九州大学 2008年 理系 第4問 解説

方針・初手
2曲線が点 $P$ を共有し、その点で共通の接線を持つという条件は、接点の $x$ 座標を $t$ とおいたとき、$f(t) = g(t)$ かつ $f'(t) = g'(t)$ が成り立つことと同値である。これを立式して $t$ と $a$ を求める。
(2) は差の関数 $F(x) = f(x) - g(x)$ を考え、導関数 $F'(x)$ の符号を調べることで単調性を示し、共有点が1つしかないことを証明する。
(3) は囲まれた領域の面積を求める。$y$ 軸方向での積分($y$ 積分)を利用すると、積分区間の分割が不要になり、関数の形も積分しやすくなるため計算量が抑えられる。
解法1
(1)
点 $P$ の $x$ 座標を $t$ とおく。$f(x)$ の定義域から $x > 0$、$g(x)$ の定義域から $x \geqq 1$ であり、微分係数 $g'(t)$ が存在するためには $t > 1$ である。
$f(x) = a + \log x$ より
$$ f'(x) = \frac{1}{x} $$
$g(x) = \sqrt{x-1}$ より
$$ g'(x) = \frac{1}{2\sqrt{x-1}} $$
2曲線が $x=t$ の点 $P$ を共有し、そこで共通の接線を持つための条件は
$$ \begin{cases} f(t) = g(t) \\ f'(t) = g'(t) \end{cases} $$
すなわち、以下の2式が成り立つことである。
$$ a + \log t = \sqrt{t-1} \quad \cdots \text{①} $$
$$ \frac{1}{t} = \frac{1}{2\sqrt{t-1}} \quad \cdots \text{②} $$
②の両辺は正であるから、逆数をとって
$$ t = 2\sqrt{t-1} $$
両辺を2乗して整理すると
$$ t^2 = 4(t-1) $$
$$ t^2 - 4t + 4 = 0 $$
$$ (t-2)^2 = 0 $$
よって $t = 2$ となり、これは $t > 1$ を満たす。これを①に代入して
$$ a + \log 2 = \sqrt{2-1} = 1 $$
$$ a = 1 - \log 2 $$
このとき、点 $P$ の座標は $(2, g(2))$ より $(2, 1)$ である。
また、共通の接線 $l$ の傾きは $f'(2) = \frac{1}{2}$ であるから、接線 $l$ の方程式は
$$ y - 1 = \frac{1}{2}(x - 2) $$
$$ y = \frac{1}{2}x $$
(2)
$F(x) = f(x) - g(x)$ とおく。($x \geqq 1$)
$$ F(x) = 1 - \log 2 + \log x - \sqrt{x-1} $$
これを微分すると、(1) より
$$ F'(x) = \frac{1}{x} - \frac{1}{2\sqrt{x-1}} = \frac{2\sqrt{x-1} - x}{2x\sqrt{x-1}} $$
ここで、$x > 1$ のとき分子について考えると
$$ x - 2\sqrt{x-1} = (x - 1) - 2\sqrt{x-1} + 1 = (\sqrt{x-1} - 1)^2 \geqq 0 $$
等号が成立するのは $\sqrt{x-1} = 1$、すなわち $x = 2$ のときのみである。
したがって、$x > 1$ かつ $x \neq 2$ において $2\sqrt{x-1} - x < 0$ となるため、$F'(x) < 0$ である。
よって、関数 $F(x)$ は $x \geqq 1$ において単調に減少する。
$F(2) = 0$ であるから、方程式 $F(x) = 0$ の解は $x = 2$ のみである。ゆえに、2曲線は点 $P$ 以外の共有点を持たないことが示された。
(3)
2曲線と $x$ 軸の交点の $x$ 座標をそれぞれ求める。
$f(x) = 0$ とすると
$$ 1 - \log 2 + \log x = 0 $$
$$ \log x = \log 2 - 1 = \log \frac{2}{e} $$
$$ x = \frac{2}{e} $$
$g(x) = 0$ とすると
$$ \sqrt{x-1} = 0 \iff x = 1 $$
$x \geqq 1$ の範囲で $f(x) \geqq g(x) \geqq 0$ であり、$f(x)$ と $g(x)$ のグラフは接点 $P$ までは $y \geqq 0$ の領域に存在する。
2曲線と $x$ 軸で囲まれた部分の面積 $S$ は、$y$ 軸に沿って積分すると計算が容易である。
$y = f(x)$ を $x$ について解くと
$$ y = 1 - \log 2 + \log x \implies \log x = y - 1 + \log 2 \implies x = 2e^{y-1} $$
$y = g(x)$ を $x$ について解くと
$$ y = \sqrt{x-1} \implies y^2 = x - 1 \implies x = y^2 + 1 $$
$0 \leqq y < 1$ において、$2e^{y-1} \leqq y^2 + 1$ が成り立つ($y=0$ のとき $\frac{2}{e} < 1$ であるため)。
よって、求める面積 $S$ は
$$ S = \int_{0}^{1} \left( (y^2 + 1) - 2e^{y-1} \right) dy $$
$$ = \left[ \frac{1}{3}y^3 + y - 2e^{y-1} \right]_{0}^{1} $$
$$ = \left( \frac{1}{3} + 1 - 2 \right) - (0 + 0 - 2e^{-1}) $$
$$ = -\frac{2}{3} + \frac{2}{e} $$
解法2
(3) の別解($x$ 積分を用いる方法)
面積 $S$ は、$x$ 軸、曲線 $y=f(x)$、$y=g(x)$ で囲まれた図形である。
交点の関係と (2) の結果から、求める面積 $S$ は $x = \frac{2}{e}$ から $x = 2$ までの $f(x)$ の定積分から、$x = 1$ から $x = 2$ までの $g(x)$ の定積分を引いたものとなる。
$$ S = \int_{\frac{2}{e}}^{2} f(x) dx - \int_{1}^{2} g(x) dx $$
それぞれの積分を計算する。
$$ \int f(x) dx = \int (1 - \log 2 + \log x) dx = (1 - \log 2)x + x \log x - x = x \log x - x \log 2 $$
$$ \int_{\frac{2}{e}}^{2} f(x) dx = \left[ x \log x - x \log 2 \right]_{\frac{2}{e}}^{2} $$
$$ = (2 \log 2 - 2 \log 2) - \left( \frac{2}{e} \log \frac{2}{e} - \frac{2}{e} \log 2 \right) $$
$$ = 0 - \frac{2}{e} (\log 2 - 1 - \log 2) = \frac{2}{e} $$
次に $g(x)$ の定積分を計算する。
$$ \int_{1}^{2} \sqrt{x-1} dx = \left[ \frac{2}{3}(x-1)^{\frac{3}{2}} \right]_{1}^{2} $$
$$ = \frac{2}{3} (1^{\frac{3}{2}} - 0) = \frac{2}{3} $$
したがって、求める面積 $S$ は
$$ S = \frac{2}{e} - \frac{2}{3} $$
解説
2つの曲線が接するという条件は、共有点の $x$ 座標を $t$ としたとき $f(t)=g(t)$ かつ $f'(t)=g'(t)$ が成り立つことである。これは微分法における最も基本的な典型処理である。
(2) は「ある点以外に共有点を持たない」ことを示すために、差の関数 $F(x)=f(x)-g(x)$ の増減を調べる。微分した式の符号判定で $(\sqrt{x-1}-1)^2 \geqq 0$ の形を作るのがポイントであり、これによって極値を持たず単調に減少することが保証される。
(3) の面積計算では、一般的に対数関数と無理関数が混ざった積分の計算量が大きくなりやすい。このような場合は、$y$ 積分を考える($x$ を $y$ の式で表して $y$ について積分する)ことで、部分積分を回避し計算を簡略化できることが多い。本問でも $y$ 積分を用いることで、積分区間を分けることなくスムーズに求められる。
答え
(1)
$a = 1 - \log 2$
点 $P$ の座標: $(2, 1)$
接線 $l$ の方程式: $y = \frac{1}{2}x$
(2)
$F(x) = f(x) - g(x)$ の単調減少性により示された。(詳細は解答参照)
(3)
$\frac{2}{e} - \frac{2}{3}$
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