東北大学 1992年 理系 第6問 解説

方針・初手
与えられた3次式を
$$ f(x)=2x^3-3(a+b)x^2+6abx-2a^2b $$
とおく。
この問題では、まず導関数を調べるのが自然である。実際、
$$ f'(x)=6x^2-6(a+b)x+6ab=6(x-a)(x-b) $$
となり、極値をとる点がちょうど $x=a,\ b$ であることが分かる。 3次関数が3つの相異なる実数解をもつための条件は、「極大値が正、極小値が負」であることに帰着できる。
解法1
$f'(x)=6(x-a)(x-b)$ より、$a\neq b$ のとき極値をとる点は $x=a,\ b$ である。
(i) $a<b$ の場合
このとき、$x=a$ で極大、$x=b$ で極小となる。 したがって、$f(x)$ が3つの相異なる実数解をもつための必要十分条件は
$$ f(a)>0,\qquad f(b)<0 $$
である。
まず $f(a)$ を計算すると、
$$ f(a)=2a^3-3(a+b)a^2+6aba-2a^2b =a^2(b-a) $$
である。ここで $a<b$ だから $b-a>0$ であり、
$$ f(a)>0 \iff a\neq 0 $$
となる。
次に $f(b)$ は
$$ f(b)=2b^3-3(a+b)b^2+6abb-2a^2b =-b(b-a)(b-2a) $$
である。ここで $b-a>0$ だから、
$$ f(b)<0 \iff b(b-2a)>0 $$
となる。
よって $a<b$ の場合の条件は
$$ a\neq 0,\qquad b(b-2a)>0 $$
である。
(ii) $a>b$ の場合
このとき、$x=b$ で極大、$x=a$ で極小となる。 したがって必要十分条件は
$$ f(b)>0,\qquad f(a)<0 $$
である。
すでに求めた式
$$ f(a)=a^2(b-a),\qquad f(b)=-b(b-a)(b-2a) $$
を用いる。
$a>b$ だから $b-a<0$ であり、
$$ f(a)<0 \iff a\neq 0 $$
である。また
$$ f(b)>0 \iff b(b-2a)>0 $$
となる。
したがって、この場合も条件は
$$ a\neq 0,\qquad b(b-2a)>0 $$
である。
以上より、全体として求める条件は
$$ a\neq 0,\qquad b(b-2a)>0 $$
である。
これを図示しやすい形に直すと、
$$ \begin{cases} a>0 \text{ のとき} & b<0 \text{ または } b>2a,\ a<0 \text{ のとき} & b<2a \text{ または } b>0 \end{cases} $$
となる。
解法2
3次方程式
$$ 2x^3-3(a+b)x^2+6abx-2a^2b=0 $$
の判別式を $\Delta$ とすると、実係数3次方程式が3つの相異なる実数解をもつための必要十分条件は
$$ \Delta>0 $$
である。
この式の判別式を計算すると、
$$ \Delta =-108,a^2b(a-b)^2(2a-b) =108,a^2(a-b)^2,b(b-2a) $$
となる。
よって
$$ \Delta>0 $$
であるための条件は
$$ a\neq 0,\qquad a\neq b,\qquad b(b-2a)>0 $$
である。
ただし $b(b-2a)>0$ なら $b=0,\ b=2a$ は起こらず、さらに $a=b$ も起こらない。実際、$a=b$ なら
$$ b(b-2a)=a(a-2a)=-a^2<0 $$
となって矛盾する。したがって結局
$$ a\neq 0,\qquad b(b-2a)>0 $$
が求める条件である。
解説
この問題の要点は、係数をそのまま眺めるのではなく、まず導関数を計算することである。
$$ f'(x)=6(x-a)(x-b) $$
ときれいに因数分解できるため、極値をとる点が $x=a,\ b$ だとすぐ分かる。3次関数が3つの相異なる実数解をもつ条件は、極大値と極小値の符号が反対になることなので、$f(a),f(b)$ を直接調べればよい。
また、判別式を用いても同じ条件が得られるが、解法1の方が「なぜその条件になるのか」が見えやすい。
答え
点 $(a,b)$ の存在範囲は
$$ a\neq 0,\qquad b(b-2a)>0 $$
である。
すなわち、
$$ \{(a,b)\mid a\neq 0,\ b>\max(0,2a)\}\ \cup\ \{(a,b)\mid a\neq 0,\ b<\min(0,2a)\} $$
である。
図示すると、直線 $b=0$ と $b=2a$ の両方より上側、または両方より下側の領域であり、ただし直線 $a=0$ 上の点は除く。
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