東北大学 2001年 理系 第2問 解説

方針・初手
まず
$$ f(x)=\frac{\sqrt{1+2x}-1}{x} $$
を有理化して扱いやすい形に直す。
また、(2) では
$$ y=\sqrt{1+2x},\quad y=1+ax,\quad y=1+ax+bx^2 $$
の差をそれぞれ調べれば大小関係が分かる。特に
$$ \sqrt{1+2x}-(1+x-\tfrac12x^2) $$
は符号が分かる形まで変形するのが要点である。
解法1
(1)
$a,\ b$ を求める。
$f(x)$ を有理化すると
$$ f(x)=\frac{\sqrt{1+2x}-1}{x}\cdot \frac{\sqrt{1+2x}+1}{\sqrt{1+2x}+1} =\frac{2}{\sqrt{1+2x}+1} $$
となる。したがって
$$ a=\lim_{x\to 0}f(x)=\lim_{x\to 0}\frac{2}{\sqrt{1+2x}+1} =\frac{2}{1+1}=1 $$
である。
次に
$$ f(x)=\frac{2}{\sqrt{1+2x}+1} $$
を微分すると
$$ f'(x) =-2(\sqrt{1+2x}+1)^{-2}\cdot \frac{1}{\sqrt{1+2x}} =-\frac{2}{\sqrt{1+2x},(\sqrt{1+2x}+1)^2} $$
ゆえに
$$ b=\lim_{x\to 0}f'(x) =-\frac{2}{1\cdot (1+1)^2} =-\frac12 $$
である。
したがって
$$ a=1,\qquad b=-\frac12 $$
である。
(2) 3つの関数の大小関係を調べる。
ここで
$$ y_1=\sqrt{1+2x},\qquad y_2=1+ax=1+x,\qquad y_3=1+ax+bx^2=1+x-\frac12x^2 $$
とおく。
まず $y_1$ と $y_2$ を比べる。$x\ge -\dfrac12$ では $1+x\ge \dfrac12>0$ であるから、両辺を平方して比較できる。
$$ (1+x)^2-(1+2x)=x^2\ge 0 $$
より
$$ 1+2x\le (1+x)^2 $$
したがって
$$ \sqrt{1+2x}\le 1+x $$
である。等号成立は $x=0$ のときである。
次に $y_2$ と $y_3$ を比べると
$$ y_2-y_3=(1+x)-\left(1+x-\frac12x^2\right)=\frac12x^2\ge 0 $$
より
$$ 1+x-\frac12x^2\le 1+x $$
であり、等号成立は $x=0$ のときである。
最後に $y_1$ と $y_3$ を比べる。その差を変形すると
$$ \begin{aligned} \sqrt{1+2x}-\left(1+x-\frac12x^2\right) &=x\left(\frac{\sqrt{1+2x}-1}{x}-1+\frac{x}{2}\right) \\ &=x\left(\frac{2}{\sqrt{1+2x}+1}-1+\frac{x}{2}\right) \\ &=x\left(-\frac{2x}{(\sqrt{1+2x}+1)^2}+\frac{x}{2}\right) \\ &=\frac{x^3(\sqrt{1+2x}+3)}{(\sqrt{1+2x}+1)^3} \end{aligned} $$
となる。
$x\ge -\dfrac12$ では $\sqrt{1+2x}\ge 0$ であるから、
$$ \frac{\sqrt{1+2x}+3}{(\sqrt{1+2x}+1)^3}>0 $$
である。よって
$$ \sqrt{1+2x}-\left(1+x-\frac12x^2\right) $$
の符号は $x^3$ の符号と一致する。したがって
(i)
$-\dfrac12\le x<0$ のとき
$$ \sqrt{1+2x}<1+x-\frac12x^2<1+x $$
(ii)
$x=0$ のとき
$$ \sqrt{1+2x}=1+x-\frac12x^2=1+x=1 $$
(iii)
$x>0$ のとき
$$ 1+x-\frac12x^2<\sqrt{1+2x}<1+x $$
となる。
以上より、グラフの位置関係は次のようになる。
- $y=\sqrt{1+2x}$ は定義域 $x\ge -\dfrac12$ をもち、点 $\left(-\dfrac12,0\right)$ を通る。
- $y=1+x$ は点 $(0,1)$ で $y=\sqrt{1+2x}$ に接し、区間 $x\ge -\dfrac12$ で常にその上にある。
- $y=1+x-\dfrac12x^2$ も $(0,1)$ を通り、$x=0$ で $y=\sqrt{1+2x}$ と一致する。
- $-\dfrac12\le x<0$ では放物線 $y=1+x-\dfrac12x^2$ は $y=\sqrt{1+2x}$ より上にあり、$x>0$ では逆に下にある。
したがって、同一平面上では $y=1+x$ が常に最上位にあり、$y=\sqrt{1+2x}$ と $y=1+x-\dfrac12x^2$ は $(0,1)$ で交わり、左側では前者が下、右側では前者が上になるように描けばよい。
解説
$\sqrt{1+2x}$ の近くの形を調べる問題であり、$x=0$ まわりの1次近似・2次近似を考える問題である。
まず
$$ \frac{\sqrt{1+2x}-1}{x} $$
を有理化して $a,\ b$ を求めるのが自然な出発点である。
その後の大小比較では、$1+x$ との比較は平方してすぐにできる。一方、$1+x-\dfrac12x^2$ との比較は単純な平方では処理しにくいので、差を変形して符号を直接判定するのが有効である。この差が最終的に $x^3$ の符号で決まるところが本問の核心である。
答え
$$ a=1,\qquad b=-\frac12 $$
また、$x\ge -\dfrac12$ において
$$ \begin{cases} \sqrt{1+2x}<1+x-\dfrac12x^2<1+x & \left(-\dfrac12\le x<0\right),\\[1mm] \sqrt{1+2x}=1+x-\dfrac12x^2=1+x=1 & (x=0),\\[1mm] 1+x-\dfrac12x^2<\sqrt{1+2x}<1+x & (x>0). \end{cases} $$
である。
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