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東北大学 2010年 理系 第2問 解説

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東北大学 2010年 理系 第2問 解説

方針・初手

接点の $x$ 座標を $t$ とおき,$x=t$ における曲線 $C$ の接線が点 $P(b,0)$ を通る条件を求める。すると,点 $P$ から引ける接線の本数は,ある三次方程式の実数解の個数に一致する。

したがって,その三次方程式の極大値・極小値を調べれば,(1) の「3本引ける条件」と (2) の「ちょうど2本引ける条件」をまとめて判定できる。

解法1

曲線

$$ C:\ y=x^3-a^2x+a^3 $$

の $x=t$ における接点を考える。このとき

$$ f(x)=x^3-a^2x+a^3,\qquad f'(x)=3x^2-a^2 $$

より,$x=t$ における接線は

$$ y=(3t^2-a^2)(x-t)+t^3-a^2t+a^3 $$

である。

この接線が $P(b,0)$ を通るための条件は

$$ 0=(3t^2-a^2)(b-t)+t^3-a^2t+a^3 $$

すなわち

$$ 2t^3-3bt^2+a^2b-a^3=0 $$

である。

よって

$$ \phi(t)=2t^3-3bt^2+a^2b-a^3 $$

とおくと,点 $P$ から曲線 $C$ に引ける接線の本数は,$\phi(t)=0$ の実数解の個数に一致する。

さらに

$$ \phi'(t)=6t(t-b) $$

であるから,$t=0$ で極大,$t=b$ で極小をとる。

(1) 点 $P$ から曲線 $C$ に接線がちょうど3本引ける条件

三次方程式 $\phi(t)=0$ が異なる3つの実数解をもつための必要十分条件は,

$$ \phi(0)>0,\qquad \phi(b)<0 $$

である。

まず

$$ \phi(0)=a^2b-a^3=a^2(b-a) $$

である。

次に

$$ \phi(b)=2b^3-3b^3+a^2b-a^3=-b^3+a^2b-a^3 $$

である。ここで $r=\dfrac{b}{a}>0$ とおくと,

$$ \phi(b)=-a^3(r^3-r+1) $$

となる。

関数

$$ h(r)=r^3-r+1 $$

を考えると,

$$ h'(r)=3r^2-1 $$

より,$r>0$ における最小値は $r=\dfrac{1}{\sqrt3}$ でとり,

$$ h!\left(\frac{1}{\sqrt3}\right) =\frac{1}{3\sqrt3}-\frac{1}{\sqrt3}+1 =1-\frac{2}{3\sqrt3}>0 $$

である。したがって,$r>0$ で常に $h(r)>0$ だから,

$$ \phi(b)<0 $$

は正の実数 $a,b$ に対して常に成り立つ。

よって,3本引ける条件は

$$ \phi(0)>0 $$

だけを見ればよく,

$$ a^2(b-a)>0 $$

すなわち

$$ b>a $$

となる。

したがって,求める領域は 第1象限において直線 $b=a$ の上側 である。

(2) 点 $P$ から曲線 $C$ に接線がちょうど2本引けるとき,$\angle APB<90^\circ$ となる条件

接線がちょうど2本引けるためには,$\phi(t)=0$ が重解を1つと単解を1つもてばよい。重解は $\phi(t)=0$ と $\phi'(t)=0$ を同時に満たすから,

$$ \phi'(t)=6t(t-b)=0 $$

より,重解は $t=0$ または $t=b$ である。

しかし,先ほど見たように $\phi(b)<0$ は常に成り立つので,$t=b$ は根になりえない。したがって重解は $t=0$ のみであり,

$$ \phi(0)=0 $$

すなわち

$$ a^2(b-a)=0 $$

より

$$ b=a $$

である。

このとき

$$ \phi(t)=2t^3-3at^2=t^2(2t-3a) $$

となるので,接点の $x$ 座標は

$$ t=0,\qquad t=\frac{3a}{2} $$

である。

したがって,2つの接点を

$$ A=(0,a^3),\qquad B=\left(\frac{3a}{2},,\left(\frac{3a}{2}\right)^3-a^2\cdot\frac{3a}{2}+a^3\right) $$

とおける。$B$ の $y$ 座標を計算すると,

$$ \left(\frac{3a}{2}\right)^3-a^2\cdot\frac{3a}{2}+a^3 =\frac{27}{8}a^3-\frac{3}{2}a^3+a^3 =\frac{23}{8}a^3 $$

であるから,

$$ B=\left(\frac{3a}{2},\frac{23}{8}a^3\right) $$

である。また,このとき

$$ P=(a,0) $$

である。

よって

$$ \overrightarrow{PA}=(-a,a^3),\qquad \overrightarrow{PB}=\left(\frac{a}{2},\frac{23}{8}a^3\right) $$

となるから,

$$ \angle APB<90^\circ \iff \overrightarrow{PA}\cdot\overrightarrow{PB}>0 $$

である。

内積を計算すると,

$$ \overrightarrow{PA}\cdot\overrightarrow{PB} =-a\cdot\frac{a}{2}+a^3\cdot\frac{23}{8}a^3 =-\frac{a^2}{2}+\frac{23}{8}a^6 =\frac{a^2}{8}(23a^4-4) $$

となる。

$a>0$ だから,

$$ \frac{a^2}{8}(23a^4-4)>0 \iff 23a^4-4>0 \iff a>\sqrt[4]{\frac{4}{23}} $$

である。

さらに,この場合は $b=a$ であったから,求める条件は

$$ b=a,\qquad a>\sqrt[4]{\frac{4}{23}} $$

である。

解説

この問題の本質は,「点 $P$ から接線を引く」という図形的条件を,接点の $x$ 座標 $t$ に関する三次方程式 $\phi(t)=0$ に変換することである。

すると,接線の本数は三次方程式の実数解の個数に帰着される。しかも

$$ \phi'(t)=6t(t-b) $$

となるため,極値をとる位置が $t=0,\ b$ にきれいに定まり,判定が非常に簡単になる。

特に,$\phi(b)<0$ が正の範囲で常に成り立つので,3本引けるかどうかは結局 $\phi(0)=a^2(b-a)$ の符号だけで決まる。この点を見抜けると計算が大きく整理される。

答え

(1)

点 $P$ から曲線 $C$ に接線がちょうど3本引けるのは

$$ b>a $$

のときである。したがって,求める領域は 第1象限における直線 $b=a$ の上側 である。

(2)

点 $P$ から曲線 $C$ に接線がちょうど2本引けるのは

$$ b=a $$

のときに限る。このとき $\angle APB<90^\circ$ となる条件は

$$ a>\sqrt[4]{\frac{4}{23}} $$

である。よって,$a,b$ の条件は

$$ b=a,\qquad a>\sqrt[4]{\frac{4}{23}} $$

である。

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