東京工業大学 1963年 理系 第5問 解説

方針・初手
2つの放物線の交点を求め、囲まれる領域を特定することから始める。 連立方程式から $y$ を消去すると無理式が現れるため、$x$ を消去して交点の $x$ 座標を導出する。
その後、面積を計算するための定積分を行う。 $x$ を変数として積分すると計算が極めて煩雑になるため、$x \leqq 0$ の条件を用いて $y = x^2$ を $x = -\sqrt{y}$ と変形し、$y$ 軸方向への積分($y$ を変数とする積分)を行うのが最適な方針である。
解法1
2つの放物線の方程式は以下の通りである。
$$y = x^2 \quad \cdots (1)$$
$$6x = a^3y^2 - 7ay \quad \cdots (2)$$
(1) を (2) に代入して $y$ を消去する。
$$6x = a^3x^4 - 7ax^2$$
整理して $x$ でくくると、次の方程式を得る。
$$x(a^3x^3 - 7ax - 6) = 0$$
ここで、カッコ内の3次式 $P(x) = a^3x^3 - 7ax - 6$ について考える。 $x = -\frac{1}{a}$ を代入すると、
$$P\left(-\frac{1}{a}\right) = a^3\left(-\frac{1}{a^3}\right) - 7a\left(-\frac{1}{a}\right) - 6 = -1 + 7 - 6 = 0$$
因数定理より、$P(x)$ は $ax + 1$ を因数にもつ。割り算を実行して因数分解する。
$$a^3x^3 - 7ax - 6 = (ax + 1)(a^2x^2 - ax - 6) = (ax + 1)(ax - 3)(ax + 2)$$
したがって、交点の $x$ 座標を求める方程式は以下のようになる。
$$x(ax + 1)(ax - 3)(ax + 2) = 0$$
$a$ は正の定数であり、問題の条件より $x \leqq 0$ であるから、適する $x$ 座標は以下の3つである。
$$x = 0, \ -\frac{1}{a}, \ -\frac{2}{a}$$
これらに対応する $y$ 座標を (1) から求めると、交点の $y$ 座標は小さい順に以下のようになる。
$$y = 0, \ \frac{1}{a^2}, \ \frac{4}{a^2}$$
次に、面積を求めるために $y$ を変数とする定積分を行う。 $x \leqq 0$ において、$y = x^2$ は $x = -\sqrt{y}$ と表せる。これを曲線 $C_1$ とする。 また、もう一方の放物線は $x = \frac{1}{6}(a^3y^2 - 7ay)$ と表せる。これを曲線 $C_2$ とする。
2つの放物線が囲む部分は、$y$ の区間 $\left[0, \frac{1}{a^2}\right]$ と $\left[\frac{1}{a^2}, \frac{4}{a^2}\right]$ の2つの領域に分かれる。それぞれの面積を $S_1, S_2$ とする。
ここで、$x$ 座標の差を表す関数 $g(y)$ を次のように定義する。
$$g(y) = \frac{1}{6}(a^3y^2 - 7ay) - (-\sqrt{y}) = \frac{1}{6}a^3y^2 - \frac{7}{6}ay + y^{\frac{1}{2}}$$
定積分 $I(y) = \int g(y) dy$ を計算する。
$$I(y) = \frac{1}{18}a^3y^3 - \frac{7}{12}ay^2 + \frac{2}{3}y^{\frac{3}{2}}$$
交点における $I(y)$ の値を求める。まず $y = 0$ のとき、
$$I(0) = 0$$
$y = \frac{1}{a^2}$ のとき、
$$I\left(\frac{1}{a^2}\right) = \frac{1}{18}a^3\left(\frac{1}{a^6}\right) - \frac{7}{12}a\left(\frac{1}{a^4}\right) + \frac{2}{3}\left(\frac{1}{a^3}\right) = \frac{1}{18a^3} - \frac{7}{12a^3} + \frac{2}{3a^3}$$
通分して計算する。
$$I\left(\frac{1}{a^2}\right) = \frac{2 - 21 + 24}{36a^3} = \frac{5}{36a^3}$$
$y = \frac{4}{a^2}$ のとき、
$$I\left(\frac{4}{a^2}\right) = \frac{1}{18}a^3\left(\frac{64}{a^6}\right) - \frac{7}{12}a\left(\frac{16}{a^4}\right) + \frac{2}{3}\left(\frac{8}{a^3}\right) = \frac{32}{9a^3} - \frac{28}{3a^3} + \frac{16}{3a^3}$$
通分して計算する。
$$I\left(\frac{4}{a^2}\right) = \frac{32 - 84 + 48}{9a^3} = -\frac{4}{9a^3}$$
これを用いて、各区間における定積分を求める。
$$\int_{0}^{\frac{1}{a^2}} g(y) dy = I\left(\frac{1}{a^2}\right) - I(0) = \frac{5}{36a^3}$$
$$\int_{\frac{1}{a^2}}^{\frac{4}{a^2}} g(y) dy = I\left(\frac{4}{a^2}\right) - I\left(\frac{1}{a^2}\right) = -\frac{4}{9a^3} - \frac{5}{36a^3} = \frac{-16 - 5}{36a^3} = -\frac{21}{36a^3}$$
面積はこれらの定積分の絶対値であるため、2つの部分の面積 $S_1, S_2$ は以下のようになる。
$$S_1 = \left| \frac{5}{36a^3} \right| = \frac{5}{36a^3}$$
$$S_2 = \left| -\frac{21}{36a^3} \right| = \frac{21}{36a^3}$$
したがって、求める面積の比は、
$$S_1 : S_2 = \frac{5}{36a^3} : \frac{21}{36a^3} = 5 : 21$$
解説
2曲線で囲まれた面積を求める標準的な問題であるが、積分の変数をどちらにするかで計算量に天と地ほどの差が出る。 一般に $y = f(x)$ と書かれた関数を見ると $x$ 軸方向への積分を考えがちだが、本問の $6x = a^3y^2 - 7ay$ は $y$ について解くと複雑な無理式になるため、$x$ の積分は得策ではない。
$x \leqq 0$ の条件から $y = x^2$ を $x = -\sqrt{y}$ と逆関数に直し、$y$ 軸を基準とした積分に持ち込むのが最大のポイントである。
また、交点を求める際の3次方程式 $a^3x^3 - 7ax - 6 = 0$ において、$x$ に代入して $0$ になる値を見つける因数定理の処理も重要である。係数に文字 $a$ が含まれている場合、$x$ に $\frac{k}{a}$ の形を代入すると $a$ が消去される可能性が高いことを意識すると、素早く $x = -\frac{1}{a}$ を見つけることができる。
答え
$5 : 21$
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