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東京工業大学 1977年 理系 第4問 解説

数学2/指数対数数学3/微分法テーマ/不等式の証明テーマ/最大・最小
東京工業大学 1977年 理系 第4問 解説

方針・初手

指数が異なる累乗の大小比較であるため、各式の自然対数をとり、実数 $t$ を変数とする関数 $f(t) = t \log\left(1+\frac{x}{t^2}\right)$ とみなして微分法により増減を調べる。

解法1

自然対数を底とする対数関数を考える。 与えられた2式の対数をとったものを、実数 $t \geqq 1$ を変数とする関数 $f(t)$ として次のように定める。

$$ f(t) = t \log \left( 1 + \frac{x}{t^2} \right) $$

$t$ について微分すると、積の微分公式および合成関数の微分公式より、

$$ \begin{aligned} f'(t) &= 1 \cdot \log \left( 1 + \frac{x}{t^2} \right) + t \cdot \frac{1}{1 + \frac{x}{t^2}} \cdot \left( - \frac{2x}{t^3} \right) \\ &= \log \left( 1 + \frac{x}{t^2} \right) - \frac{2x}{t^2 + x} \end{aligned} $$

となる。ここで、$s = \frac{x}{t^2}$ とおく。 問題の条件 $0 < x < 1$ および $t \geqq 1$ より、$0 < s < 1$ である。 $f'(t)$ を $s$ を用いて表した関数を $g(s)$ とすると、次のように表される。

$$ g(s) = \log(1+s) - \frac{2s}{1+s} $$

$g(s)$ の増減を調べるために $s$ について微分すると、商の微分公式より、

$$ \begin{aligned} g'(s) &= \frac{1}{1+s} - \frac{2(1+s) - 2s \cdot 1}{(1+s)^2} \\ &= \frac{1}{1+s} - \frac{2}{(1+s)^2} \\ &= \frac{s-1}{(1+s)^2} \end{aligned} $$

$0 < s < 1$ の範囲において、$(1+s)^2 > 0$ かつ $s-1 < 0$ であるから、$g'(s) < 0$ となる。 したがって、$g(s)$ は $0 \leqq s < 1$ において単調に減少する。 $g(0) = \log 1 - 0 = 0$ であるから、$0 < s < 1$ において $g(s) < 0$ であることがわかる。

これより、$t \geqq 1$ の範囲でつねに $f'(t) < 0$ となるため、関数 $f(t)$ は $t \geqq 1$ において単調に減少する。

$m, n$ は正の整数であり $m < n$ であるから、$1 \leqq m < n$ が成り立つ。 $f(t)$ の単調減少性より、次の不等式が得られる。

$$ f(m) > f(n) $$

すなわち、

$$ m \log \left( 1 + \frac{x}{m^2} \right) > n \log \left( 1 + \frac{x}{n^2} \right) $$

対数の性質を用いて変形すると、

$$ \log \left( 1 + \frac{x}{m^2} \right)^m > \log \left( 1 + \frac{x}{n^2} \right)^n $$

自然対数の底 $e$ は $e > 1$ であり、対数関数 $\log x$ は単調増加関数であるから、真数の大小関係はそのまま保たれる。 したがって、以下の大小関係が得られる。

$$ \left( 1 + \frac{x}{m^2} \right)^m > \left( 1 + \frac{x}{n^2} \right)^n $$

解説

指数の異なる累乗の大小比較において、対数をとって実数変数の関数とし、微分により単調性を調べる手法は数学IIIにおける定石である。 本問では、1階微分 $f'(t)$ を求めただけでは正負の判定が難しいため、煩雑な式の一部を $s = \frac{x}{t^2}$ と置き換えて別の関数 $g(s)$ とし、さらに微分して増減を調べるという二段構えの判定が必要となる。 この際、問題文で与えられた $0 < x < 1$ という条件が $0 < s < 1$ を導き、$g'(s) < 0$ を確定させるための重要な役割を果たしている点に注意したい。

答え

$$ \left( 1 + \frac{x}{m^2} \right)^m > \left( 1 + \frac{x}{n^2} \right)^n $$

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