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京都大学 1971年 文系 第6問 解説

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京都大学 1971年 文系 第6問 解説

方針・初手

区間 $0 \leqq x \leqq 1$ における関数 $|f(x)|$ の最大値を $M(a)$ とおき、任意の実数 $a$ について $M(a) \geqq \frac{1}{4}$ であることを示す問題である。

最大値の定義から導かれる不等式を活用して簡潔に証明するアプローチと、微積分を用いて $M(a)$ を $a$ の式として具体的に求めてから評価する正攻法のアプローチの2通りが考えられる。

解法1

区間 $0 \leqq x \leqq 1$ における $|f(x)|$ の最大値を $M(a)$ とおく。

最大値の定義より、区間 $0 \leqq x \leqq 1$ に属する任意の $x$ に対して $M(a) \geqq |f(x)|$ が成り立つ。 したがって、とくに $x=1$ および $x=\frac{1}{2}$ のときにもこの不等式は成り立ち、以下を得る。

$$ M(a) \geqq |f(1)| = |1 - a| $$

$$ M(a) \geqq \left| f\left(\frac{1}{2}\right) \right| = \left| \frac{1}{8} - \frac{1}{2}a \right| = \frac{1}{2} \left| a - \frac{1}{4} \right| $$

ここで、ある実数 $a$ について $M(a) < \frac{1}{4}$ となると仮定し、矛盾を導く(背理法)。

$M(a) < \frac{1}{4}$ のとき、上記2つの不等式から以下の関係が同時に成り立たなければならない。

$$ |1 - a| < \frac{1}{4} \quad \cdots \text{①} $$

$$ \frac{1}{2} \left| a - \frac{1}{4} \right| < \frac{1}{4} \quad \cdots \text{②} $$

不等式①を解くと、以下のようになる。

$$ -\frac{1}{4} < 1 - a < \frac{1}{4} $$

$$ \frac{3}{4} < a < \frac{5}{4} \quad \cdots \text{①'} $$

次に、不等式②を解くと、以下のようになる。

$$ \left| a - \frac{1}{4} \right| < \frac{1}{2} $$

$$ -\frac{1}{2} < a - \frac{1}{4} < \frac{1}{2} $$

$$ -\frac{1}{4} < a < \frac{3}{4} \quad \cdots \text{②'} $$

①' と ②' を同時に満たす実数 $a$ は存在しない。 これは、仮定 $M(a) < \frac{1}{4}$ が誤りであることを示している。

したがって、任意の実数 $a$ に対して $M(a) \geqq \frac{1}{4}$ が成り立つ。

解法2

関数 $f(x)$ を微分して増減を調べ、最大値 $M(a)$ を直接求める。

$$ f'(x) = 3x^2 - a $$

$a$ の値によって、極値をもつかどうかが変わるため、場合分けを行う。

(i)

$a \leqq 0$ のとき

区間 $0 < x \leqq 1$ において $f'(x) > 0$ となるため、$f(x)$ は単調増加する。 また、$f(0) = 0$ であり、$f(1) = 1 - a > 0$ である。 したがって、$0 \leqq x \leqq 1$ における $|f(x)|$ の最大値 $M(a)$ は $x=1$ のときにとる。

$$ M(a) = f(1) = 1 - a $$

$a \leqq 0$ より $1 - a \geqq 1 > \frac{1}{4}$ であるから、$M(a) \geqq \frac{1}{4}$ が成り立つ。

(ii)

$0 < a < 3$ のとき

$f'(x) = 0$ を満たす $x$ は $x = \pm \sqrt{\frac{a}{3}}$ である。 $0 < a < 3$ より $0 < \sqrt{\frac{a}{3}} < 1$ であり、区間 $0 \leqq x \leqq 1$ の内部に極小値をとる点が存在する。 $x \geqq 0$ における増減表は以下のようになる。

$$ \begin{array}{c|c|c|c|c|c} x & 0 & \cdots & \sqrt{\frac{a}{3}} & \cdots & 1 \\ \hline f'(x) & & - & 0 & + & \\ \hline f(x) & 0 & \searrow & \text{極小} & \nearrow & 1-a \end{array} $$

極小値は以下の通りである。

$$ f\left(\sqrt{\frac{a}{3}}\right) = \frac{a}{3}\sqrt{\frac{a}{3}} - a\sqrt{\frac{a}{3}} = -\frac{2a}{3}\sqrt{\frac{a}{3}} = -\frac{2a\sqrt{a}}{3\sqrt{3}} $$

したがって、区間内の $|f(x)|$ の値として候補になるのは、極小値の絶対値と、端点 $x=1$ での絶対値である($|f(0)|=0$ は最大値にならない)。 よって、最大値 $M(a)$ は以下のように表される。

$$ M(a) = \max \left( |1 - a|, \frac{2a\sqrt{a}}{3\sqrt{3}} \right) $$

最大値はこれら2つの値の小さくない方であるから、以下の2つの不等式が常に成り立つ。

$$ M(a) \geqq |1 - a| $$

$$ M(a) \geqq \frac{2a\sqrt{a}}{3\sqrt{3}} $$

ここで、$a$ の範囲をさらに2つに分けて評価する。

(ア)

$0 < a < \frac{3}{4}$ のとき

$$ M(a) \geqq |1 - a| = 1 - a > 1 - \frac{3}{4} = \frac{1}{4} $$

よって、$M(a) \geqq \frac{1}{4}$ が成り立つ。

(イ)

$\frac{3}{4} \leqq a < 3$ のとき

関数 $g(a) = \frac{2a\sqrt{a}}{3\sqrt{3}}$ は $a > 0$ において単調増加する。

$$ M(a) \geqq \frac{2a\sqrt{a}}{3\sqrt{3}} \geqq \frac{2 \cdot \frac{3}{4} \sqrt{\frac{3}{4}}}{3\sqrt{3}} = \frac{\frac{3}{2} \cdot \frac{\sqrt{3}}{2}}{3\sqrt{3}} = \frac{1}{4} $$

よって、$M(a) \geqq \frac{1}{4}$ が成り立つ。

(ア)、(イ) より、$0 < a < 3$ のとき常に $M(a) \geqq \frac{1}{4}$ が成り立つ。

(iii)

$a \geqq 3$ のとき

区間 $0 \leqq x \leqq 1$ において $f'(x) \leqq 0$ となるため、$f(x)$ は単調減少する。 $f(0) = 0$ であり、$f(1) = 1 - a \leqq -2$ であるから、$|f(x)|$ は $x=1$ のときに最大となる。

$$ M(a) = |1 - a| = a - 1 $$

$a \geqq 3$ より $a - 1 \geqq 2 > \frac{1}{4}$ であるから、$M(a) \geqq \frac{1}{4}$ が成り立つ。

以上 (i), (ii), (iii) より、任意の実数 $a$ について $M(a) \geqq \frac{1}{4}$ が成り立つことが示された。

解説

解法1は、特定の $x$ の値に対する関数の値から最大値を下から評価する手法(必要条件からの絞り込み)である。背理法を用いることで、場合分けをせずに鮮やかに証明を完了させることができる。「なぜ $x=1$ と $x=\frac{1}{2}$ を選んだのか」という点については、区間の端点 $x=1$ と、もう1つ適当な点を調べる中で、連立不等式が解をもたないような絶妙な組み合わせを見つけた結果である。

解法2は、微分法による関数の最大・最小の定石に従ったアプローチである。極値をとる $x$ が区間内に含まれるか否かで場合分けを行う必要があり計算量は増えるが、論理の飛躍がなく確実である。途中で現れる $a=\frac{3}{4}$ という境界値は、2つの極大候補 $|1-a|$ と $\frac{2a\sqrt{a}}{3\sqrt{3}}$ がちょうど一致して $\frac{1}{4}$ になる点であり、この問題の背景にあるチェビシェフの多項式の性質が現れている。

答え

略(解法1の証明を参照)

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