東北大学 1985年 文系 第3問 解説

方針・初手
1回の操作が終わるごとに、容器 $A$ の液量は $6\mathrm{l}$、容器 $B$ の液量は $4\mathrm{l}$ に戻る。したがって、各回ごとの濃度の変化を漸化式で表すのが自然である。
まず $k$ 回操作後の濃度を $a_k%,,b_k%$ とし、次の1回の操作で $a_{k+1},,b_{k+1}$ がどう表されるかを求める。すると差 $b_k-a_k$ の漸化式が簡単に出る。また、全体の食塩の量は保存されるので、その関係と組み合わせれば $a_k,,b_k$ が求まる。
解法1
初期状態を
$$ a_0=a,\qquad b_0=b $$
とする。
$k$ 回操作後、容器 $A$ には濃度 $a_k%$ の食塩水が $6\mathrm{l}$、容器 $B$ には濃度 $b_k%$ の食塩水が $4\mathrm{l}$ 入っている。
まず、容器 $A$ から $1\mathrm{l}$ を容器 $B$ に移す。
このとき容器 $A$ に残る食塩の量は
$$ 5\cdot \frac{a_k}{100} $$
である。
一方、容器 $B$ に入る直前の食塩の量は $4\cdot \dfrac{b_k}{100}$、$A$ から移した $1\mathrm{l}$ に含まれる食塩の量は $\dfrac{a_k}{100}$ であるから、混合後の容器 $B$ の濃度は
$$ \frac{4\cdot \frac{b_k}{100}+\frac{a_k}{100}}{5}\times 100 =\frac{a_k+4b_k}{5} $$
となる。
この混合液を $1\mathrm{l}$ だけ容器 $A$ に戻すので、その $1\mathrm{l}$ の濃度も $\dfrac{a_k+4b_k}{5}%$ である。
したがって、操作後の容器 $A$ に含まれる食塩の量は
$$ 5\cdot \frac{a_k}{100}+\frac{1}{100}\cdot \frac{a_k+4b_k}{5} =\frac{26a_k+4b_k}{5\cdot 100} $$
であるから、
$$ a_{k+1} =\frac{1}{6}\cdot \frac{26a_k+4b_k}{5} =\frac{13a_k+2b_k}{15} $$
を得る。
また、容器 $B$ は混合後に $1\mathrm{l}$ 取り出しても濃度は変わらないので、
$$ b_{k+1}=\frac{a_k+4b_k}{5} $$
である。
以上より、
$$ \begin{cases} a_{k+1}=\dfrac{13a_k+2b_k}{15},[4pt] b_{k+1}=\dfrac{a_k+4b_k}{5} \end{cases} $$
を得る。
次に、差 $d_k=b_k-a_k$ とおくと、
$$ \begin{aligned} d_{k+1} &=b_{k+1}-a_{k+1}\ &=\frac{a_k+4b_k}{5}-\frac{13a_k+2b_k}{15}\ &=\frac{3a_k+12b_k-13a_k-2b_k}{15}\ &=\frac{10(b_k-a_k)}{15}\ &=\frac{2}{3}d_k \end{aligned} $$
となる。したがって $d_k$、すなわち $b_k-a_k$ は初項 $b-a$、公比 $\dfrac23$ の等比数列であり、
$$ b_k-a_k=\left(\frac23\right)^k(b-a) $$
である。
次に、全体の食塩の量は操作によって変わらない。初めの全食塩量は
$$ 6\cdot \frac{a}{100}+4\cdot \frac{b}{100} $$
であり、$k$ 回後も
$$ 6\cdot \frac{a_k}{100}+4\cdot \frac{b_k}{100} $$
に等しいから、
$$ 6a_k+4b_k=6a+4b $$
すなわち
$$ 3a_k+2b_k=3a+2b $$
が成り立つ。
ここで
$$ b_k=a_k+\left(\frac23\right)^k(b-a) $$
を代入すると、
$$ 3a_k+2\left{a_k+\left(\frac23\right)^k(b-a)\right}=3a+2b $$
より
$$ 5a_k=3a+2b-2\left(\frac23\right)^k(b-a) $$
したがって
$$ a_k=\frac{3a+2b-2\left(\frac23\right)^k(b-a)}{5} $$
である。
さらに
$$ b_k=a_k+\left(\frac23\right)^k(b-a) $$
より、
$$ b_k=\frac{3a+2b+3\left(\frac23\right)^k(b-a)}{5} $$
となる。
解説
この問題の要点は、1回の操作全体を見て $a_{k+1},,b_{k+1}$ を正確に書くことである。特に、容器 $B$ でよく混ぜた後に $1\mathrm{l}$ 戻すので、戻す液の濃度は混合後の容器 $B$ の濃度そのものである点が重要である。
また、差 $b_k-a_k$ を見ると等比的に減少し、全体の食塩量保存 と組み合わせることで $a_k,,b_k$ が一意に決まる。この2本立てが典型的な処理である。
答え
$$ b_k-a_k=\left(\frac23\right)^k(b-a) $$
したがって、
$$ a_k=\frac{3a+2b-2\left(\frac23\right)^k(b-a)}{5} $$
$$ b_k=\frac{3a+2b+3\left(\frac23\right)^k(b-a)}{5} $$
である。
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