東北大学 2011年 文系 第1問 解説

方針・初手
指数関数 $3^x$ とその逆数 $3^{-x}$ が同時に現れているので、$t=3^x$ とおくのが自然である。すると $t>0$ となり、$x$ の条件は $t$ の範囲に直せる。
そのうえで、不等式を $t$ の式に直して、存在条件・全称条件をそれぞれ調べればよい。
解法1
(1)
$t=3^x$ とおくと、$x\geqq 1$ より
$$ t=3^x\geqq 3 $$
である。与えられた不等式
$$ 2\cdot 3^x+a3^{-x}\leqq 1 $$
は
$$ 2t+\frac{a}{t}\leqq 1 $$
となる。$t>0$ であるから両辺に $t$ を掛けて
$$ 2t^2+a\leqq t $$
すなわち
$$ a\leqq -2t^2+t $$
を得る。
したがって、この連立不等式が解をもつための必要十分条件は、$t\geqq 3$ を満たすある $t$ が存在して
$$ a\leqq -2t^2+t $$
となることである。
ここで
$$ f(t)=-2t^2+t $$
とおくと、
$$ f'(t)=-4t+1 $$
であり、$t\geqq 3$ では $f'(t)<0$ である。よって $f(t)$ は $t\geqq 3$ で単調減少するから、その最大値は $t=3$ のときである。
$$ f(3)=-2\cdot 9+3=-15 $$
よって、ある $t\geqq 3$ について $a\leqq f(t)$ となるための必要十分条件は
$$ a\leqq -15 $$
である。
(2)
同様に $t=3^x$ とおくと、$x\geqq -1$ より
$$ t=3^x\geqq \frac13 $$
である。不等式
$$ 3^x+a3^{-x}\geqq a $$
は
$$ t+\frac{a}{t}\geqq a $$
となる。$t>0$ なので両辺に $t$ を掛けると
$$ t^2-at+a\geqq 0 $$
を得る。
したがって、求める条件は
$$ q(t)=t^2-at+a $$
が、すべての $t\geqq \dfrac13$ に対して非負となることである。
$q(t)$ は上に開く二次関数であり、
$$ q'(t)=2t-a $$
より、頂点は
$$ t=\frac{a}{2} $$
にある。ここで頂点が区間 $\left[\dfrac13,\infty\right)$ の内側にあるか外側にあるかで場合分けする。
(i)
$a\leqq \dfrac23$ のとき
このとき $\dfrac{a}{2}\leqq \dfrac13$ であるから、$q(t)$ は $t\geqq \dfrac13$ で増加する。したがって最小値は $t=\dfrac13$ でとる。
$$ q\left(\frac13\right)=\frac19-\frac{a}{3}+a=\frac19+\frac{2a}{3} $$
これが $0$ 以上であるためには
$$ \frac19+\frac{2a}{3}\geqq 0 $$
すなわち
$$ a\geqq -\frac16 $$
が必要十分である。
したがって、この場合の範囲は
$$ -\frac16\leqq a\leqq \frac23 $$
である。
(ii)
$a>\dfrac23$ のとき
このとき頂点 $\dfrac{a}{2}$ は区間内にあるので、最小値は頂点でとる。
$$ q\left(\frac{a}{2}\right)=\left(\frac{a}{2}\right)^2-a\cdot \frac{a}{2}+a = -\frac{a^2}{4}+a = a\left(1-\frac{a}{4}\right) $$
これが $0$ 以上であるためには
$$ a\left(1-\frac{a}{4}\right)\geqq 0 $$
が必要である。ここで $a>\dfrac23>0$ であるから、
$$ 1-\frac{a}{4}\geqq 0 $$
すなわち
$$ a\leqq 4 $$
を得る。
したがって、この場合の範囲は
$$ \frac23<a\leqq 4 $$
である。
以上より、(i) と (ii) を合わせて
$$ -\frac16\leqq a\leqq 4 $$
となる。
解説
この問題の要点は、$3^x$ と $3^{-x}$ を別々に扱わず、$t=3^x$ とおいて一変数化することである。
(1) では「解が存在する」条件なので、$t$ を動かしたときの右辺 $-2t^2+t$ の最大値を調べればよい。
(2) では「すべての $x$ に対して成り立つ」条件なので、対応する二次関数 $q(t)=t^2-at+a$ の最小値が $0$ 以上になる条件を求める。存在条件なら最大値、全称条件なら最小値に着目するのが典型的な処理である。
答え
$$ **(1)** \ a\leqq -15 $$
$$ **(2)** \ -\frac16\leqq a\leqq 4 $$
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