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東京工業大学 1999年 理系 第4問 解説

数学3/積分法数学B/数列数学2/指数対数テーマ/漸化式テーマ/整式の証明
東京工業大学 1999年 理系 第4問 解説

方針・初手

与えられた等式の左辺第1項にある定積分 $\int_0^1 t^{2n-1} e^t dt$ について考える。$t$ の多項式と $e^t$ の積の積分であるため、部分積分を繰り返すことで次数を下げる方針をとる。一般の自然数 $m$ について $I_m = \int_0^1 t^m e^t dt$ とおき、漸化式を立てて一般項を求める。得られた式を変形し、問題文で与えられたシグマを含む項と一致することを示す。

解法1

$m$ を自然数とし、積分 $I_m$ を次のように定める。

$$ I_m = \int_0^1 t^m e^t dt $$

部分積分法を用いると、

$$ \begin{aligned} I_m &= \left[ t^m e^t \right]_0^1 - \int_0^1 m t^{m-1} e^t dt \\ &= e - m I_{m-1} \end{aligned} $$

という漸化式が得られる。この式の両辺を $m!$ で割ると、

$$ \frac{I_m}{m!} = \frac{e}{m!} - \frac{I_{m-1}}{(m-1)!} $$

$$ \frac{I_m}{m!} + \frac{I_{m-1}}{(m-1)!} = \frac{e}{m!} $$

両辺に $(-1)^m$ を掛けて、差分の形に変形する。

$$ (-1)^m \frac{I_m}{m!} - (-1)^{m-1} \frac{I_{m-1}}{(m-1)!} = (-1)^m \frac{e}{m!} $$

$n \ge 2$ より $2n-1 \ge 3$ である。この等式について、$m=1, 2, \cdots, 2n-1$ まで足し合わせると、左辺は途中の中間項が相殺されて、

$$ \sum_{m=1}^{2n-1} \left( (-1)^m \frac{I_m}{m!} - (-1)^{m-1} \frac{I_{m-1}}{(m-1)!} \right) = (-1)^{2n-1} \frac{I_{2n-1}}{(2n-1)!} - (-1)^0 \frac{I_0}{0!} $$

ここで、$(-1)^{2n-1} = -1$ であることと、$I_0$ を計算すると

$$ I_0 = \int_0^1 e^t dt = \left[ e^t \right]_0^1 = e - 1 $$

となることから、左辺は

$$ -\frac{I_{2n-1}}{(2n-1)!} - (e - 1) $$

となる。したがって、和の等式は以下のようになる。

$$ -\frac{I_{2n-1}}{(2n-1)!} - e + 1 = \sum_{m=1}^{2n-1} (-1)^m \frac{e}{m!} $$

整理すると、

$$ \begin{aligned} \frac{I_{2n-1}}{(2n-1)!} &= 1 - e - e \sum_{m=1}^{2n-1} \frac{(-1)^m}{m!} \\ &= 1 - e \left( \frac{(-1)^0}{0!} + \sum_{m=1}^{2n-1} \frac{(-1)^m}{m!} \right) \\ &= 1 - e \sum_{m=0}^{2n-1} \frac{(-1)^m}{m!} \end{aligned} $$

両辺に $(2n-1)!$ を掛けて、$I_{2n-1}$ について解く。

$$ I_{2n-1} = (2n-1)! - e \sum_{m=0}^{2n-1} \frac{(-1)^m (2n-1)!}{m!} $$

次に、右辺のシグマの部分の和を $S$ とおき、これを評価する。

$$ S = \sum_{m=0}^{2n-1} \frac{(-1)^m (2n-1)!}{m!} $$

$m$ は $0$ から $2n-1$ までの $2n$ 個の整数をとるため、$m = 2k$ (偶数) と $m = 2k+1$ (奇数) のペアに分けて和を計算する。このとき、$k$ は $0$ から $n-1$ まで動く。

$$ S = \sum_{k=0}^{n-1} \left( \frac{(2n-1)!}{(2k)!} - \frac{(2n-1)!}{(2k+1)!} \right) $$

$k=0$ のときの項は $\frac{(2n-1)!}{0!} - \frac{(2n-1)!}{1!} = (2n-1)! - (2n-1)! = 0$ であるため、和の範囲を $k=1$ から $n-1$ までとしてよい。

$$ S = \sum_{k=1}^{n-1} (2n-1)! \left( \frac{1}{(2k)!} - \frac{1}{(2k+1)!} \right) $$

括弧の中を通分して計算する。

$$ \begin{aligned} \frac{1}{(2k)!} - \frac{1}{(2k+1)!} &= \frac{2k+1}{(2k+1)!} - \frac{1}{(2k+1)!} \\ &= \frac{2k}{(2k+1)!} \\ &= \frac{2k}{(2k+1) \cdot 2k \cdot (2k-1)!} \\ &= \frac{1}{(2k+1)(2k-1)!} \end{aligned} $$

これを $S$ の式に代入する。

$$ S = \sum_{k=1}^{n-1} \frac{(2n-1)!}{(2k+1)(2k-1)!} $$

順列の定義式 ${}_n P_r = \frac{n!}{(n-r)!}$ より、

$$ {}_{2n-1}P_{2n-2k} = \frac{(2n-1)!}{(2n-1 - (2n-2k))!} = \frac{(2n-1)!}{(2k-1)!} $$

であるから、これを $S$ に適用する。

$$ S = \sum_{k=1}^{n-1} \frac{{}_{2n-1}P_{2n-2k}}{2k+1} $$

以上より、$I_{2n-1}$ の式は次のように書き換えられる。

$$ I_{2n-1} = (2n-1)! - e \sum_{k=1}^{n-1} \frac{{}_{2n-1}P_{2n-2k}}{2k+1} $$

移項して、

$$ I_{2n-1} + \left( \sum_{k=1}^{n-1} \frac{{}_{2n-1}P_{2n-2k}}{2k+1} \right) e = (2n-1)! $$

$I_{2n-1} = \int_0^1 t^{2n-1} e^t dt$ であるから、示したい等式が得られた。

解説

定積分 $\int x^m e^x dx$ を部分積分によって漸化式に帰着させる典型問題の応用である。漸化式 $I_m = e - mI_{m-1}$ の両辺を $m!$ で割り、$\frac{I_m}{m!}$ の階差数列の形を作り出す式変形は頻出の手法である。

この問題では、得られた和の式において隣り合う正負の項をペアにしてまとめる部分がやや技巧的である。計算過程で生じる $\frac{1}{(2k)!} - \frac{1}{(2k+1)!} = \frac{1}{(2k+1)(2k-1)!}$ という変形に気づけるかが鍵となる。また、最後に階乗を用いた式を順列記号 $_n P_r$ に正しく書き換える力も問われている。

答え

本文中の「解法1」にて、与えられた等式が成り立つことを示した。

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