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東北大学 2000年 理系 第1問 解説

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東北大学 2000年 理系 第1問 解説

方針・初手

まず行列 $K$ の性質を使う。 $E$ は単位行列であり、与えられた

$$ K=\begin{pmatrix} 0&1\ 1&0 \end{pmatrix} $$

については

$$ K^2=E $$

が成り立つ。したがって $(aE+bK)^2$ は $E,\ K$ の一次結合として簡単に計算できる。

その形を $pE+qK$ と比較すれば、$p,\ q$ が満たすべき条件は実数 $a,\ b$ に関する平方の条件に言い換えられる。 (2) では同じ議論を 2 本の式に適用し、さらに $p^2+q^2=2$ を用いて候補を絞る。

解法1

まず

$$ (aE+bK)^2=a^2E+ab(EK+KE)+b^2K^2 $$

であり、$EK=KE=K,\ K^2=E$ より

$$ (aE+bK)^2=(a^2+b^2)E+2abK $$

となる。

したがって

$$ (aE+bK)^2=pE+qK $$

となるための必要十分条件は

$$ p=a^2+b^2,\qquad q=2ab $$

を満たす実数 $a,\ b$ が存在することである。

(1) 必要十分条件

上の式から

$$ p+q=a^2+b^2+2ab=(a+b)^2\geqq 0 $$

および

$$ p-q=a^2+b^2-2ab=(a-b)^2\geqq 0 $$

である。よって必要条件は

$$ p+q\geqq 0,\qquad p-q\geqq 0 $$

である。

逆に、この 2 条件が成り立つとする。そこで

$$ x=\sqrt{p+q},\qquad y=\sqrt{p-q} $$

とおき、

$$ a=\frac{x+y}{2},\qquad b=\frac{x-y}{2} $$

と定める。すると

$$ a+b=x,\qquad a-b=y $$

であるから

$$ (a+b)^2=p+q,\qquad (a-b)^2=p-q $$

であり、これらを加えると

$$ 2(a^2+b^2)=2p $$

より

$$ a^2+b^2=p $$

また差をとると

$$ 4ab=2q $$

より

$$ 2ab=q $$

となる。したがって

$$ (aE+bK)^2=pE+qK $$

を満たす実数 $a,\ b$ が存在する。

以上より必要十分条件は

$$ p+q\geqq 0,\qquad p-q\geqq 0 $$

すなわち

$$ p\geqq |q| $$

である。

(2) $p,\ q$ の値

1 本目の式

$$ (aE+bK)^2=pE+qK $$

(1) の結果を適用すると

$$ p\geqq |q| $$

である。

次に 2 本目の式

$$ (cE+dK)^2=qE-pK $$

にも同様に適用すると、今度は $(q,-p)$ が (1) の条件を満たすので

$$ q\geqq |-p|=|p| $$

である。

したがって

$$ p\geqq |q|,\qquad q\geqq |p| $$

を同時に満たす。ここからまず $q\geqq 0$ であり、さらに $p\geqq |q|\geqq 0$ より $p\geqq 0$ である。よって

$$ |p|=p,\qquad |q|=q $$

となるから

$$ p\geqq q,\qquad q\geqq p $$

より

$$ p=q $$

が従う。

これを条件

$$ p^2+q^2=2 $$

に代入すると

$$ 2p^2=2 $$

すなわち

$$ p^2=1 $$

である。しかも $p\geqq 0$ なので

$$ p=1 $$

であり、したがって

$$ q=1 $$

となる。

解説

この問題の本質は、$K^2=E$ という関係により $(aE+bK)^2$ が再び $E,\ K$ の一次結合になる点にある。 すると係数比較から

$$ p=a^2+b^2,\qquad q=2ab $$

となり、さらに

$$ p+q=(a+b)^2,\qquad p-q=(a-b)^2 $$

という平方の形が現れる。ここを見抜けるかどうかが決定的である。

(2) では 2 本の式を別々に見るだけで十分であり、複雑な連立計算は不要である。 1 本目から $p\geqq |q|$、2 本目から $q\geqq |p|$ が出るので、結局 $p=q\geqq 0$ に落ちる。この整理が最短である。

答え

$$ (aE+bK)^2=pE+qK $$

となる実数 $a,\ b$ が存在するための必要十分条件は

$$ p+q\geqq 0,\qquad p-q\geqq 0 $$

すなわち

$$ p\geqq |q| $$

である。

また (2) の条件を満たすとき

$$ p=1,\qquad q=1 $$

である。

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