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東京工業大学 1963年 理系 第6問 解説

数学2/積分法数学2/式と証明数学1/方程式不等式テーマ/存在証明テーマ/整式の証明
東京工業大学 1963年 理系 第6問 解説

方針・初手

「任意の一次関数 $g(x)$ に対して」という条件の扱い方がポイントになります。$g(x) = cx + d$ ($c, d$ は任意の定数)とおき、積分を計算して $c$ と $d$ の恒等式と見なすことで、$f(x)$ に関する2つの条件式を引き出します。

そこから係数 $p, q$ を具体的に求めて解を直接調べる方針(解法1)と、積分の性質を利用して背理法で解の存在を示す方針(解法2)が考えられます。

解法1

$g(x) = cx + d$ ($c, d$ は任意の定数) とおく。 条件より、任意の $c, d$ に対して次式が成り立つ。

$$\int_0^a f(x)(cx + d)dx = 0$$

式を展開して定数 $c, d$ で整理すると、

$$c \int_0^a xf(x)dx + d \int_0^a f(x)dx = 0$$

これが任意の $c, d$ について成り立つための必要十分条件は、

$$\int_0^a f(x)dx = 0 \quad \cdots \text{(1)}$$ $$\int_0^a xf(x)dx = 0 \quad \cdots \text{(2)}$$

である。 $f(x) = x^2 + px + q$ を (1) に代入して計算する。

$$\int_0^a (x^2 + px + q)dx = \left[ \frac{1}{3}x^3 + \frac{p}{2}x^2 + qx \right]_0^a = \frac{1}{3}a^3 + \frac{p}{2}a^2 + qa = 0$$

$a > 0$ であるから、両辺を $a$ で割ると、

$$\frac{1}{3}a^2 + \frac{p}{2}a + q = 0 \quad \cdots \text{(3)}$$

次に、(2) に代入して計算する。

$$\int_0^a x(x^2 + px + q)dx = \int_0^a (x^3 + px^2 + qx)dx = \left[ \frac{1}{4}x^4 + \frac{p}{3}x^3 + \frac{q}{2}x^2 \right]_0^a = \frac{1}{4}a^4 + \frac{p}{3}a^3 + \frac{q}{2}a^2 = 0$$

$a > 0$ であるから、両辺を $a^2$ で割ると、

$$\frac{1}{4}a^2 + \frac{p}{3}a + \frac{q}{2} = 0 \quad \cdots \text{(4)}$$

(3)より $q = - \frac{1}{3}a^2 - \frac{p}{2}a$。これを(4)に代入する。

$$\frac{1}{4}a^2 + \frac{p}{3}a + \frac{1}{2} \left( - \frac{1}{3}a^2 - \frac{p}{2}a \right) = 0$$

展開して整理する。

$$\frac{1}{4}a^2 + \frac{p}{3}a - \frac{1}{6}a^2 - \frac{p}{4}a = 0$$

$$\frac{1}{12}a^2 + \frac{p}{12}a = 0$$

両辺を $12$ 倍して $a$ でくくると、

$$a(a + p) = 0$$

$a > 0$ より、

$$p = -a$$

これを $q = - \frac{1}{3}a^2 - \frac{p}{2}a$ に代入する。

$$q = - \frac{1}{3}a^2 - \frac{1}{2}(-a)a = - \frac{1}{3}a^2 + \frac{1}{2}a^2 = \frac{1}{6}a^2$$

したがって、$f(x)$ は次のように定まる。

$$f(x) = x^2 - ax + \frac{1}{6}a^2$$

方程式 $f(x) = 0$ の解は、解の公式より、

$$x = \frac{a \pm \sqrt{(-a)^2 - 4 \cdot \frac{1}{6}a^2}}{2} = \frac{a \pm \sqrt{a^2 - \frac{2}{3}a^2}}{2} = \frac{a \pm \frac{a}{\sqrt{3}}}{2} = \frac{a}{2} \left( 1 \pm \frac{1}{\sqrt{3}} \right)$$

ここで、$1 < \sqrt{3} < 2$ より $\frac{1}{2} < \frac{1}{\sqrt{3}} < 1$ であるから、

$$0 < 1 - \frac{1}{\sqrt{3}} < 1$$ $$1 < 1 + \frac{1}{\sqrt{3}} < 2$$

各辺に $\frac{a}{2}$ ($a>0$) を掛けると、

$$0 < \frac{a}{2} \left( 1 - \frac{1}{\sqrt{3}} \right) < \frac{a}{2}$$ $$\frac{a}{2} < \frac{a}{2} \left( 1 + \frac{1}{\sqrt{3}} \right) < a$$

したがって、方程式 $f(x) = 0$ の2つの解はともに $0 < x < a$ の範囲にある。(証明終)

解法2

任意の1次関数 $g(x)$ について $\int_0^a f(x)g(x)dx = 0$ が成り立つとする。 $g(x) = 1$ とすると、次式が成り立つ。

$$\int_0^a f(x)dx = 0 \quad \cdots \text{(1)}$$

$f(x) = x^2 + px + q$ は連続関数であり、仮に区間 $(0, a)$ において常に $f(x) \ge 0$ または常に $f(x) \le 0$ であると仮定する。$f(x)$ は定数関数 $0$ ではないため、積分値は $0$ にならない。これは(1)に矛盾する。 したがって、$f(x)$ は区間 $(0, a)$ 内で符号が変化する。すなわち、$f(x) = 0$ は区間 $(0, a)$ 内に少なくとも1つの実数解をもつ。

その実数解の1つを $\alpha$ ($0 < \alpha < a$) とおく。 ここで、$f(x) = 0$ が区間 $(0, a)$ 内に $\alpha$ 以外の実数解をもたないと仮定する。 このとき、$f(x)$ は区間 $(0, a)$ において $x = \alpha$ の前後でのみ符号を変化させる。 $x^2$ の係数が正であることから、$0 < x < \alpha$ で $f(x) < 0$、$\alpha < x < a$ で $f(x) > 0$ となる。

ここで、1次関数 $g(x) = x - \alpha$ を考える。 $g(x)$ も $0 < x < \alpha$ で $g(x) < 0$、$\alpha < x < a$ で $g(x) > 0$ となるため、$x = \alpha$ の前後でのみ符号を変化させる。 したがって、区間 $(0, a)$ の $x \neq \alpha$ なるすべての $x$ において、積 $f(x)g(x)$ は正となる。

ゆえに、

$$\int_0^a f(x)g(x)dx > 0$$

となるが、これは任意の1次関数 $g(x)$ について $\int_0^a f(x)g(x)dx = 0$ が成り立つという条件に矛盾する。

したがって、$f(x) = 0$ は区間 $(0, a)$ 内にもう1つ実数解をもたなければならない。 $f(x)$ は2次関数であるため、解は最大で2つである。 以上より、方程式 $f(x) = 0$ は範囲 $0 < x < a$ にちょうど2つの実数解をもつ。(証明終)

解説

「任意の $g(x)$ に対して」という条件をどう処理するかが最大の鍵です。解法1のように $g(x) = 1$ と $g(x) = x$ という2つの基本関数での積分が $0$ になる条件に帰着させるのが、最も確実で標準的なアプローチです。具体的な関数形がわかるため、解の配置も直接確認できます。

解法2は、大学数学で学ぶ直交多項式(特にルジャンドル多項式)の性質を証明する際の有名な論法です。「積分値が 0 になる関数は区間内で符号変化を持つ」「符号変化の回数と場所を一致させる関数を掛けると積分値が正になる」というアイデアは、誘導なしで思いつくのは難しいですが、知っておくとエレガントに証明を完了させることができます。

答え

題意の通り、方程式 $f(x) = 0$ は範囲 $0 < x < a$ に2つの実根をもつことが証明された。

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