東京工業大学 1966年 理系 第1問 解説

方針・初手
(1) 与えられた円の方程式を標準形に変形し、中心 $O$ の座標と半径 $r$ を求める。点 $Q$ は半直線 $OP$ 上にあるため、$\vec{OQ} = k \vec{OP}$ ($k > 0$) と置ける。条件 $OP \cdot OQ = r^2$ から係数 $k$ を $x, y$ を用いて表し、$Q$ の座標 $(X, Y)$ を求める。
(2) $P$ が $x$ 軸上を動くため、$y = 0$ とする。(1) の関係式から $x$ を消去して $X, Y$ の方程式を導く方法(解法1)と、反転(インバージョン)の幾何学的な性質を利用する方法(解法2)がある。いずれの場合も、軌跡から除外される点がないかどうかに注意を払う。
解法1
(1) 円の方程式 $x^2 + y^2 - 4x + 2y + 1 = 0$ を変形する。
$$ (x - 2)^2 + (y + 1)^2 = 4 $$
これにより、円の中心 $O$ の座標は $(2, -1)$、半径は $r = 2$ となる。
点 $P(x, y)$ は中心 $O$ と異なるため、$\vec{OP} \neq \vec{0}$ であり、
$$ \vec{OP} = (x - 2, y + 1) $$
と表せる。 点 $Q(X, Y)$ は線分 $OP$ またはその延長上にあるので、ある正の実数 $k$ を用いて
$$ \vec{OQ} = k \vec{OP} $$
と表すことができる。このとき、線分の長さについて $OQ = k OP$ が成り立つ。
条件 $OP \cdot OQ = r^2$ より、
$$ OP \cdot (k OP) = 4 $$
$$ k = \frac{4}{OP^2} = \frac{4}{(x - 2)^2 + (y + 1)^2} $$
$\vec{OQ} = (X - 2, Y + 1)$ であるから、
$$ \begin{aligned} X - 2 &= \frac{4(x - 2)}{(x - 2)^2 + (y + 1)^2} \\ Y + 1 &= \frac{4(y + 1)}{(x - 2)^2 + (y + 1)^2} \end{aligned} $$
これらを $X, Y$ について解くと、
$$ \begin{aligned} X &= 2 + \frac{4(x - 2)}{(x - 2)^2 + (y + 1)^2} \\ Y &= -1 + \frac{4(y + 1)}{(x - 2)^2 + (y + 1)^2} \end{aligned} $$
となり、これが点 $Q$ の座標である。
(2) 点 $P(x, y)$ が $x$ 軸の全体を動くとき、$y = 0$ であり、$x$ はすべての実数値をとる。 また、$y = 0$ のとき $(x - 2)^2 + (y + 1)^2 = (x - 2)^2 + 1 \ge 1 > 0$ となり、$P$ が $O(2, -1)$ と一致することはない。
(1) と同様に、$OP \cdot OQ = r^2$ かつ $\vec{OP}$ と $\vec{OQ}$ は同じ向きであるから、関係式を $\vec{OP}$ について解くと
$$ \vec{OP} = \frac{r^2}{OQ^2} \vec{OQ} $$
が成り立つ。これを成分で表すと、
$$ \begin{aligned} x - 2 &= \frac{4(X - 2)}{(X - 2)^2 + (Y + 1)^2} \\ y + 1 &= \frac{4(Y + 1)}{(X - 2)^2 + (Y + 1)^2} \end{aligned} $$
$y = 0$ を第2式に代入する。
$$ 1 = \frac{4(Y + 1)}{(X - 2)^2 + (Y + 1)^2} $$
分母を払って整理する。
$$ \begin{aligned} (X - 2)^2 + (Y + 1)^2 &= 4(Y + 1) \\ (X - 2)^2 + Y^2 + 2Y + 1 &= 4Y + 4 \\ (X - 2)^2 + Y^2 - 2Y - 3 &= 0 \\ (X - 2)^2 + (Y - 1)^2 &= 4 \end{aligned} $$
したがって、点 $Q$ は円 $(x - 2)^2 + (y - 1)^2 = 4$ 上にある。
次に、軌跡の除外点について調べる。 (1) で求めた $Y$ の式に $y = 0$ を代入すると、
$$ Y + 1 = \frac{4}{(x - 2)^2 + 1} $$
実数 $x$ に対して $(x - 2)^2 \ge 0$ であるから、$(x - 2)^2 + 1 \ge 1$ となる。 したがって、
$$ 0 < Y + 1 \le 4 $$
すなわち、$-1 < Y \le 3$ である。 円 $(X - 2)^2 + (Y - 1)^2 = 4$ 上で $Y = -1$ となる点は、$(X - 2)^2 + (-2)^2 = 4$ より $X = 2$ となり、点 $(2, -1)$ のみである。 上記の不等式より $Y$ が $-1$ になることはないため、点 $(2, -1)$ は軌跡から除外される。 $x$ が実数全体を連続的に動くとき、点 $Q$ は除外点を除く円上のすべての点を動く。
したがって、点 $Q$ は円 $(x - 2)^2 + (y - 1)^2 = 4$ を描き、点 $(2, -1)$ を除く。
解法2
(2) 点 $Q$ は、点 $P$ を中心 $O(2, -1)$、半径 $r = 2$ の円に関して反転させた点である。
点 $P$ は直線 $y = 0$ 上を動く。直線 $y = 0$ は反転の中心 $O(2, -1)$ を通らない。 一般に、反転の中心を通らない直線の反転図形は、反転の中心を通る円となり、反転の中心自身は除外される。
中心 $O(2, -1)$ から直線 $y = 0$ に下ろした垂線の足を $H$ とすると、$H$ の座標は $(2, 0)$ である。 線分 $OH$ 上(またはその延長上)にある $H$ の反転点 $H'$ は、反転によって得られる円の直径の端点となる。 $OH = 1$ であり、反転の定義 $OH \cdot OH' = r^2 = 4$ より、
$$ OH' = 4 $$
点 $H'$ は半直線 $OH$ 上にあるから、
$$ \vec{OH'} = 4\vec{OH} = 4(0, 1) = (0, 4) $$
よって、$H'$ の座標は
$$ (2, -1) + (0, 4) = (2, 3) $$
となる。
求める軌跡は、線分 $OH'$ を直径とする円であり、点 $O$ が除外される。 直径の両端が $O(2, -1)$ と $H'(2, 3)$ であるから、その中点は $(2, 1)$、半径は $\frac{3 - (-1)}{2} = 2$ である。
したがって、求める図形は円 $(x - 2)^2 + (y - 1)^2 = 4$ であり、除外点は点 $(2, -1)$ である。
解説
本問は「反転(インバージョン)」をテーマにした軌跡の標準的な問題である。 (1) はベクトルの実数倍を用いて機械的に計算すればよい。 (2) では $X, Y$ と $x, y$ の関係式を用いて代数的に軌跡を求めるのが確実であるが、その際に $x \to \pm \infty$ の極限に対応する「除外点」の確認を忘れないようにすることが重要である。 解法2のように、反転の幾何学的な性質(原点を通らない直線の反転は、原点を通る円になる)を知っていれば、垂線の足の反転点を求めるだけで円の方程式を容易に特定することができる。
答え
(1) $(X, Y) = \left( 2 + \frac{4(x - 2)}{(x - 2)^2 + (y + 1)^2}, \ -1 + \frac{4(y + 1)}{(x - 2)^2 + (y + 1)^2} \right)$
(2) 円 $(x - 2)^2 + (y - 1)^2 = 4$ (ただし、点 $(2, -1)$ を除く)
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