東京工業大学 1986年 理系 第4問 解説

方針・初手
放物線の頂点の座標を曲線の式に代入することで、未知数 $q$ を $p$ で表し、2曲線の式から $y$ を消去した方程式を作る。 この方程式は頂点の $x$ 座標である $x = p$ を必ず解に持つため、因数分解により3次方程式を1次式と2次式の積に分解できる。 「相異なる共有点の個数が2」という条件から、この方程式が重解を持つ条件を考え、$p$ の値を決定する。その後、2曲線の上下関係を調べて定積分により面積を求める。
解法1
放物線 $y = -(x - p)^2 + q$ の頂点 $(p, q)$ が曲線 $y = x(x^2 - 3)$ 上にあるので、
$$ q = p(p^2 - 3) $$
が成り立つ。これを放物線の式に代入すると、
$$ y = -(x - p)^2 + p(p^2 - 3) $$
となる。
この放物線と曲線 $y = x(x^2 - 3)$ の共有点の $x$ 座標は、方程式
$$ x(x^2 - 3) = -(x - p)^2 + p(p^2 - 3) $$
の実数解である。展開して整理すると、
$$ x^3 - 3x = -x^2 + 2px - p^2 + p^3 - 3p $$
$$ x^3 + x^2 - (2p + 3)x - p^3 + p^2 + 3p = 0 $$
頂点が共有点の1つであることから、この方程式は $x = p$ を解に持つ。 因数定理を用いて左辺を $x - p$ で因数分解すると、
$$ (x - p)\{x^2 + (p + 1)x + p^2 - p - 3\} = 0 $$
となる。 2曲線が互いに相異なる2つの共有点を持つのは、この3次方程式が相異なる2つの実数解を持つときである。 それには、2次方程式 $x^2 + (p + 1)x + p^2 - p - 3 = 0 \cdots (*)$ について、次のいずれかが成り立つ必要がある。
(i)
$(*)$ が $x = p$ とは異なる重解を持つ場合
$(*)$ の判別式を $D$ とすると、$D = 0$ となればよい。
$$ D = (p + 1)^2 - 4(p^2 - p - 3) = -3p^2 + 6p + 13 = 0 $$
これを解くと、
$$ p = \frac{-3 \pm \sqrt{9 - (-3) \cdot 13}}{-3} = \frac{-3 \pm \sqrt{48}}{-3} = 1 \pm \frac{4\sqrt{3}}{3} $$
条件より $0 < p < 2$ であるが、$\frac{4\sqrt{3}}{3} = \frac{\sqrt{48}}{3} > \frac{6}{3} = 2$ であるから、
$$ 1 + \frac{4\sqrt{3}}{3} > 3, \quad 1 - \frac{4\sqrt{3}}{3} < -1 $$
となり、いずれの解も $0 < p < 2$ を満たさない。
(ii)
$(*)$ が $x = p$ を解に持つ場合
$x = p$ を $(*)$ に代入して、
$$ p^2 + p(p + 1) + p^2 - p - 3 = 0 $$
$$ 3p^2 - 3 = 0 $$
$$ p^2 = 1 $$
$0 < p < 2$ より、$p = 1$ である。 このとき、方程式 $(*)$ は $x^2 + 2x - 3 = 0$ となり、$(x - 1)(x + 3) = 0$ より $x = 1, -3$ を解に持つ。 したがって、元の3次方程式の解は $x = 1$(重解)と $x = -3$ となり、たしかに相異なる実数解は2個となる。
よって、$p = 1$ である。 このとき、$q = 1 \cdot (1^2 - 3) = -2$ となり、2曲線の式はそれぞれ
$$ y = -(x - 1)^2 - 2 = -x^2 + 2x - 3 \quad \cdots ① $$
$$ y = x(x^2 - 3) = x^3 - 3x \quad \cdots ② $$
となる。また、2曲線の共有点の $x$ 座標は $x = -3, 1$ である。
$-3 \le x \le 1$ における2曲線の上下関係を調べる。
$$ (x^3 - 3x) - (-x^2 + 2x - 3) = x^3 + x^2 - 5x + 3 = (x - 1)^2(x + 3) $$
$-3 \le x \le 1$ の範囲において、$(x - 1)^2 \ge 0$ かつ $x + 3 \ge 0$ であるから、
$$ (x - 1)^2(x + 3) \ge 0 $$
すなわち、曲線 ② が放物線 ① の上側(または接して一致)にある。
求める面積 $S$ は、
$$ S = \int_{-3}^{1} \{(x^3 - 3x) - (-x^2 + 2x - 3)\} dx $$
$$ S = \int_{-3}^{1} (x - 1)^2(x + 3) dx $$
ここで、$x + 3 = (x - 1) + 4$ と変形して計算すると、
$$ S = \int_{-3}^{1} (x - 1)^2 \{ (x - 1) + 4 \} dx $$
$$ S = \int_{-3}^{1} \{ (x - 1)^3 + 4(x - 1)^2 \} dx $$
$$ S = \left[ \frac{1}{4}(x - 1)^4 + \frac{4}{3}(x - 1)^3 \right]_{-3}^{1} $$
$$ S = 0 - \left\{ \frac{1}{4}(-4)^4 + \frac{4}{3}(-4)^3 \right\} $$
$$ S = -\left( 64 - \frac{256}{3} \right) = \frac{64}{3} $$
解説
2曲線の交点を求めるための3次方程式において、あらかじめ $x = p$ が解であることが分かっているため、因数定理を用いてスムーズに次数下げを行うことができる。 3次方程式が重解を持つ条件の処理では、場合分けを適切に行い、問題の指定した範囲に合致する解を吟味することが重要である。 面積の定積分計算においては、被積分関数 $(x - 1)^2(x + 3)$ をそのまま展開してもよいが、$(x - 1)$ の塊を作るように変形することで、下端代入時の計算量を減らし、計算ミスを防ぐテクニックが有効である。
答え
$$ \frac{64}{3} $$
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