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東京工業大学 1965年 理系 第4問 解説

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東京工業大学 1965年 理系 第4問 解説

方針・初手

$f(x)$ は次数が3をこえない整式であるため、$f(x) = ax^3 + bx^2 + cx + d$ とおくことができる。まず、与えられた定積分を $a, b, c, d$ と $h$ を用いて計算する。積分区間が $[-h, h]$ であることから、偶関数・奇関数の性質を利用すると計算が容易になる。次に、$f(0)$、$f(h)$、$f(-h)$ の値をそれぞれ計算し、それらを組み合わせて先ほど計算した定積分の式を作る。

解法1

$f(x)$ は次数が3をこえない整式であるから、$a, b, c, d$ を定数として、次のように表すことができる。

$$ f(x) = ax^3 + bx^2 + cx + d $$

まず、求めるべき式の定積分部分を計算する。積分区間が $[-h, h]$ であることに着目し、奇関数の積分が $0$ になる性質を用いると、

$$ \begin{aligned} \int_{-h}^h f(x) dx &= \int_{-h}^h (ax^3 + bx^2 + cx + d) dx \\ &= 2 \int_0^h (bx^2 + d) dx \\ &= 2 \left[ \frac{b}{3}x^3 + dx \right]_0^h \\ &= 2 \left( \frac{b}{3}h^3 + dh \right) \\ &= \frac{2}{3}bh^3 + 2dh \end{aligned} $$

となる。したがって、これを $h$ で割ると、

$$ \frac{1}{h} \int_{-h}^h f(x) dx = \frac{2}{3}bh^2 + 2d \quad \cdots \text{①} $$

となる。

次に、$f(0)$、$f(h)$、$f(-h)$ の値をそれぞれ求める。

$$ \begin{aligned} f(0) &= d \\ f(h) &= ah^3 + bh^2 + ch + d \\ f(-h) &= -ah^3 + bh^2 - ch + d \end{aligned} $$

$f(h)$ と $f(-h)$ を足し合わせることで、奇数乗の項を消去できる。

$$ f(h) + f(-h) = 2bh^2 + 2d $$

この式と $f(0) = d$ を用いて、①式を構成する。上の式を変形して $bh^2$ について解くと、

$$ 2bh^2 = f(h) + f(-h) - 2d $$

$$ bh^2 = \frac{1}{2} \{ f(h) + f(-h) - 2f(0) \} $$

となる。これら $bh^2$ と $d$ の値を①式に代入する。

$$ \begin{aligned} \frac{1}{h} \int_{-h}^h f(x) dx &= \frac{2}{3} \cdot \frac{1}{2} \{ f(h) + f(-h) - 2f(0) \} + 2f(0) \\ &= \frac{1}{3} \{ f(h) + f(-h) - 2f(0) \} + \frac{6}{3} f(0) \\ &= \frac{1}{3} f(h) + \frac{1}{3} f(-h) - \frac{2}{3} f(0) + \frac{6}{3} f(0) \\ &= \frac{1}{3} f(h) + \frac{4}{3} f(0) + \frac{1}{3} f(-h) \end{aligned} $$

これを整理して求める公式を得る。

解説

この問題で導出された結果は「シンプソンの公式(Simpson's rule)」として知られる数値積分法の基本形である。3次以下の整式であれば、3点の関数値から定積分が完全に正確に求められるという重要な性質を示している。計算のポイントとしては、積分区間が原点に対して対称な $[-h, h]$ であるため、奇数次の項の定積分が $0$ になることを活用して計算量を減らすこと、そして $f(h)$ と $f(-h)$ の和をとることで容易に必要な係数を抽出できる点にある。

答え

$$ \frac{1}{h} \int_{-h}^h f(x) dx = \frac{1}{3} \{ f(h) + 4f(0) + f(-h) \} $$

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