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東京工業大学 1976年 理系 第5問 解説

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東京工業大学 1976年 理系 第5問 解説

方針・初手

与えられた等式 $x^2+2y^2+3z^2=1$ を満たす任意の $(x, y, z)$ に対してベクトル $x\vec{a}+y\vec{b}+z\vec{c}$ の長さが $1$ になる、という条件を処理する問題である。

「すべての実数 $x, y, z$ に対して成り立つ」という条件が与えられた場合、まずは条件を満たすような扱いやすい具体的な数値を代入してみるのが基本の手法である。

(1) では、$\vec{a}, \vec{b}, \vec{c}$ の長さだけを取り出すため、残りの2変数が $0$ となるような $(x, y, z)$ の組をそれぞれ見つけて代入する。

(2) では、ベクトルの大きさの2乗を展開し、(1) で求めた長さを代入して整理した式に対して、今度は内積だけが残るように都合の良い数値を代入していく。

解法1

与えられた条件より、$x^2+2y^2+3z^2=1 \cdots$ ① を満たすどのような実数 $x, y, z$ に対しても、

$$ |x\vec{a}+y\vec{b}+z\vec{c}| = 1 $$

すなわち

$$ |x\vec{a}+y\vec{b}+z\vec{c}|^2 = 1 \cdots \text{②} $$

が成り立つ。

(1)

$(x, y, z) = (1, 0, 0)$ は①を満たす。これを②に代入すると、

$$ |1\cdot\vec{a}+0\cdot\vec{b}+0\cdot\vec{c}|^2 = 1 $$

$$ |\vec{a}|^2 = 1 $$

$|\vec{a}| \geqq 0$ であるから、

$$ |\vec{a}| = 1 $$

$(x, y, z) = \left(0, \frac{1}{\sqrt{2}}, 0\right)$ は①を満たす。これを②に代入すると、

$$ \left|\frac{1}{\sqrt{2}}\vec{b}\right|^2 = 1 $$

$$ \frac{1}{2}|\vec{b}|^2 = 1 $$

$$ |\vec{b}|^2 = 2 $$

$|\vec{b}| \geqq 0$ であるから、

$$ |\vec{b}| = \sqrt{2} $$

$(x, y, z) = \left(0, 0, \frac{1}{\sqrt{3}}\right)$ は①を満たす。これを②に代入すると、

$$ \left|\frac{1}{\sqrt{3}}\vec{c}\right|^2 = 1 $$

$$ \frac{1}{3}|\vec{c}|^2 = 1 $$

$$ |\vec{c}|^2 = 3 $$

$|\vec{c}| \geqq 0$ であるから、

$$ |\vec{c}| = \sqrt{3} $$

(2)

②の左辺を展開すると、内積を $\vec{a}\cdot\vec{b}$ のように表して、

$$ x^2|\vec{a}|^2 + y^2|\vec{b}|^2 + z^2|\vec{c}|^2 + 2xy(\vec{a}\cdot\vec{b}) + 2yz(\vec{b}\cdot\vec{c}) + 2zx(\vec{c}\cdot\vec{a}) = 1 $$

(1) の結果より、$|\vec{a}|^2=1, |\vec{b}|^2=2, |\vec{c}|^2=3$ であるから、

$$ x^2 + 2y^2 + 3z^2 + 2xy(\vec{a}\cdot\vec{b}) + 2yz(\vec{b}\cdot\vec{c}) + 2zx(\vec{c}\cdot\vec{a}) = 1 $$

①より $x^2+2y^2+3z^2 = 1$ であるから、これを代入して整理すると、

$$ 1 + 2xy(\vec{a}\cdot\vec{b}) + 2yz(\vec{b}\cdot\vec{c}) + 2zx(\vec{c}\cdot\vec{a}) = 1 $$

$$ 2xy(\vec{a}\cdot\vec{b}) + 2yz(\vec{b}\cdot\vec{c}) + 2zx(\vec{c}\cdot\vec{a}) = 0 \cdots \text{③} $$

この式③は、①を満たすどのような実数 $x, y, z$ に対しても成り立つ。

$(x, y, z) = \left(\frac{1}{\sqrt{2}}, \frac{1}{2}, 0\right)$ とすると、

$$ \left(\frac{1}{\sqrt{2}}\right)^2 + 2\left(\frac{1}{2}\right)^2 + 3\cdot 0^2 = \frac{1}{2} + \frac{1}{2} = 1 $$

となり①を満たす。これを③に代入すると、

$$ 2 \cdot \frac{1}{\sqrt{2}} \cdot \frac{1}{2} (\vec{a}\cdot\vec{b}) + 0 + 0 = 0 $$

$$ \frac{1}{\sqrt{2}}(\vec{a}\cdot\vec{b}) = 0 $$

よって、

$$ \vec{a}\cdot\vec{b} = 0 $$

$(x, y, z) = \left(0, \frac{1}{2}, \frac{1}{\sqrt{6}}\right)$ とすると、

$$ 0^2 + 2\left(\frac{1}{2}\right)^2 + 3\left(\frac{1}{\sqrt{6}}\right)^2 = \frac{1}{2} + \frac{1}{2} = 1 $$

となり①を満たす。これを③に代入すると、

$$ 0 + 2 \cdot \frac{1}{2} \cdot \frac{1}{\sqrt{6}} (\vec{b}\cdot\vec{c}) + 0 = 0 $$

$$ \frac{1}{\sqrt{6}}(\vec{b}\cdot\vec{c}) = 0 $$

よって、

$$ \vec{b}\cdot\vec{c} = 0 $$

$(x, y, z) = \left(\frac{1}{\sqrt{2}}, 0, \frac{1}{\sqrt{6}}\right)$ とすると、

$$ \left(\frac{1}{\sqrt{2}}\right)^2 + 2\cdot 0^2 + 3\left(\frac{1}{\sqrt{6}}\right)^2 = \frac{1}{2} + \frac{1}{2} = 1 $$

となり①を満たす。これを③に代入すると、

$$ 0 + 0 + 2 \cdot \frac{1}{\sqrt{6}} \cdot \frac{1}{\sqrt{2}} (\vec{c}\cdot\vec{a}) = 0 $$

$$ \frac{1}{\sqrt{3}}(\vec{c}\cdot\vec{a}) = 0 $$

よって、

$$ \vec{c}\cdot\vec{a} = 0 $$

以上より、求める内積はすべて $0$ である。

解説

「任意の~について成り立つ」や「つねに~である」といった条件を含む問題(恒等式の問題)の典型的な処理を問う問題である。

このような問題では、

  1. 特定の数値を代入して必要条件として答えを絞り込む
  2. 係数比較などで十分条件を示す という流れを踏むことが多いが、本問は「すべての~」を満たす条件が方程式 $x^2+2y^2+3z^2=1$ に縛られているため、各項の係数比較を直接行うのがやや難しい。そのため、解答のように条件を満たす都合の良い $(x, y, z)$ の組を自分で見つけて代入していく手法(数値代入法)が最も手っ取り早く確実である。

代入する値を見つける際は、計算が楽になるように「なるべく $0$ を多く含む組」を選ぶのがコツである。

答え

(1)

$$ |\vec{a}| = 1, \quad |\vec{b}| = \sqrt{2}, \quad |\vec{c}| = \sqrt{3} $$

(2)

$$ (\vec{a}, \vec{b}) = 0, \quad (\vec{a}, \vec{c}) = 0, \quad (\vec{b}, \vec{c}) = 0 $$

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