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東北大学 2010年 理系 第1問 解説

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東北大学 2010年 理系 第1問 解説

方針・初手

与えられた不等式の右辺は,点 $(y,f(y))$ と $(a,f(a))$ を結ぶ弦の上の値である。したがって

$$ f(x)-\frac{(x-y)f(a)+(a-x)f(y)}{a-y} $$

の符号を調べればよい。

この差は $t=y,a$ で $0$ になる三次式であるから,因数分解して符号を判定するのが最も直接的である。

解法1

$$ L(t)=\frac{(t-y)f(a)+(a-t)f(y)}{a-y} $$

とおく。これは $(y,f(y))$ と $(a,f(a))$ を結ぶ直線の式である。求める条件は

$$ f(x)-L(x)>0 $$

が $y<x<a$ を満たすすべての $x,y$ について成り立つことである。

ここで

$$ g(t)=f(t)-L(t) $$

とおくと,$g(t)$ は三次式であり,

$$ g(y)=0,\qquad g(a)=0 $$

を満たす。さらに $f(t)=t^3+3t^2-9t$ であり,$L(t)$ は一次式なので,$g(t)$ の $t^3$ の係数は $1$,$t^2$ の係数は $3$ のままである。

よって $g(t)$ は

$$ g(t)=(t-y)(t-a)(t-\alpha) $$

と書ける。展開したときの $t^2$ の係数を比較すると

$$ -(y+a+\alpha)=3 $$

より,

$$ \alpha=-(y+a+3) $$

である。したがって

$$ g(t)=(t-y)(t-a)(t+y+a+3) $$

となる。

ゆえに

$$ f(x)-\frac{(x-y)f(a)+(a-x)f(y)}{a-y} =(x-y)(x-a)(x+y+a+3) $$

を得る。

ここで $y<x<a$ なので

$$ x-y>0,\qquad x-a<0 $$

である。よって上式が正となるための必要十分条件は

$$ x+y+a+3<0 $$

である。

したがって,これが $y<x<a$ を満たすすべての $x,y$ に対して成り立つための $a$ の条件を求めればよい。

まず $a\le -1$ のとき,$x<a,\ y<a$ より

$$ x+y+a+3<a+a+a+3=3a+3\le 0 $$

であるから,

$$ x+y+a+3<0 $$

が常に成り立つ。よってこのとき条件を満たす。

次に $a>-1$ とする。このとき十分小さい正の数 $\varepsilon$ をとって

$$ y=a-2\varepsilon,\qquad x=a-\varepsilon $$

とすれば $y<x<a$ を満たし,

$$ x+y+a+3=(a-\varepsilon)+(a-2\varepsilon)+a+3 =3a+3-3\varepsilon $$

となる。$\varepsilon<a+1$ となるようにとれば

$$ 3a+3-3\varepsilon>0 $$

となるので,不等式は成り立たない。

以上より,求める範囲は

$$ a\le -1 $$

である。

解法2

この不等式は,点 $(x,f(x))$ が弦 $(y,f(y))$ と $(a,f(a))$ を結ぶ線分より常に上にあることを意味する。したがって,$f$ が区間 $(-\infty,a]$ で上に凸ではなく,下に凸,すなわち狭義凹であることに対応する。

実際,

$$ f(x)=x^3+3x^2-9x $$

より

$$ f'(x)=3x^2+6x-9,\qquad f''(x)=6x+6=6(x+1) $$

である。

$f$ が $(-\infty,a]$ で凹になるためには

$$ f''(x)\le 0\qquad (x\le a) $$

が必要であり,これは

$$ x\le -1 $$

で成り立つ。したがって区間全体で凹となるための条件は

$$ a\le -1 $$

である。

逆に $a>-1$ ならば,$(-\infty,a]$ の中に $f''(x)>0$ となる点が含まれるので,その区間全体で凹ではなく,弦より常に上にあることはできない。

よってやはり

$$ a\le -1 $$

である。

解説

この問題の本質は,「右辺が弦の式である」と見抜くことである。すると,不等式は「グラフが弦より上にある」という幾何的意味を持つ。

三次式では,弦との差をとると両端で $0$ になるので,$(t-y)(t-a)$ を因数にもつことがすぐに分かる。そこから残りの一次因子を決めれば,条件が符号判定に帰着される。

また,微分を使えば「凹性」で一瞬で見抜ける問題でもある。$f''(x)=6(x+1)$ から変曲点が $x=-1$ と分かるため,$a$ の境界が $-1$ になることが自然に見える。

答え

$$ a\le -1 $$

である。

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