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東京工業大学 1961年 理系 第5問 解説

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東京工業大学 1961年 理系 第5問 解説

方針・初手

与えられた不等式の各項に含まれる定積分を計算するか、または積分された関数 $F(x) = \int_0^x f(t) dt$ をおいて整理する。すべての実数 $x, y$ に対して不等式が成り立つ条件を考えるため、式を $x$ と $y$ の式として展開し、恒等的に $0$ 以上となる条件を求めるのが基本方針である。

解法1

$$ F(x) = \int_0^x f(t) dt $$

とおく。$f(t) = t^3 + pt^2 + qt + r$ であるから、これを積分して

$$ F(x) = \frac{1}{4}x^4 + \frac{p}{3}x^3 + \frac{q}{2}x^2 + rx $$

となる。

与えられた不等式は次のように変形できる。

$$ F(x+y) + F(x-y) - 2F(x) \geqq 0 $$

この左辺を $g(x, y)$ とおき、それぞれ代入して計算する。 まず、各項の和と差を整理すると、

$$ (x+y)^4 + (x-y)^4 = 2(x^4 + 6x^2y^2 + y^4) $$

$$ (x+y)^3 + (x-y)^3 = 2(x^3 + 3xy^2) $$

$$ (x+y)^2 + (x-y)^2 = 2(x^2 + y^2) $$

$$ (x+y) + (x-y) = 2x $$

であるから、これらを用いて $F(x+y) + F(x-y)$ を計算すると、

$$ F(x+y) + F(x-y) = \frac{1}{2}(x^4 + 6x^2y^2 + y^4) + \frac{2p}{3}(x^3 + 3xy^2) + q(x^2 + y^2) + 2rx $$

となる。

一方、$2F(x)$ は

$$ 2F(x) = \frac{1}{2}x^4 + \frac{2p}{3}x^3 + qx^2 + 2rx $$

である。

したがって、$g(x, y)$ はこれらを引いて、

$$ g(x, y) = \frac{1}{2}(6x^2y^2 + y^4) + 2pxy^2 + qy^2 $$

$$ g(x, y) = y^2 \left( \frac{1}{2}y^2 + 3x^2 + 2px + q \right) $$

となる。

条件より、すべての実数 $x, y$ について $g(x, y) \geqq 0$ が成り立つ。 $y^2 \geqq 0$ であるから、これがすべての $x, y$ で成り立つための条件は、すべての実数 $x, y$ に対して

$$ \frac{1}{2}y^2 + 3x^2 + 2px + q \geqq 0 $$

が成り立つことである。

この式が任意の $y$ で成り立つためには、$y=0$ のときを考えて、すべての実数 $x$ に対して

$$ 3x^2 + 2px + q \geqq 0 $$

が成り立つことが必要である。 逆に、すべての $x$ に対して $3x^2 + 2px + q \geqq 0$ が成り立てば、$\frac{1}{2}y^2 \geqq 0$ より

$$ \frac{1}{2}y^2 + 3x^2 + 2px + q \geqq 0 $$

はすべての $x, y$ で成り立つため、十分条件でもある。

よって、すべての実数 $x$ に対して $3x^2 + 2px + q \geqq 0$ が成り立つことが求める条件となる。 これは $x$ の2次方程式 $3x^2 + 2px + q = 0$ の判別式を $D$ としたとき、$D \leqq 0$ となることである。

$$ \frac{D}{4} = p^2 - 3q \leqq 0 $$

これを整理して、求める条件は $p^2 - 3q \leqq 0$ となる。

解法2

$$ g(x, y) = \int_0^{x+y} f(t) dt + \int_0^{x-y} f(t) dt - 2 \int_0^x f(t) dt $$

とおき、定積分の性質を用いて式を変形する。

$$ g(x, y) = \int_x^{x+y} f(t) dt - \int_{x-y}^x f(t) dt $$

右辺の第1項で $t = x + u$ と置換積分すると、$dt = du$ であり、積分区間は $u$ について $0 \to y$ となる。 右辺の第2項で $t = x - u$ と置換積分すると、$dt = -du$ であり、積分区間は $u$ について $y \to 0$ となるので、

$$ \int_{x-y}^x f(t) dt = \int_y^0 f(x-u) (-du) = \int_0^y f(x-u) du $$

となる。

これらを用いると、$g(x, y)$ は次のようにまとめられる。

$$ g(x, y) = \int_0^y \{ f(x+u) - f(x-u) \} du $$

すべての実数 $x, y$ に対して $g(x, y) \geqq 0$ が成り立つ条件を考える。 $y > 0$ のとき、積分区間 $0 \leqq u \leqq y$ において $u \geqq 0$ である。 常に積分が $0$ 以上になるためには、被積分関数が常に $0$ 以上、すなわち $f(x+u) \geqq f(x-u)$ が成り立つ必要がある。これがすべての $x$ と $u \geqq 0$ で成り立つということは、関数 $f(t)$ が単調増加であることを意味する。 $y < 0$ の場合も、$y = -Y$ ($Y > 0$) とおいて同様に評価すると、$f(t)$ が単調増加であれば積分結果は $0$ 以上となる。

したがって、すべての $x, y$ について $g(x, y) \geqq 0$ が成り立つための必要十分条件は、関数 $f(t)$ が常に単調増加であること、すなわちすべての実数 $t$ に対して $f'(t) \geqq 0$ が成り立つことである。

$f(t) = t^3 + pt^2 + qt + r$ より

$$ f'(t) = 3t^2 + 2pt + q $$

であるから、すべての実数 $t$ に対して

$$ 3t^2 + 2pt + q \geqq 0 $$

が成り立つ条件を求めればよい。 これは $t$ の2次方程式 $3t^2 + 2pt + q = 0$ の判別式を $D$ としたとき、$D \leqq 0$ となることである。

$$ \frac{D}{4} = p^2 - 3q \leqq 0 $$

ゆえに、求める条件は $p^2 - 3q \leqq 0$ となる。

解説

与えられた積分不等式は、関数 $F(x) = \int_0^x f(t) dt$ の「下への凸性」を表している。一般に、関数 $F(x)$ が下に凸であることは $F''(x) \geqq 0$ であることと同値である。本問では $F'(x) = f(x)$、$F''(x) = f'(x)$ となるため、結局は $f'(x) \geqq 0$ (すなわち $f(x)$ が単調増加)が本質的な条件となる。解法1はこれを多項式の計算で直接的に証明したものであり、解法2はこの数学的背景を積分の意味から捉え直したものである。

答え

$$ p^2 - 3q \leqq 0 $$

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