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東京工業大学 1974年 理系 第5問 解説

数学2/指数対数数学3/微分法数学1/方程式不等式テーマ/最大・最小テーマ/場合分け
東京工業大学 1974年 理系 第5問 解説

方針・初手

関数 $g(x) = e^x - ax$ を定義し、その導関数から増減を調べて絶対値関数 $f(x) = |g(x)|$ の最大値を考える。 $g(x)$ に絶対値がついているため、最大値の候補は「区間の端点における値の絶対値」または「極小値が負となる場合のその絶対値」である。 導関数 $g'(x) = e^x - a$ の符号変化が区間 $0 \leqq x \leqq 1$ の中で起こるかどうかで場合分けを行う。

解法1

$f(x) = |e^x - ax|$ とし、絶対値の中身を $g(x) = e^x - ax$ とおく。 $g(x)$ を $x$ で微分すると、以下のようになる。

$$ g'(x) = e^x - a $$

$g'(x) = 0$ となるのは $e^x = a$ のときである。 $a$ の値によって、区間 $0 \leqq x \leqq 1$ における $g(x)$ の増減が異なるため、以下のように場合分けをする。

(i) $a \leqq 1$ のとき

区間 $0 \leqq x \leqq 1$ において $e^x \geqq 1 \geqq a$ であるから、常に $g'(x) \geqq 0$ となる。 したがって、$g(x)$ はこの区間で単調増加する。 $g(0) = 1 > 0$ であるため、区間内で常に $g(x) > 0$ となり、$f(x) = g(x)$ である。 $f(x)$ の最大値は $x = 1$ のときにとり、その値は以下のようになる。

$$ f(1) = g(1) = e - a $$

最大値が 2 となるから、

$$ e - a = 2 $$

これを解くと $a = e - 2$ となる。 $e < 3$ より $e - 2 < 1$ であるから、これは条件 $a \leqq 1$ を満たす。

(ii) $1 < a < e$ のとき

$g'(x) = 0$ となる $x$ は $x = \log a$ であり、$1 < a < e$ より $0 < \log a < 1$ を満たすため、区間内に極小値をもつ。 $g(x)$ の増減表は以下のようになる。

$$ \begin{array}{c|ccccc} x & 0 & \cdots & \log a & \cdots & 1 \\ \hline g'(x) & & - & 0 & + & \\ \hline g(x) & 1 & \searrow & \text{極小} & \nearrow & e - a \end{array} $$

極小値は $x = \log a$ のときであり、以下のようになる。

$$ g(\log a) = e^{\log a} - a \log a = a(1 - \log a) $$

$1 < a < e$ より $0 < \log a < 1$ であるから、$1 - \log a > 0$ となり、$a > 0$ とあわせて極小値 $g(\log a) > 0$ である。 したがって、区間 $0 \leqq x \leqq 1$ において常に $g(x) > 0$ となり、$f(x) = g(x)$ である。 $f(x)$ の最大値は端点である $f(0)$ または $f(1)$ のいずれか大きい方となる。 $f(0) = 1 < 2$ であり、また $a > 1$ より $f(1) = e - a < e - 1 < 2$ ($\because e < 3$)となるため、この区間で最大値が 2 となることはない。

(iii) $a \geqq e$ のとき

区間 $0 \leqq x \leqq 1$ において $e^x \leqq e \leqq a$ であるから、常に $g'(x) \leqq 0$ となる。 したがって、$g(x)$ はこの区間で単調減少する。 端点の値は $g(0) = 1 > 0$、$g(1) = e - a \leqq 0$ である。 $f(x) = |g(x)|$ の最大値は、$f(0) = |g(0)| = 1$ または $f(1) = |g(1)| = a - e$ のいずれか大きい方となる。 最大値が 2 となるためには、$f(0) = 1 < 2$ であるから、もう一方の端点での値が 2 でなければならない。

$$ f(1) = a - e = 2 $$

これを解くと $a = e + 2$ となる。 これは条件 $a \geqq e$ を満たす。

以上 (i), (ii), (iii) より、求める $a$ の値は $a = e - 2, e + 2$ である。

解法2

$f(x) = |e^x - ax|$ とし、$g(x) = e^x - ax$ とする。 $g(x)$ の第2次導関数を求めると、以下のようになる。

$$ g''(x) = e^x > 0 $$

常に $g''(x) > 0$ であるから、$g(x)$ は下に凸な関数である。 閉区間における下に凸な関数の最大値は、区間の両端点のいずれかでとるため、$g(x)$ の最大値は $\max(g(0), g(1))$ である。 一方、絶対値関数 $f(x) = |g(x)|$ の最大値は、$g(x)$ の最大値と $-g(x)$ の最大値の大きい方となる。 $-g(x)$ は上に凸な関数であり、その最大値は極大値または端点でとる。 $-g(x)$ が極大値(すなわち $g(x)$ が極小値)をもつのは、$g'(x) = e^x - a = 0$ より $x = \log a$ のときである。 これが区間 $0 \leqq x \leqq 1$ 内にある条件は $0 \leqq \log a \leqq 1$ すなわち $1 \leqq a \leqq e$ である。 このときの極小値は以下のようになる。

$$ g(\log a) = a(1 - \log a) $$

$1 \leqq a \leqq e$ のとき、$a \geqq 1 > 0$ かつ $1 - \log a \geqq 0$ であるから、$g(\log a) \geqq 0$ となる。 つまり、極小値をとる場合でも $g(x) \geqq 0$ であり、区間内で $g(x)$ が負になることはない。 極小値を区間内にもたない場合は、$g(x)$ は単調であり、最小値は端点でとる。 いずれにせよ、区間内で $g(x)$ が負の値をとり、その絶対値が端点での絶対値より大きくなることはない。 したがって、$f(x)$ の最大値は端点における値 $f(0)$ または $f(1)$ のいずれか大きい方で決定される。

$$ f(0) = |1| = 1 $$

$$ f(1) = |e - a| $$

$f(0) = 1$ は 2 にならないため、最大値が 2 となる条件は以下のようになる。

$$ |e - a| = 2 $$

これを解くと、以下のようになる。

$$ e - a = \pm 2 $$

$$ a = e \pm 2 $$

解説

絶対値を含む関数の最大値・最小値を求める典型問題である。 関数 $g(x)$ の増減を導関数から丁寧に調べ、極値の有無と位置によって場合分けを行うのが標準的な解法(解法1)である。 その際、極小値 $a(1 - \log a)$ の符号判定がポイントとなる。これが正であることから、「極小値の絶対値が最大値に寄与する」というケースが排除される。

一方、解法2のように $g''(x) > 0$ から「下に凸」という性質を見抜けると、見通しが劇的に良くなる。 下に凸な関数の最大値は必ず区間の端点でとるという性質は、入試数学でしばしば威力を発揮するため、定石として押さえておきたい。

答え

$$ a = e - 2, \quad a = e + 2 $$

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