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東京工業大学 1995年 理系 第3問 解説

数学2/指数対数数学2/微分法数学3/極限数学C/式と曲線テーマ/軌跡・領域
東京工業大学 1995年 理系 第3問 解説

方針・初手

(1) は微分して導関数の符号を調べる標準的な関数描画の問題である。導関数 $=0$ の方程式を直接解くことができないため、第2次導関数まで計算し、第1次導関数が単調増加であることを示すことで極値がただ1つ存在することを論証する。 (2) は連立方程式から交点の $x$ 座標を求め、それが (1) の関数 $f(x) = 0$ の解となることを利用する。交点 $x_n$ の満たす関係式から $\frac{x_n}{n}$ の式を導出し、$n \to \infty$ における $x_n$ の極限を評価することで求める極限を計算する。

解法1

(1)

与えられた関数 $f(x)$ について、第1次導関数および第2次導関数を求める。

$$ f(x) = \frac{x^2}{n^2} + e^{2x} - 1 $$

$$ f'(x) = \frac{2x}{n^2} + 2e^{2x} $$

$$ f''(x) = \frac{2}{n^2} + 4e^{2x} $$

すべての実数 $x$ において $f''(x) > 0$ であるため、$f'(x)$ は実数全体で単調に増加する。 また、極限を調べると以下のようになる。

$$ \lim_{x \to \infty} f'(x) = \infty, \quad \lim_{x \to -\infty} f'(x) = -\infty $$

したがって、中間値の定理より $f'(\alpha) = 0$ を満たす実数 $\alpha$ がただ1つ存在する。 ここで、$f'(0) = 2 > 0$ であり、$f'(x)$ は単調増加であるから、$\alpha < 0$ である。

これより、$f(x)$ の増減表は次のようになる。

$x$ $\cdots$ $\alpha$ $\cdots$ $0$ $\cdots$
$f'(x)$ $-$ $0$ $+$ $+$ $+$
$f(x)$ $\searrow$ 極小 $\nearrow$ $0$ $\nearrow$

$x \to \infty$ および $x \to -\infty$ のときの $f(x)$ の極限はともに $\infty$ である。

$$ \lim_{x \to \infty} f(x) = \infty, \quad \lim_{x \to -\infty} f(x) = \infty $$

$f(0) = 0$ であり、$\alpha < 0$ において極小かつ最小となるため、最小値 $f(\alpha)$ は負の値をとる。グラフは下に凸であり、$x$ 軸とは原点 $(0,0)$ および $x < 0$ の範囲にある1点の合計2点で交わる。

(2)

楕円 $\frac{x^2}{n^2} + n^2 y^2 = 1$ と曲線 $y = \frac{1}{n} e^x$ の交点の $x$ 座標は、これらを連立させた方程式の解である。 $y = \frac{1}{n} e^x$ を楕円の方程式に代入する。

$$ \frac{x^2}{n^2} + n^2 \left( \frac{1}{n} e^x \right)^2 = 1 $$

$$ \frac{x^2}{n^2} + e^{2x} - 1 = 0 $$

この方程式は $f(x) = 0$ と等しい。 (1) で調べたグラフの概形から、$f(x) = 0$ を満たす実数 $x$ は $0$ ともう1つの負の実数の計2つ存在する。 題意より $x_n \neq 0$ であるため、$x_n$ はこの方程式の負の解である。すなわち $x_n < 0$ であり、次が成り立つ。

$$ \frac{x_n^2}{n^2} + e^{2x_n} - 1 = 0 $$

$$ \frac{x_n^2}{n^2} = 1 - e^{2x_n} $$

$x_n < 0$ より、両辺の平方根をとって負の符号を選ぶと以下のようになる。

$$ \frac{x_n}{n} = -\sqrt{1 - e^{2x_n}} $$

次に、$n \to \infty$ のときの $x_n$ の極限を調べる。 $x_n$ は $f(x) = 0$ の負の解であり、(1) のグラフより、$f(x)$ は $x < x_n$ の範囲で $f(x) > 0$、$x_n < x < 0$ の範囲で $f(x) < 0$ を満たす。 ここで $x = -\sqrt{n}$ における $f(x)$ の値の極限を考える。

$$ f(-\sqrt{n}) = \frac{(-\sqrt{n})^2}{n^2} + e^{-2\sqrt{n}} - 1 = \frac{1}{n} + e^{-2\sqrt{n}} - 1 $$

$n \to \infty$ のとき $\frac{1}{n} \to 0$ かつ $e^{-2\sqrt{n}} \to 0$ であるため、次が成り立つ。

$$ \lim_{n \to \infty} f(-\sqrt{n}) = -1 $$

極限値が負であることから、十分大きな自然数 $n$ において $f(-\sqrt{n}) < 0$ となる。 $f(-\sqrt{n}) < 0$ であり、$f(x_n) = 0$ であることと、$f(x)$ の符号変化(負の領域では $x_n$ より右側で負)を合わせると、$x_n < -\sqrt{n}$ が成り立つことがわかる。 $n \to \infty$ のとき $-\sqrt{n} \to -\infty$ であるから、はさみうちの原理より次が成り立つ。

$$ \lim_{n \to \infty} x_n = -\infty $$

これにより $\lim_{n \to \infty} e^{2x_n} = 0$ となるため、求める極限は以下のように計算できる。

$$ \lim_{n \to \infty} \frac{x_n}{n} = \lim_{n \to \infty} \left( -\sqrt{1 - e^{2x_n}} \right) = -\sqrt{1 - 0} = -1 $$

解説

(1) は関数のグラフを描く典型的な問題である。導関数 $f'(x) = 0$ を解くことができないため、第2次導関数まで求めて $f'(x)$ の単調性を利用し、極値の存在を示すのが定石である。 (2) は方程式の解を数列として扱い、その極限を求める問題である。$x_n$ の満たす方程式から $\frac{x_n}{n}$ を $e^{2x_n}$ の式で表すことが第一歩となる。その後、$x_n \to -\infty$ を厳密に示す必要がある。単に $n \to \infty$ としたときに $x_n$ が定数に収束しないことを示すだけでなく、$-\sqrt{n}$ や $-\log n$ のような $-\infty$ に発散する数列と比較して上限を評価する論法が有効である。

答え

(1) $f'(\alpha)=0$ を満たす負の実数 $\alpha$ において極小かつ最小となる。グラフ全体は下に凸であり、原点 $(0,0)$ と $x < 0$ の領域の点の合計2点で $x$ 軸と交わり、両側で $\infty$ に発散する概形となる。

(2) 題意の通り $\lim_{n \to \infty} \frac{x_n}{n} = -1$ であることが示された。

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