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東京工業大学 2008年 理系 第1問 解説

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東京工業大学 2008年 理系 第1問 解説

方針・初手

2つの曲線のグラフが接するという条件から、接点の $x$ 座標を $s$ と置いたときに、接点での $y$ 座標が等しいことと、接線が一致する(微分係数が等しい)ことの2つの条件式を立てる。これらを連立させて接点の座標と定数 $b$ を求める。面積の計算においては、被積分関数である2つの曲線の上下関係を微分などを用いて調べ、部分積分を用いて定積分を計算したうえで最後に極限を取る。

解法1

(1)

関数 $f(x) = x^a$ および $g(x) = \log(bx)$ とおく。

それぞれの導関数は以下のようになる。

$$ f'(x) = a x^{a-1}, \quad g'(x) = \frac{1}{x} $$

2つの曲線のグラフは $x=s$ において接するため、$f(s) = g(s)$ かつ $f'(s) = g'(s)$ が成り立つ。すなわち、以下の2式が成り立つ。

$$ s^a = \log(bs) \quad \cdots ① $$

$$ a s^{a-1} = \frac{1}{s} \quad \cdots ② $$

$s > 0$ であるから、②の両辺に $s$ を掛けると $a s^a = 1$ となる。$a$ は正の実数であるから $a \neq 0$ であり、次のように変形できる。

$$ s^a = \frac{1}{a} $$

$$ s = \left(\frac{1}{a}\right)^{\frac{1}{a}} = a^{-\frac{1}{a}} $$

このとき、接点の $y$ 座標 $t$ は $t = f(s) = s^a = \frac{1}{a}$ である。

よって、接点の座標 $(s, t)$ は以下のようになる。

$$ (s, t) = \left( a^{-\frac{1}{a}}, \frac{1}{a} \right) $$

また、①に $s^a = \frac{1}{a}$ を代入すると、以下のようになる。

$$ \frac{1}{a} = \log(bs) $$

$$ bs = e^{\frac{1}{a}} $$

ここで $s = a^{-\frac{1}{a}}$ を用いて $b$ について解くと、以下のようになる。

$$ b = \frac{e^{\frac{1}{a}}}{s} = \frac{e^{\frac{1}{a}}}{a^{-\frac{1}{a}}} = a^{\frac{1}{a}} e^{\frac{1}{a}} = (ae)^{\frac{1}{a}} $$

(2)

$0 < x < s$ における2つの曲線の上下関係を調べる。差を $D(x) = x^a - \log(bx)$ とおくと、その導関数は以下のようになる。

$$ D'(x) = ax^{a-1} - \frac{1}{x} = \frac{a x^a - 1}{x} $$

(1)より $s^a = \frac{1}{a}$ であり、$a > 0$ であるから、$0 < x < s$ においては $x^a < s^a = \frac{1}{a}$ が成り立つ。したがって、$a x^a - 1 < 0$ となり、$D'(x) < 0$ である。

これにより、$D(x)$ は区間 $0 < x \leqq s$ で単調減少であると分かる。$x=s$ は接点であるため $D(s) = 0$ であり、これより $0 < x < s$ において常に $D(x) > 0$、すなわち $x^a > \log(bx)$ が成り立つ。

したがって、直線 $x=h$ ($0 < h < s$) および2つの曲線で囲まれる領域の面積 $A(h)$ は次のように立式できる。

$$ A(h) = \int_{h}^{s} (x^a - \log(bx)) dx $$

ここで、対数関数の不定積分 $\int \log(bx) dx = x\log(bx) - x + C$ ($C$ は積分定数)を用いると、定積分は以下のように計算できる。

$$ A(h) = \left[ \frac{x^{a+1}}{a+1} - x\log(bx) + x \right]_{h}^{s} $$

$$ A(h) = \left( \frac{s^{a+1}}{a+1} - s\log(bs) + s \right) - \left( \frac{h^{a+1}}{a+1} - h\log(bh) + h \right) $$

次に、$h \to 0$ ($h > 0$) のときの極限を考える。$a > 0$ であるから $\lim_{h \to 0} h^{a+1} = 0$ である。また、$\lim_{h \to 0} h\log h = 0$ であること(高校数学における既知の極限)を用いると、以下のようになる。

$$ \lim_{h \to 0} h\log(bh) = \lim_{h \to 0} h (\log b + \log h) = 0 $$

よって、$A(h)$ の極限は以下のようになる。

$$ \lim_{h \to 0} A(h) = \frac{s^{a+1}}{a+1} - s\log(bs) + s $$

(1)より $s^a = \frac{1}{a}$ および $\log(bs) = \frac{1}{a}$ であることを用い、文字 $s$ を残したまま式を整理する。

$$ \lim_{h \to 0} A(h) = \frac{1}{a+1} s \cdot s^a - s \cdot \frac{1}{a} + s $$

$$ \lim_{h \to 0} A(h) = \frac{1}{a+1} \cdot s \cdot \frac{1}{a} - \frac{s}{a} + s $$

$$ \lim_{h \to 0} A(h) = s \left( \frac{1}{a(a+1)} - \frac{1}{a} + 1 \right) $$

かっこの中を通分して計算する。

$$ \lim_{h \to 0} A(h) = s \left( \frac{1 - (a+1) + a(a+1)}{a(a+1)} \right) = s \frac{a^2}{a(a+1)} = \frac{a}{a+1} s $$

最後に $s = a^{-\frac{1}{a}}$ を代入して、求める極限を得る。

$$ \lim_{h \to 0} A(h) = \frac{a}{a+1} a^{-\frac{1}{a}} = \frac{a^{1 - \frac{1}{a}}}{a+1} $$

解説

関数のグラフが接するという条件から方程式を立てて未定定数を定める、微積分学の標準的な問題である。面積計算では、被積分関数である対数関数に部分積分を用いる。

計算を最後まで間違えずに遂行する工夫が重要になる。(2)の極限計算では、積分結果にそのまま $s$ と $b$ の複雑な式を代入するのではなく、$s^a = \frac{1}{a}$ などの関係式を利用して、まずは文字 $s$ と $a$ だけの簡潔な式に整理してから最後に代入を行うことで、計算の負担とミスを減らすことができる。また、$\lim_{h \to 0} h\log h = 0$ は自明なものとして扱ってよい。

答え

(1)

接点の座標: $\left( a^{-\frac{1}{a}}, \frac{1}{a} \right)$

$b = (ae)^{\frac{1}{a}}$

(2)

$\frac{a^{1 - \frac{1}{a}}}{a+1}$

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