東北大学 1981年 理系 第1問 解説

方針・初手
空間における平面の方程式 $ax+by+cz=d$ において、$\vec{n} = (a, b, c)$ はその平面の法線ベクトル(平面に垂直なベクトル)である。 2つの平面の交線は両方の平面に含まれるため、その方向ベクトルは両方の平面の法線ベクトルに垂直になる。 また、ある平面に平行なベクトルは、その平面の法線ベクトルに垂直であるという性質を用いる。 これらを内積が $0$ であるという条件式として立式し、条件を満たすベクトルの成分を求めていく。
解法1
平面 $\alpha, \beta$ の法線ベクトルをそれぞれ $\vec{n}_\alpha, \vec{n}_\beta$ とすると、平面の方程式から以下のように読み取れる。
$$ \vec{n}_\alpha = (4, 12, -3), \quad \vec{n}_\beta = (8, -9, 5) $$
交線の方向ベクトルをなす単位ベクトル $\vec{u}$ は $\vec{n}_\alpha, \vec{n}_\beta$ の両方に垂直であるから、内積について $\vec{u} \cdot \vec{n}_\alpha = 0$, $\vec{u} \cdot \vec{n}_\beta = 0$ が成り立つ。 $\vec{u} = (x, y, z)$ とおくと、以下の連立方程式を得る。
$$ \begin{cases} 4x + 12y - 3z = 0 & \cdots \text{①} \\ 8x - 9y + 5z = 0 & \cdots \text{②} \end{cases} $$
② $- 2 \times$ ① より $x$ を消去すると、
$$ -33y + 11z = 0 \iff z = 3y $$
これを①に代入して、
$$ 4x + 12y - 9y = 0 \iff 4x + 3y = 0 \iff y = -\frac{4}{3}x $$
よって、$\vec{u}$ は実数 $x$ を用いて次のように表せる。
$$ \vec{u} = \left(x, -\frac{4}{3}x, -4x\right) = \frac{x}{3}(3, -4, -12) $$
$\vec{u}$ は単位ベクトルであるから、$|\vec{u}| = 1$ より、
$$ \left|\frac{x}{3}\right| \sqrt{3^2 + (-4)^2 + (-12)^2} = \left|\frac{x}{3}\right| \sqrt{169} = \frac{13|x|}{3} = 1 $$
$$ |x| = \frac{3}{13} $$
条件より $\vec{u}$ の $x$ 成分は正であるから、$x > 0$ である。よって、$x = \frac{3}{13}$ と定まる。 したがって、$\vec{u}$ は以下のようになる。
$$ \vec{u} = \frac{1}{13}(3, -4, -12) = \left(\frac{3}{13}, -\frac{4}{13}, -\frac{12}{13}\right) $$
次に、平面 $\alpha$ に平行で $\vec{u}$ に垂直な単位ベクトル $\vec{v}$ を求める。 $\vec{v} = (p, q, r)$ とおく。 $\vec{v}$ は $\alpha$ に平行なので $\vec{n}_\alpha \perp \vec{v}$、すなわち $\vec{n}_\alpha \cdot \vec{v} = 0$ が成り立つ。
$$ 4p + 12q - 3r = 0 \quad \cdots \text{③} $$
また、$\vec{u} \perp \vec{v}$ より $\vec{u} \cdot \vec{v} = 0$ であるから、$\vec{u}$ と平行なベクトル $(3, -4, -12)$ との内積も $0$ となる。
$$ 3p - 4q - 12r = 0 \quad \cdots \text{④} $$
③ $+ 3 \times$ ④ より $q$ を消去すると、
$$ 13p - 39r = 0 \iff p = 3r $$
これを④に代入して、
$$ 3(3r) - 4q - 12r = 0 \iff -4q - 3r = 0 \iff q = -\frac{3}{4}r $$
よって、$\vec{v}$ は実数 $r$ を用いて次のように表せる。
$$ \vec{v} = \left(3r, -\frac{3}{4}r, r\right) = \frac{r}{4}(12, -3, 4) $$
$\vec{v}$ は単位ベクトルであるから、$|\vec{v}| = 1$ より、
$$ \left|\frac{r}{4}\right| \sqrt{12^2 + (-3)^2 + 4^2} = \left|\frac{r}{4}\right| \sqrt{169} = \frac{13|r|}{4} = 1 $$
$$ |r| = \frac{4}{13} $$
条件より $\vec{v}$ の $x$ 成分は正であるから、$p = 3r > 0$ より $r > 0$ である。よって、$r = \frac{4}{13}$ と定まる。 したがって、$\vec{v}$ は以下のようになる。
$$ \vec{v} = \frac{1}{13}(12, -3, 4) = \left(\frac{12}{13}, -\frac{3}{13}, \frac{4}{13}\right) $$
解法2
空間ベクトルの外積(ベクトル積)を利用する。 平面 $\alpha, \beta$ の法線ベクトルはそれぞれ $\vec{n}_\alpha = (4, 12, -3), \vec{n}_\beta = (8, -9, 5)$ である。 交線の方向ベクトル $\vec{u}$ は $\vec{n}_\alpha$ と $\vec{n}_\beta$ の両方に垂直であるから、外積 $\vec{n}_\alpha \times \vec{n}_\beta$ に平行である。
$$ \vec{n}_\alpha \times \vec{n}_\beta = (12 \cdot 5 - (-3) \cdot (-9), (-3) \cdot 8 - 4 \cdot 5, 4 \cdot (-9) - 12 \cdot 8) = (33, -44, -132) = 11(3, -4, -12) $$
よって、実数 $k$ を用いて $\vec{u} = k(3, -4, -12)$ とおける。 $x$ 成分が正であるから $k > 0$ である。 単位ベクトルであるから大きさは $1$ となり、$k \sqrt{3^2 + (-4)^2 + (-12)^2} = 13k = 1$ より $k = \frac{1}{13}$ である。 したがって、
$$ \vec{u} = \frac{1}{13}(3, -4, -12) = \left(\frac{3}{13}, -\frac{4}{13}, -\frac{12}{13}\right) $$
次に、ベクトル $\vec{v}$ は平面 $\alpha$ に平行なので $\vec{n}_\alpha$ に垂直であり、さらに問題の条件から $\vec{u}$ にも垂直である。 よって、$\vec{v}$ は $\vec{u}$ と $\vec{n}_\alpha$ の両方に垂直であり、外積 $\vec{u} \times \vec{n}_\alpha$ に平行である。 $\vec{u}$ と平行な方向ベクトルとして $\vec{d} = (3, -4, -12)$ を用いると、
$$ \vec{d} \times \vec{n}_\alpha = (-4 \cdot (-3) - (-12) \cdot 12, -12 \cdot 4 - 3 \cdot (-3), 3 \cdot 12 - (-4) \cdot 4) = (156, -39, 52) = 13(12, -3, 4) $$
よって、実数 $l$ を用いて $\vec{v} = l(12, -3, 4)$ とおける。 $x$ 成分が正であるから $l > 0$ である。 単位ベクトルであるから大きさは $1$ となり、$l \sqrt{12^2 + (-3)^2 + 4^2} = 13l = 1$ より $l = \frac{1}{13}$ である。 したがって、
$$ \vec{v} = \frac{1}{13}(12, -3, 4) = \left(\frac{12}{13}, -\frac{3}{13}, \frac{4}{13}\right) $$
解説
空間図形において、平面の方程式 $ax+by+cz=d$ からその平面の法線ベクトル $\vec{n}=(a,b,c)$ が直ちに読み取れることが出発点となる。 「交線は両方の平面上に乗っている」ため、交線の方向ベクトルは2つの平面の法線ベクトルの両方に垂直であるという図形的な位置関係を正しく把握することが重要である。
解法1のように成分を文字で置いて内積から連立方程式を解くのが教科書的な基本方針であるが、3次元空間で2つのベクトルに垂直なベクトルを求める際、外積(ベクトル積)を知っていると計算量が劇的に減る(解法2)。 外積 $\vec{a} = (a_1, a_2, a_3)$ と $\vec{b} = (b_1, b_2, b_3)$ に対して、$\vec{a} \times \vec{b} = (a_2 b_3 - a_3 b_2, a_3 b_1 - a_1 b_3, a_1 b_2 - a_2 b_1)$ で得られるベクトルは $\vec{a}, \vec{b}$ の両方に垂直となる。難関大の空間ベクトルを解く上ではぜひ身につけておきたい技術である。
また、ピタゴラスの定理の拡張として、$3^2 + 4^2 + 12^2 = 13^2$ のような整数の組み合わせ(ピタゴラス数)は空間ベクトルの計算途中で頻出するため、この関係を知っていると計算の確信を持ちやすくなる。
答え
$$ \vec{u} = \left(\frac{3}{13}, -\frac{4}{13}, -\frac{12}{13}\right) $$
$$ \vec{v} = \left(\frac{12}{13}, -\frac{3}{13}, \frac{4}{13}\right) $$
自分の記録
誤りを報告
解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。











