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東北大学 1990年 理系 第5問 解説

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東北大学 1990年 理系 第5問 解説

方針・初手

与えられた等式は積分方程式である。 そのまま $x=0$ を代入しても $0=0$ となり $f(0)$ は直接求まらないため、等式を $x$ で割り $x \to +0$ の極限を考える。その際、微分係数の定義を利用する。 積分方程式から微分方程式を導く際は、両辺を微分するのが定石である。両辺が微分可能であることを確認した上で、$x$ で微分して $g(x)$ の微分方程式を構築する。

解法1

(1)

与えられた関係式は以下の通りである。

$$\int_0^x f(t) dt = x \sqrt{f(x)}$$

$x > 0$ のとき、両辺を $x$ で割ると次のように変形できる。

$$\sqrt{f(x)} = \frac{1}{x} \int_0^x f(t) dt$$

右辺について、$\int_0^0 f(t) dt = 0$ であるから、次のように書き直せる。

$$\sqrt{f(x)} = \frac{\int_0^x f(t) dt - \int_0^0 f(t) dt}{x - 0}$$

ここで $x \to +0$ の極限をとる。右辺は、関数 $F(x) = \int_0^x f(t) dt$ の $x=0$ における(右側)微分係数の定義式である。$f(x)$ が連続関数であるから $F'(x) = f(x)$ であり、極限値は $f(0)$ となる。

一方、左辺は $f(x)$ が $x \geqq 0$ で連続であることから、極限値は $\sqrt{f(0)}$ となる。

したがって、次の等式が成り立つ。

$$\sqrt{f(0)} = f(0)$$

両辺を2乗して整理する。

$$f(0) = \{f(0)\}^2$$

$$f(0) \{f(0) - 1\} = 0$$

問題の条件より、$f(x)$ は正の値をとるため $f(0) > 0$ である。よって、次のように求まる。

$$f(0) = 1$$

(2)

$g(x) = \sqrt{f(x)}$ とおく。$f(x) > 0$ より $g(x) > 0$ であり、$f(x) = \{g(x)\}^2$ である。これを与えられた関係式に代入する。

$$\int_0^x \{g(t)\}^2 dt = x g(x)$$

$x > 0$ のとき、$g(x) = \frac{1}{x} \int_0^x \{g(t)\}^2 dt$ と表せる。被積分関数 $\{g(t)\}^2 = f(t)$ は連続であるから、その積分 $\int_0^x \{g(t)\}^2 dt$ は $x$ について微分可能である。したがって、$x > 0$ において右辺は微分可能関数の積と商で構成されているため微分可能であり、$g(x)$ も $x > 0$ で微分可能である。

関係式の両辺を $x$ で微分すると、次のようになる。

$$\{g(x)\}^2 = g(x) + x g'(x)$$

整理して、求める微分方程式を得る。

$$x g'(x) = \{g(x)\}^2 - g(x)$$

(3)

(2) で求めた微分方程式を変数分離形として解く。

$$x g'(x) = g(x) \{g(x) - 1\}$$

$g(x) = 1$ はこの微分方程式を満たす定数解であるが、$f(1) = \frac{1}{2}$ より $g(1) = \frac{1}{\sqrt{2}} \neq 1$ である。解の一意性から求める解は $g(x) = 1$ になることはない。したがって、$g(x) \{g(x) - 1\} \neq 0$ として両辺を割ることができる。

$$\frac{g'(x)}{g(x) \{g(x) - 1\}} = \frac{1}{x}$$

左辺を部分分数分解する。

$$\left\{ \frac{1}{g(x) - 1} - \frac{1}{g(x)} \right\} g'(x) = \frac{1}{x}$$

両辺を $x$ で積分する。

$$\int \left\{ \frac{1}{g(x) - 1} - \frac{1}{g(x)} \right\} g'(x) dx = \int \frac{1}{x} dx$$

$$\log |g(x) - 1| - \log |g(x)| = \log |x| + C \quad (C \text{ は積分定数})$$

$$\log \left| \frac{g(x) - 1}{g(x)} \right| = \log |x| + C$$

$x > 0$ であるため $|x| = x$ となり、対数の性質から次のように変形できる。

$$\left| 1 - \frac{1}{g(x)} \right| = e^C x$$

$e^C$ は正の定数である。絶対値を外して $\pm e^C = A$ ($A \neq 0$ の定数)とおくと、次のように表せる。

$$1 - \frac{1}{g(x)} = A x$$

ここで、条件 $f(1) = \frac{1}{2}$ を用いる。$g(1) = \sqrt{f(1)} = \frac{1}{\sqrt{2}}$ であるから、$x = 1$ を代入する。

$$1 - \frac{1}{\frac{1}{\sqrt{2}}} = A$$

$$A = 1 - \sqrt{2}$$

よって、$g(x)$ についての式は次のようになる。

$$1 - \frac{1}{g(x)} = (1 - \sqrt{2}) x$$

$$\frac{1}{g(x)} = 1 + (\sqrt{2} - 1) x$$

$$g(x) = \frac{1}{1 + (\sqrt{2} - 1) x}$$

ゆえに、求める関数 $f(x)$ は $f(x) = \{g(x)\}^2$ より次のように求まる。

$$f(x) = \frac{1}{\{1 + (\sqrt{2} - 1) x\}^2}$$

これは $x \geqq 0$ で分母が $0$ にならず、正の値をとり連続関数であるという条件を満たす。

解説

積分方程式から関数を決定する典型的な微積分問題である。

(1) では、$x=0$ を代入しても両辺が $0$ になるだけで $f(0)$ が求まらない。このような場合は、平均変化率の形を作り $x \to +0$ の極限をとることで、微分係数の定義を利用する発想が必要である。

(2) では、積分方程式の両辺を微分して微分方程式を作るのが定石であるが、論述においては「両辺が微分可能であること」に言及しておくとより数学的に厳密な解答となる。

(3) で得られた微分方程式は変数分離形である。積分を実行する際、定数解 $g(x)=1$ ではないことを初期条件から確認し、分母が $0$ にならないようにして進めることがポイントとなる。

答え

(1)

$$f(0) = 1$$

(2)

$$x g'(x) = \{g(x)\}^2 - g(x)$$

(3)

$$f(x) = \frac{1}{\{1 + (\sqrt{2} - 1) x\}^2}$$

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