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東北大学 1977年 理系 第6問 解説

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東北大学 1977年 理系 第6問 解説

方針・初手

時刻 $t$ における水槽内の塩水の体積と、塩の量 $x$ の変化に注目する。 排水口が閉じている $10$ 分間と、排水口が開いて混合液が流れ出す $10$ 分以降とで、水槽内の塩水の体積の変化の仕方が異なるため、場合分けをして考える。 (1) ではそれぞれの時間帯における水槽内の塩水の体積を求め、濃度を計算する。 (2) では微小時間 $\Delta t$ における塩の量の変化量から微分方程式を立式し、それを解くことで時刻 $t=60$(1時間後)の塩の量を求める。

解法1

(1)

$t \ge 0$ の範囲で考える。 水槽には、毎分 $10l$ の塩水が注がれ続ける。

$0 \le t \le 10$ のとき

排水口は閉じられているので、流出する塩水はない。 毎分 $10l$ ずつ水槽内の塩水は増加するため、$t$ 分後の水槽内の塩水の量は $400 + 10t \ (l)$ である。 したがって、水槽内の塩の量が $x \ (\text{kg})$ のとき、塩水の濃度は

$$ \frac{x}{400+10t} \ (\text{kg}/l) $$

である。

$t > 10$ のとき

$t=10$ のときの水槽内の塩水の量は $400 + 10 \times 10 = 500 \ (l)$ である。 $t > 10$ においては、毎分 $10l$ の塩水が注がれ、同時に毎分 $10l$ の混合液が流出するため、流入量と流出量が等しく、水槽内の塩水の量は $500l$ で一定に保たれる。 したがって、水槽内の塩の量が $x \ (\text{kg})$ のとき、塩水の濃度は

$$ \frac{x}{500} \ (\text{kg}/l) $$

である。

(2)

$0 \le t \le 10$ のとき

水槽に注がれる塩水に含まれる塩の量は、毎分 $10 \times 0.2 = 2 \ (\text{kg})$ である。 この期間、流出する塩はないので、時刻 $t$ における塩の量 $x$ は初期状態($t=0$ で $x=0$)から毎分 $2\text{kg}$ ずつ増加する。

$$ x = 2t $$

よって、$t = 10$ のとき、$x = 20 \ (\text{kg})$ である。

$t > 10$ のとき

時刻 $t$ から $t + \Delta t$ までの微小時間 $\Delta t$ における水槽内の塩の量の変化 $\Delta x$ を考える。 流入する塩の量は $2 \Delta t \ (\text{kg})$ であり、流出する塩の量は(濃度 $\times$ 流出量)より $\frac{x}{500} \times 10 \Delta t = \frac{x}{50} \Delta t \ (\text{kg})$ である。 したがって、塩の量の変化 $\Delta x$ は次のように表される。

$$ \Delta x \approx \left( 2 - \frac{x}{50} \right) \Delta t $$

両辺を $\Delta t$ で割り、$\Delta t \to 0$ と極限をとることで、次の微分方程式を得る。

$$ \frac{dx}{dt} = 2 - \frac{x}{50} $$

これを変形すると、

$$ \frac{dx}{dt} = -\frac{1}{50}(x - 100) $$

$x \neq 100$ として変数分離を行うと、

$$ \frac{1}{x - 100} \frac{dx}{dt} = -\frac{1}{50} $$

両辺を $t$ で積分して、

$$ \log |x - 100| = -\frac{1}{50}t + C \quad (C \text{ は積分定数}) $$

$$ x - 100 = \pm e^C e^{-\frac{t}{50}} $$

$A = \pm e^C$ ($A$ は定数)と置くと、$x = 100$ のときも $A=0$ とすれば成り立つため、一般解は次のように表される。

$$ x = 100 + A e^{-\frac{t}{50}} $$

$t = 10$ のとき $x = 20$ であるから、これを代入して $A$ を求める。

$$ 20 = 100 + A e^{-\frac{10}{50}} $$

$$ A e^{-\frac{1}{5}} = -80 $$

$$ A = -80 e^{\frac{1}{5}} $$

したがって、$t > 10$ における塩の量 $x$ は次のように求まる。

$$ x = 100 - 80 e^{\frac{1}{5}} e^{-\frac{t}{50}} = 100 - 80 e^{-\frac{t - 10}{50}} $$

求めるのは塩水を注ぎはじめてから $1$ 時間後、すなわち $t = 60$ のときの塩の量であるから、これを代入する。

$$ x = 100 - 80 e^{-\frac{60 - 10}{50}} = 100 - 80 e^{-1} = 100 - \frac{80}{e} $$

解説

水槽における塩分濃度の変化を問う問題は、理系大学入試において微分方程式の応用として頻出のテーマである。 本問では、排水口が開く前後で水槽内の塩水の体積が変わるため、時刻 $t$ による場合分けが必要になる点に注意して立式する。 $t > 10$ における微分方程式は、微小時間 $\Delta t$ の間の変数の変化分 $\Delta x$ との関係式(差分方程式)を立ててから、極限をとって導出すると論理的で分かりやすい。 得られた微分方程式は変数分離形であるため、これを解いて一般解を求め、初期条件(この場合は $t=10$ で連続となる条件)を用いて特解を決定すればよい。

答え

(1) $0 \le t \le 10$ のとき、$\frac{x}{400+10t} \ (\text{kg}/l)$ $t > 10$ のとき、$\frac{x}{500} \ (\text{kg}/l)$

(2) $100 - \frac{80}{e} \ (\text{kg})$

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