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東京工業大学 1979年 理系 第2問 解説

数学2/三角関数数学2/微分法数学1/方程式不等式テーマ/最大・最小テーマ/整式の証明
東京工業大学 1979年 理系 第2問 解説

方針・初手

$t = \sin x$ とおくことで、三角関数の問題を $t$ の3次関数の最大値問題に帰着させる。

与えられた関数 $f(x)$ に $\cos^2 x = 1 - \sin^2 x$ を代入し、$t$ の関数 $g(t)$ として表す。$x$ はすべての実数をとるので、$t$ の定義域は $-1 \le t \le 1$ となる。 常に $g(1) = 1$ となることに着目し、区間 $[-1, 1]$ における $g(t)$ の最大値が $1$ となる条件を、導関数 $g'(t)$ を用いた増減から $a$ の値で場合分けして調べる。

解法1

$t = \sin x$ とおく。$x$ が実数全体を動くとき、$t$ のとり得る値の範囲は

$$ -1 \le t \le 1 $$

である。与えられた関数を $t$ の関数 $g(t)$ とすると、$\cos^2 x = 1 - t^2$ より

$$ g(t) = \left\{ 1 - \frac{a}{2}(1 - t^2) \right\} t = \frac{a}{2}t^3 + \left( 1 - \frac{a}{2} \right) t $$

となる。ここで、$g(1) = \frac{a}{2} + 1 - \frac{a}{2} = 1$ であるから、$g(t)$ は $t=1$ のとき常に $1$ をとる。 したがって、$g(t)$ の最大値が $1$ となるための条件は、区間 $-1 \le t \le 1$ において $g(t) \le 1$ が成り立つことである。

$g(t)$ を $t$ で微分すると

$$ g'(t) = \frac{3a}{2}t^2 + 1 - \frac{a}{2} $$

となる。$a$ の値によって場合分けを行う。

(i) $a = 0$ のとき

$$ g(t) = t $$

となり、$-1 \le t \le 1$ において $g(t)$ は単調に増加する。最大値は $g(1) = 1$ となり、条件を満たす。

(ii) $a > 0$ のとき

$$ g'(t) = \frac{3a}{2} \left( t^2 - \frac{a-2}{3a} \right) $$

(ア) $0 < a \le 2$ のとき $\frac{a-2}{3a} \le 0$ であるから、すべての $t$ に対して $g'(t) \ge 0$ となる。 よって $g(t)$ は単調に増加し、$-1 \le t \le 1$ における最大値は $g(1) = 1$ となる。これは条件を満たす。

(イ) $a > 2$ のとき $0 < \frac{a-2}{3a} < \frac{1}{3} < 1$ である。 $\alpha = \sqrt{\frac{a-2}{3a}}$ とおくと、$0 < \alpha < 1$ であり、$g'(t) = \frac{3a}{2}(t+\alpha)(t-\alpha)$ と因数分解できる。 $-1 \le t \le 1$ における $g(t)$ の増減表は以下のようになる。

$t$ $-1$ $\cdots$ $-\alpha$ $\cdots$ $\alpha$ $\cdots$ $1$
$g'(t)$ $+$ $0$ $-$ $0$ $+$
$g(t)$ $\nearrow$ 極大 $\searrow$ 極小 $\nearrow$ $1$

最大値が $1$ となるためには、極大値 $g(-\alpha)$ が $1$ 以下であればよい。 ここで極大値を計算する。$\alpha^2 = \frac{a-2}{3a}$ より

$$ \begin{aligned} g(-\alpha) &= -\frac{a}{2}\alpha^3 - \left( 1 - \frac{a}{2} \right)\alpha \\ &= -\alpha \left( \frac{a}{2}\alpha^2 + 1 - \frac{a}{2} \right) \\ &= -\alpha \left( \frac{a}{2} \cdot \frac{a-2}{3a} + 1 - \frac{a}{2} \right) \\ &= -\alpha \left( \frac{a-2}{6} + \frac{2-a}{2} \right) \\ &= -\alpha \cdot \frac{a-2+6-3a}{6} \\ &= -\alpha \cdot \frac{4-2a}{6} = \frac{a-2}{3}\alpha \end{aligned} $$

よって、$g(-\alpha) \le 1$ となる条件は

$$ \frac{a-2}{3}\sqrt{\frac{a-2}{3a}} \le 1 $$

$a > 2$ より両辺は正であるから、両辺を2乗して

$$ \frac{(a-2)^3}{9} \cdot \frac{1}{3a} \le 1 $$

$27a > 0$ であるから、両辺に $27a$ を掛けて整理する。

$$ \begin{aligned} (a-2)^3 &\le 27a \\ a^3 - 6a^2 + 12a - 8 - 27a &\le 0 \\ a^3 - 6a^2 - 15a - 8 &\le 0 \\ (a+1)^2(a-8) &\le 0 \end{aligned} $$

$a > 2$ の条件下では $(a+1)^2 > 0$ であるため、$a-8 \le 0$ すなわち $a \le 8$ となる。 したがって、この場合の $a$ の範囲は $2 < a \le 8$ である。

(iii) $a < 0$ のとき

$$ g'(t) = \frac{3a}{2} \left( t^2 - \frac{a-2}{3a} \right) $$

$a-2 < 0$ かつ $3a < 0$ より $\frac{a-2}{3a} > 0$ である。 $\beta = \sqrt{\frac{a-2}{3a}}$ とおくと、$\beta > 0$ であり $g'(t) = \frac{3a}{2}(t+\beta)(t-\beta)$ となる。 $a < 0$ より $t^2$ の係数が負であるため、$g(t)$ は $t = \beta$ で極大となる。

ここで、$\beta$ と $1$ の大小関係を調べる。

$$ \beta^2 - 1 = \frac{a-2}{3a} - 1 = \frac{a-2-3a}{3a} = \frac{-2a-2}{3a} $$

(ウ) $-1 \le a < 0$ のとき $-2a-2 \ge 0$ かつ $3a < 0$ より $\beta^2 - 1 \le 0$ すなわち $\beta \ge 1$ となる。 区間 $-1 \le t \le 1$ において $t^2 \le 1 \le \beta^2$ となるため、$t^2 - \beta^2 \le 0$ である。 $a < 0$ と合わせると $g'(t) \ge 0$ となり、$g(t)$ は単調に増加する。 したがって最大値は $g(1) = 1$ となり、条件を満たす。

(エ) $a < -1$ のとき $-2a-2 < 0$ かつ $3a < 0$ より $\beta^2 - 1 > 0$ すなわち $0 < \beta < 1$ となる。 このとき、$-1 \le t \le 1$ における増減表は以下のようになる。

$t$ $-1$ $\cdots$ $-\beta$ $\cdots$ $\beta$ $\cdots$ $1$
$g'(t)$ $-$ $0$ $+$ $0$ $-$
$g(t)$ $\searrow$ 極小 $\nearrow$ 極大 $\searrow$ $1$

最大値が $1$ となるためには、極大値 $g(\beta)$ が $1$ 以下であればよい。 先ほどの $\alpha$ の計算と同様にして

$$ g(\beta) = \frac{2-a}{3}\beta = \frac{2-a}{3}\sqrt{\frac{a-2}{3a}} $$

となる。$a < -1$ より $\frac{2-a}{3} > 0$ であるから、$g(\beta) \le 1$ の両辺を2乗して

$$ \frac{(2-a)^2}{9} \cdot \frac{a-2}{3a} \le 1 $$

$$ \frac{-(a-2)^3}{27a} \le 1 $$

ここで $a < -1$ より $27a < 0$ であるから、両辺に $27a$ を掛けると不等号の向きが変わり

$$ \begin{aligned} -(a-2)^3 &\ge 27a \\ -(a^3 - 6a^2 + 12a - 8) - 27a &\ge 0 \\ -a^3 + 6a^2 - 39a + 8 &\ge 0 \\ (a-2)^3 + 27a &\le 0 \\ a^3 - 6a^2 + 15a - 8 &\le 0 \end{aligned} $$

いや、式変形を戻す。両辺に $27a$ (負) を掛けるので

$$ -(a-2)^3 \ge 27a $$

$$ (a-2)^3 \le -27a $$

$$ a^3 - 6a^2 + 12a - 8 + 27a \le 0 $$

$$ a^3 - 6a^2 + 39a - 8 \le 0 $$

ではなく、符号に注意して再度計算する。

$$ \frac{(2-a)^2 (a-2)}{27a} \le 1 $$

$$ \frac{(a-2)^3}{27a} \le 1 $$

両辺に $27a\ (<0)$ を掛けると

$$ (a-2)^3 \ge 27a $$

$$ a^3 - 6a^2 - 15a - 8 \ge 0 $$

$$ (a+1)^2(a-8) \ge 0 $$

$a < -1$ の条件下では $(a+1)^2 > 0$ であり、$a-8 < -9 < 0$ である。 したがって $(a+1)^2(a-8) < 0$ となり、条件を満たす実数 $a$ は存在しない。

以上、(i)、(ii)、(iii) の結果を合わせると、求める $a$ の範囲は

$$ -1 \le a \le 8 $$

となる。

解説

三角関数の最大・最小問題において、$t = \sin x$ または $t = \cos x$ と置き換えて多項式の問題に帰着させる典型的な手法である。 本問の最大のポイントは、$t=1$ のとき $g(1) = 1$ となり、$a$ の値によらず定点を通ることである。これにより「最大値が 1」という条件は「$-1 \le t \le 1$ の範囲で常に $g(t) \le 1$」と言い換えることができる。 3次関数の微分において、導関数の符号変化(極値の有無と位置)が $a$ の値によってどのように変わるかを丁寧に場合分けして調べる力が問われている。特に $a<0$ において、極値をとる $t$ の値が定義域に含まれるかどうかの境界が $a=-1$ になることを見落とさないようにしたい。また、不等式を解く際の負の値($27a$ など)の掛け算による不等号の反転にも注意が必要である。

答え

$$ -1 \le a \le 8 $$

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