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東京大学 1964年 文系 第5問 解説

数学2/微分法数学3/極限テーマ/接線・法線
東京大学 1964年 文系 第5問 解説

方針・初手

与えられた曲線の方程式を用いて点 $A$ の座標を求め、さらに点 $P$ における接線の方程式から点 $Q$ の座標を導出する。そこから線分の長さの2乗である $AQ^2$ および $AP^2$ を $x$ の式として表し、極限を計算する。

解法1

$f(x) = ax^3 + bx^2 + cx + d$ とおく。

曲線 $y = f(x)$ と $y$ 軸との交点 $A$ の座標は、 $x = 0$ を代入して

$$ A(0, d) $$

となる。

次に、$f(x)$ を $x$ で微分すると

$$ f'(x) = 3ax^2 + 2bx + c $$

となる。曲線上の点 $P(x, f(x))$ における接線の方程式は、接線上の点の座標を $(X, Y)$ とすると

$$ Y - f(x) = f'(x)(X - x) $$

$$ Y = (3ax^2 + 2bx + c)(X - x) + ax^3 + bx^2 + cx + d $$

と表せる。

この接線と $y$ 軸との交点 $Q$ は $X = 0$ のときの点であるから、その $Y$ 座標は

$$ \begin{aligned} Y &= -x(3ax^2 + 2bx + c) + ax^3 + bx^2 + cx + d \\ &= -3ax^3 - 2bx^2 - cx + ax^3 + bx^2 + cx + d \\ &= -2ax^3 - bx^2 + d \end{aligned} $$

となる。したがって、点 $Q$ の座標は

$$ Q(0, -2ax^3 - bx^2 + d) $$

である。

ここから、線分の長さの2乗である $AQ^2$ と $AP^2$ を計算する。

$$ \begin{aligned} AQ^2 &= (0 - 0)^2 + \{(-2ax^3 - bx^2 + d) - d\}^2 \\ &= (-2ax^3 - bx^2)^2 \\ &= x^4(2ax + b)^2 \end{aligned} $$

また、点 $P$ の座標は $P(x, ax^3 + bx^2 + cx + d)$ であるから

$$ \begin{aligned} AP^2 &= (x - 0)^2 + \{(ax^3 + bx^2 + cx + d) - d\}^2 \\ &= x^2 + (ax^3 + bx^2 + cx)^2 \\ &= x^2 + x^2(ax^2 + bx + c)^2 \\ &= x^2 \{ 1 + (ax^2 + bx + c)^2 \} \end{aligned} $$

となる。

求める極限の対象となる比 $\frac{AQ^2}{AP^2}$ は、$x \to 0$ および $x \to +\infty$ の極限を考えるため $x \neq 0$ としてよく

$$ \frac{AQ^2}{AP^2} = \frac{x^4(2ax + b)^2}{x^2 \{ 1 + (ax^2 + bx + c)^2 \}} = \frac{x^2(2ax + b)^2}{1 + (ax^2 + bx + c)^2} $$

と整理できる。

(i)

$\lim_{x \to 0} \frac{AQ^2}{AP^2}$ の計算

整理した式に対して $x \to 0$ の極限をとると、分子は $0^2 \cdot b^2 = 0$ に収束し、分母は $1 + c^2$ に収束する。任意の実数 $c$ に対して $1 + c^2 \neq 0$ であるから

$$ \lim_{x \to 0} \frac{AQ^2}{AP^2} = \frac{0}{1 + c^2} = 0 $$

となる。

(ii)

$\lim_{x \to +\infty} \frac{AQ^2}{AP^2}$ の計算

$x \to +\infty$ における極限を求めるため、分母分子から最高次の項をくくり出す。$x \neq 0$ として分母分子を $x^4$ で割る形に変形する。

$$ \begin{aligned} \frac{AQ^2}{AP^2} &= \frac{x^4(2a + \frac{b}{x})^2}{x^4 \{ \frac{1}{x^4} + (a + \frac{b}{x} + \frac{c}{x^2})^2 \}} \\ &= \frac{(2a + \frac{b}{x})^2}{\frac{1}{x^4} + (a + \frac{b}{x} + \frac{c}{x^2})^2} \end{aligned} $$

$x \to +\infty$ のとき、$\frac{1}{x^4}, \frac{b}{x}, \frac{c}{x^2}$ はすべて $0$ に収束する。また、$a \neq 0$ より分母の極限値は $a^2 \neq 0$ となる。よって

$$ \lim_{x \to +\infty} \frac{AQ^2}{AP^2} = \frac{(2a + 0)^2}{0 + (a + 0 + 0)^2} = \frac{4a^2}{a^2} = 4 $$

となる。

解説

微分の基本計算、2点間の距離の公式、および関数の極限の計算を組み合わせた標準的な問題である。 点 $Q$ の $Y$ 座標を求める際、接線の方程式に $X = 0$ を代入した後の計算ミスに注意したい。 極限計算については、$x \to 0$ の場合は不定形にならずそのまま代入すれば求まるが、$x \to +\infty$ の場合は $\frac{\infty}{\infty}$ の不定形となるため、分母の最高次(この場合は実質的に $x^4$)で分母分子を割る定石処理を行う必要がある。

答え

$\lim_{x \to 0} \frac{AQ^2}{AP^2} = 0$

$\lim_{x \to +\infty} \frac{AQ^2}{AP^2} = 4$

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