東北大学 2022年 理系 第2問 解説

方針・初手
$x=-1$ が特別な点なので,$t=x+1$ とおく。すると
$$ x=t-1,\qquad f(x)={t^2+t+(a-2)}t^2 $$
となる。これにより,$f(x)$ の符号は2次式 $t^2+t+a-2$ の符号で決まり,極値は
$$ f'(x)=\frac{d}{dt}\bigl({t^2+t+(a-2)}t^2\bigr)=t(4t^2+3t+2a-4) $$
の符号で整理できる。
解法1
$t=x+1$ とおく。以後
$$ F(t)={t^2+t+(a-2)}t^2 $$
と書く。
(1) 最小値が負となる $a$ の範囲
$t^2\geqq 0$ であるから,$F(t)$ の符号は $t^2+t+a-2$ の符号で決まる。したがって,$f(x)$ の最小値が負であることと,
$$ t^2+t+a-2<0 $$
となる $t$ が存在することは同値である。
この2次式の最小値は $t=-\dfrac12$ のときであり,
$$ \left(-\frac12\right)^2-\frac12+a-2=a-\frac94 $$
である。よって,これが負となればよいから,
$$ a-\frac94<0 $$
すなわち
$$ a<\frac94 $$
である。
(2) $a<2$ のとき,$f(\alpha_1)<f(\alpha_2)$ を示す
まず
$$ f'(x)=t(4t^2+3t+2a-4) $$
である。$a<2$ のとき
$$ \frac{a-2}{2}<0 $$
であるから,2次方程式
$$ 4t^2+3t+2a-4=0 $$
は異符号の2実根をもつ。これを $t_1<t_2$ とすると,
$$ t_1<0<t_2,\qquad t_1+t_2=-\frac34 $$
である。
$f'(x)=t(4t^2+3t+2a-4)$ の符号は
- $t<t_1$ で負
- $t_1<t<0$ で正
- $0<t<t_2$ で負
- $t>t_2$ で正
となる。したがって,極小となるのは $t=t_1,t_2$ のときであり,
$$ \alpha_1=t_1-1,\qquad \alpha_2=t_2-1 $$
である。
次に,極小値を比較する。$t=t_1,t_2$ は
$$ 4t^2+3t+2a-4=0 $$
を満たすので,
$$ a-2=-2t^2-\frac32 t $$
である。これを $F(t)$ に代入すると,
$$ F(t)=\left(t^2+t-2t^2-\frac32 t\right)t^2 =\left(-t^2-\frac12 t\right)t^2 =-\frac12(2t+1)t^3 $$
となる。よって
$$ f(\alpha_1)=F(t_1),\qquad f(\alpha_2)=F(t_2) $$
である。
ここで $t_1+t_2=-\dfrac34$ だから,
$$ t_1=-\frac34-t_2 $$
である。したがって
$$ f(\alpha_1)-f(\alpha_2) =F!\left(-\frac34-t_2\right)-F(t_2) $$
となるが,直接計算すると
$$ F!\left(-\frac34-t\right)-F(t) =-\frac{(8t+3)^3}{256} $$
であるから,
$$ f(\alpha_1)-f(\alpha_2) =-\frac{(8t_2+3)^3}{256}<0 $$
となる。よって
$$ f(\alpha_1)<f(\alpha_2) $$
が示された。
(3) 条件を満たす $a$ の範囲
再び
$$ f'(x)=t(4t^2+3t+2a-4) $$
を用いる。
(i) $a<2$ の場合
このとき,極小点は $\alpha_1,\alpha_2$ の2つであり,(2) より
$$ f(\alpha_1)<f(\alpha_2) $$
である。したがって,全体の最小値は $x=\alpha_1$ でとる。また,符号変化より $x<\alpha_1$ で単調減少である。よって,この場合は条件を満たす。
(ii) $2\leqq a<\dfrac{73}{32}$ の場合
このとき
$$ 73-32a>0 $$
なので,$4t^2+3t+2a-4=0$ は実数解をもつ。
さらに $a>2$ なら
$$ \frac{a-2}{2}>0,\qquad t_1+t_2=-\frac34<0 $$
より,その2根はともに負である。したがって,$x<-1$ の範囲に極小点と極大点が現れる。
- (a) $2\leqq a\leqq \dfrac94$ なら,(1) より最小値は $0$ 以下である。
- このとき $f(-1)=0$ であり,しかも極小点は $x=t_1-1$ と $x=-1$ だけであるから,左側の極小点 $x=t_1-1$ でも最小値をとる。
- したがって,$\beta=t_1-1$ とすれば,$x<\beta$ で単調減少し,$x=\beta$ で最小値をとる。
一方,
- (b) $\dfrac94<a<\dfrac{73}{32}$ なら,(1) より最小値は負ではない。
- しかも $f(-1)=0$ なので,全体の最小値は $x=-1$ である。
- しかし $x<-1$ の範囲に極小点と極大点があるため,$x<-1$ で単調減少にはならない。
したがって,この範囲で条件を満たすのは
$$ 2\leqq a\leqq \frac94 $$
である。
(iii) $a\geqq \dfrac{73}{32}$ の場合
このとき
$$ 73-32a\leqq 0 $$
より,
$$ 4t^2+3t+2a-4\geqq 0 $$
がすべての $t$ で成り立つ。したがって,$f'(x)$ の符号は $t=x+1$ の符号と一致し,
$$ x<-1 \text{ で } f'(x)\leqq 0,\qquad x>-1 \text{ で } f'(x)\geqq 0 $$
となる。よって,$f(x)$ は $x<-1$ で単調減少し,$x=-1$ で最小値をとる。
以上より,条件を満たすのは
$$ a\leqq \frac94 \quad \text{または} \quad a\geqq \frac{73}{32} $$
である。
解説
$t=x+1$ とおくと,$(x+1)^2$ がそのまま $t^2$ になり,問題の構造がかなり見やすくなる。
(1) では,$t^2\geqq 0$ により符号判定が2次式1つに落ちることが本質である。
(2) では,極小点そのものを直接扱うより,対応する $t$ の値 $t_1,t_2$ に移し,和が一定 $t_1+t_2=-\dfrac34$ であることを使うと比較がしやすい。
(3) では,導関数の符号変化を場合分けして追うことが核心である。特に,最小値をとる点がどこかだけでなく,その点より左側で本当に単調減少になっているかを同時に確認する必要がある。
答え
$$ \text{(1) } a<\frac94 $$
$$ \text{(2) } f(\alpha_1)<f(\alpha_2) $$
$$ \text{(3) } a\leqq \frac94 \ \text{または}\ a\geqq \frac{73}{32} $$
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