直線 $OA: qx - py = 0$ 上にあると仮定すると、代入して次のようになる。
$$ \begin{aligned} q(p+w) - p(q-bw^2) &= 0 \\ qw + pbw^2 &= 0 \\ w(q + pbw) &= 0 \end{aligned} $$
問題の条件より点 $P$ は直線 $OA$ 上にはないため、$w(bpw + q) \neq 0$ である。$w \neq 0$ より $bpw + q \neq 0$ が保証される。
したがって、両辺を $bpw + q$ で割ることができ、以下の式を得る。
$$ (k-1)\frac{a+b}{a} + 1 = 0 $$
これを $k$ について解く。
$$ \begin{aligned} k - 1 &= -\frac{a}{a+b} \\ k &= 1 - \frac{a}{a+b} = \frac{b}{a+b} \end{aligned} $$
$a, b > 0$ であるから、$0 < k < 1$ を満たす。$\vec{OR} = k \vec{OA}$ であるため、点 $R$ は線分 $OA$ を $k : (1-k)$ に内分する点である。よって $OR$ と $AR$ の長さは次のように表される。
$$ OR = k OA, \quad AR = (1-k) OA $$
求める線分の長さの比 $\frac{AR}{OR}$ は次のようになる。
$$ \frac{AR}{OR} = \frac{1-k}{k} = \frac{1 - \frac{b}{a+b}}{\frac{b}{a+b}} = \frac{\frac{a}{a+b}}{\frac{b}{a+b}} = \frac{a}{b} $$
$a$ および $b$ は、与えられた2つの放物線の $x^2$ の係数の絶対値であり定数である。したがって、この比は点 $P$ の取り方(すなわち $p, q, w$ の値)に関係なく一定である。
解説
図形的性質やアフィン変換を用いることも考えられるが、適切に座標を設定して計算を進めるのが最も確実かつ自然な解法である。
計算を簡略化する最大の工夫は、点 $P$ の $x$ 座標をそのまま $u$ などとおくのではなく、頂点 $A$ の $x$ 座標 $p$ を基準として $p+w$ とおいたことである。これにより、直線 $AP$ の傾きや点 $Q$ の座標が非常にシンプルな単項式として表現でき、その後の計算量が劇的に減少する。
また、共線条件の計算途中で $(bpw + q)$ という因数が現れる点が非常に美しい。これが $0$ にならない根拠が、まさに問題文の「点 $P$ を直線 $OA$ 上にはないようにとる」という条件と完全に一致しており、見通しの良い立式ができていたことの証左となっている。
答え
点 $P$ の位置によらず、線分の長さの比は定数となる。具体的には、放物線 $F, G$ の方程式をそれぞれ $y=ax^2, y=-b(x-p)^2+q$ とおいたとき、比は放物線の開き具合のみに依存し、次のように一定になることが示された。
$$ \frac{AR}{OR} = \frac{a}{b} $$
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