東北大学 1996年 理系 第5問 解説

方針・初手
共通接線であるから、$C_1,\ C_2$ における接線の「傾き」と「切片」が一致する。 まず各曲線の接点における接線の方程式を書き、それらを比較して $s,\ t$ を求める。
(ii) では $a=2$ を代入して共通接線の式を具体化し、$C_1,\ C_2$ の交点を用いて面積を積分で求める。
解法1
(i)
$C_1:y=e^x$ において、$x=s$ での接線は
$$ y=e^s(x-s)+e^s=e^s x+e^s(1-s) $$
である。
また、$C_2:y=e^{ax}$ において、$x=t$ での接線は
$$ y=ae^{at}(x-t)+e^{at}=ae^{at}x+e^{at}(1-at) $$
である。
これらが同一直線 $l$ であるから、$x$ の係数と定数項がそれぞれ一致して
$$ e^s=ae^{at}, \qquad e^s(1-s)=e^{at}(1-at) $$
を得る。
第1式から
$$ s-at=\ln a $$
であり、第2式に $e^{at}=\dfrac{e^s}{a}$ を代入すると
$$ e^s(1-s)=\frac{e^s}{a}(1-at) $$
より
$$ a(1-s)=1-at $$
すなわち
$$ s-t=\frac{a-1}{a} $$
である。
したがって $s,\ t$ は
$$ \begin{cases} s-at=\ln a,\\ s-t=\dfrac{a-1}{a} \end{cases} $$
を満たす。これを解くと
$$ (a-1)t=\frac{a-1}{a}-\ln a $$
より
$$ t=\frac1a-\frac{\ln a}{a-1} $$
さらに
$$ s=t+\frac{a-1}{a} =1-\frac{\ln a}{a-1} $$
となる。
よって
$$ s=1-\frac{\ln a}{a-1}, \qquad t=\frac1a-\frac{\ln a}{a-1} $$
である。
(ii)
$a=2$ のとき
$$ s=1-\ln 2, \qquad t=\frac12-\ln 2 $$
である。
このとき共通接線 $l$ は、$C_1$ の接点 $x=s$ における接線として
$$ y=e^s(x-s)+e^s $$
であり、$e^s=e^{1-\ln2}=\dfrac e2$、また $1-s=\ln2$ であるから
$$ l:\ y=\frac e2(x+\ln2) $$
となる。
次に、$C_1$ と $C_2$ の交点を求める。 $e^x=e^{2x}$ より $x=0$ であり、交点は $(0,1)$ である。
また
$$ t=\frac12-\ln2<0,\qquad s=1-\ln2>0 $$
であるから、求める図形は
- $x=t$ から $x=0$ までは $C_2:y=e^{2x}$ と $l$
- $x=0$ から $x=s$ までは $C_1:y=e^x$ と $l$
にはさまれる部分である。
したがって面積を $S$ とすると
$$ S=\int_t^0\left(e^{2x}-\frac e2(x+\ln2)\right),dx +\int_0^s\left(e^x-\frac e2(x+\ln2)\right),dx $$
となる。
まず
$$ I_1=\int_t^0\left(e^{2x}-\frac e2(x+\ln2)\right),dx $$
とおくと
$$ I_1= \left[ \frac12 e^{2x}-\frac e4 x^2-\frac e2(\ln2)x \right]_t^0 $$
である。ここで $t=\dfrac12-\ln2$ を用いると
$$ I_1=\frac12-\frac e{16}-\frac e4(\ln2)^2 $$
を得る。
次に
$$ I_2=\int_0^s\left(e^x-\frac e2(x+\ln2)\right),dx $$
とおくと
$$ I_2= \left[ e^x-\frac e4 x^2-\frac e2(\ln2)x \right]_0^s $$
であり、$s=1-\ln2$ を用いて
$$ I_2=\frac e4-1+\frac e4(\ln2)^2 $$
となる。
よって
$$ \begin{aligned} S&=I_1+I_2\\ &=\left(\frac12-\frac e{16}-\frac e4(\ln2)^2\right) +\left(\frac e4-1+\frac e4(\ln2)^2\right)\\ &=\frac{3e}{16}-\frac12 \end{aligned} $$
である。したがって
$$ S=\frac{3e-8}{16} $$
となる。
解説
この問題の要点は、共通接線を「接点での微分係数」と「接線の式」の両面から扱うことである。 接線の傾きが一致するだけでは不十分で、同一直線であるためには切片も一致しなければならない。その2条件から $s,\ t$ が連立で決まる。
(ii) では、指数関数は上に凸であるため接線は常に曲線の下側にあり、図形の境界が
- $C_2$ の一部
- $C_1$ の一部
- 共通接線の線分
で構成されることを確認するのが重要である。 また、$C_1$ と $C_2$ の交点が $(0,1)$ であることから、積分区間を $[t,0]$ と $[0,s]$ に分けるのが自然である。
答え
(i)
$$ s=1-\frac{\ln a}{a-1}, \qquad t=\frac1a-\frac{\ln a}{a-1} $$
(ii)
$a=2$ のとき、$l,\ C_1,\ C_2$ で囲まれた図形の面積は
$$ \frac{3e-8}{16} $$
である。
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