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東京大学 1966年 文系 第2問 解説

数学2/図形と式数学C/平面ベクトルテーマ/軌跡・領域テーマ/場合分け
東京大学 1966年 文系 第2問 解説

方針・初手

直線 $l$ の方程式を設定し、$l$ 上の任意の点が与えられた移動によって再び $l$ 上に移るという条件を立式する。直線が $y$ 軸と平行かどうかで場合分けして $y=mx+n$, $x=k$ と設定する方針と、一般形 $ax+by+c=0$ と設定して恒等式として処理する方針がある。ここでは前者を解法1、後者を解法2として示す。

解法1

直線 $l$ が $y$ 軸に平行であるか否かで場合分けを行う。

(i) 直線 $l$ が $y$ 軸に平行なとき

直線 $l$ の方程式を $x=k$ ($k$ は定数)とおく。 $l$ 上の任意の点は $(k, y)$ と表せる。この点が移動した後の座標は $(4k+2y, k+3y)$ となる。 この点が再び $l$ 上にあるための条件は、移動後の $x$ 座標が $k$ となることである。すなわち、

$$ 4k+2y = k $$

$$ 2y+3k = 0 $$

これが任意の $y$ について成り立つ必要があるが、これを満たす定数 $k$ は存在しない。 よって、直線 $l$ が $y$ 軸に平行になることはない。

(ii) 直線 $l$ が $y$ 軸に平行でないとき

直線 $l$ の方程式を $y=mx+n$ ($m, n$ は定数)とおく。 $l$ 上の任意の点は $(x, mx+n)$ と表せる。この点が移動した後の座標を $(X, Y)$ とすると、

$$ \begin{aligned} X &= 4x+2(mx+n) = (2m+4)x+2n \\ Y &= x+3(mx+n) = (3m+1)x+3n \end{aligned} $$

となる。点 $(X, Y)$ が再び直線 $l$ 上にあるから、$Y = mX+n$ が成り立つ。代入すると、

$$ (3m+1)x+3n = m\{(2m+4)x+2n\}+n $$

展開して整理すると、

$$ (2m^2+m-1)x + 2mn-2n = 0 $$

これが任意の $x$ について成り立つための条件は、

$$ \begin{cases} 2m^2+m-1 = 0 \\ 2n(m-1) = 0 \end{cases} $$

第1式より、

$$ (2m-1)(m+1) = 0 $$

ゆえに、$m = \frac{1}{2}, -1$ となる。

$m = \frac{1}{2}$ のとき、第2式に代入すると、

$$ 2n\left(\frac{1}{2}-1\right) = 0 \iff n = 0 $$

よって、求める直線の一つは $y = \frac{1}{2}x$ すなわち $x-2y = 0$ である。

$m = -1$ のとき、第2式に代入すると、

$$ 2n(-1-1) = 0 \iff -4n = 0 \iff n = 0 $$

よって、もう一つの求める直線は $y = -x$ すなわち $x+y = 0$ である。

以上より、求める直線は $x-2y=0$ と $x+y=0$ である。

解法2

直線 $l$ の方程式を $ax+by+c=0$ ($a, b, c$ は定数、$(a, b) \neq (0, 0)$)とおく。

$l$ 上の点 $(x, y)$ が移る点を $(X, Y) = (4x+2y, x+3y)$ とおく。 点 $(X, Y)$ も $l$ 上にあるから、

$$ a(4x+2y)+b(x+3y)+c = 0 $$

整理して、

$$ (4a+b)x+(2a+3b)y+c = 0 $$

が成り立つ。点 $(x, y)$ が $ax+by+c=0$ を満たすとき、常に $(4a+b)x+(2a+3b)y+c = 0$ が成り立つので、定数 $k$ を用いて

$$ (4a+b)x+(2a+3b)y+c = k(ax+by+c) $$

という恒等式が成立する。したがって、係数を比較して、

$$ \begin{cases} 4a+b = ka \\ 2a+3b = kb \\ c = kc \end{cases} $$

第3式より、$c(k-1)=0$ であるから、$c=0$ または $k=1$ である。

(i)

$k=1$ のとき

第1式と第2式はそれぞれ、

$$ 3a+b=0, \quad 2a+2b=0 $$

となる。これを解くと $a=0, b=0$ となるが、これは $(a, b) \neq (0, 0)$ に反する。よって不適。

(ii)

$c=0$ のとき

$k \neq 1$ であるから、第1式、第2式より $k$ を消去する。 $a=0$ のとき、第1式より $b=0$ となり不適であるから、$a \neq 0$ としても一般性を失わない。

第1式より $k = \frac{4a+b}{a}$ であり、これを第2式に代入すると、

$$ 2a+3b = \frac{4a+b}{a} \cdot b $$

両辺に $a$ を掛けて整理すると、

$$ 2a^2+3ab = 4ab+b^2 $$

$$ 2a^2-ab-b^2 = 0 $$

$$ (2a+b)(a-b) = 0 $$

よって、$b = -2a$ または $b = a$ である。

$b = -2a$ のとき、$c=0$ とあわせて直線の方程式に代入すると、

$$ ax-2ay = 0 \iff x-2y = 0 $$

$b = a$ のとき、$c=0$ とあわせて直線の方程式に代入すると、

$$ ax+ay = 0 \iff x+y = 0 $$

以上より、求める直線は $x-2y=0$ と $x+y=0$ である。

解説

与えられた点の移動は、行列を用いて表すとベクトルと行列の積で記述できる1次変換である。この問題は、その変換によって自分自身に移る「不変直線」を求める問題に他ならない。

解法1のように、$y=mx+n$ とおいて $x$ の恒等式に帰着させるのが、高校数学としては最も確実で考えやすい手法である。その際、傾きが定義できない $x=k$ の場合を忘れないように注意が必要である。 解法2のように $ax+by+c=0$ とおく方法は、場合分けを減らせるように見えるが、2直線が一致する条件として比例定数 $k$ を持ち出す必要があり、論理の展開にやや注意を要する。

答え

$$ x-2y=0, \quad x+y=0 $$

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