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東京大学 1984年 文系 第2問 解説

数学2/図形と式テーマ/軌跡・領域テーマ/面積・体積
東京大学 1984年 文系 第2問 解説

方針・初手

点 $P$ の座標を $(x, y)$ とおき、問題文の条件 (1)、(2)、(3) をそれぞれ $x, y$ の不等式として立式する。 領域からの「最短距離」という言葉の意味を正確に捉えることが第一歩となる。円からの最短距離は「中心からの距離 $-$ 半径」、直線(半平面)からの最短距離は「垂線の長さ」として計算できる。不等式が得られたら、境界線となる図形の交点を求め、図形的に面積を計算する。

解法1

点 $P$ の座標を $(x, y)$ とする。

$A$ の領土は $x^2 + (y-7)^2 \leqq 4$ であり、これは中心 $C(0, 7)$、半径 $2$ の円の内部および周である。 $P$ が $A$ の領土の外部にあるとき、$P$ と $A$ の領土との間の最短距離 $d_A$ は、$P$ と円の中心 $C$ との距離から半径 $2$ を引いたものであるから、次のように表される。

$$ d_A = \sqrt{x^2 + (y-7)^2} - 2 $$

$B$ の領土は $y \leqq 0$ であり、これは $x$ 軸およびその下側の領域である。 $P$ が $B$ の領土の外部(すなわち $y > 0$)にあるとき、$P$ と $B$ の領土との間の最短距離 $d_B$ は、$P$ から $x$ 軸に下ろした垂線の長さであるから、次のように表される。

$$ d_B = y $$

次に、$A$ の領海となる条件 (1)、(2)、(3) を不等式で表す。

(1)

$P$ は $A, B$ いずれの領土にも含まれないので、$P$ は $A$ の外部かつ $B$ の外部にある。

$$ x^2 + (y-7)^2 > 4 \quad \text{かつ} \quad y > 0 $$

(2)

$d_A < 4$ であるから、

$$ \sqrt{x^2 + (y-7)^2} - 2 < 4 $$

$$ \sqrt{x^2 + (y-7)^2} < 6 $$

両辺を2乗して、

$$ x^2 + (y-7)^2 < 36 $$

(3)

$d_A < d_B$ であるから、

$$ \sqrt{x^2 + (y-7)^2} - 2 < y $$

$$ \sqrt{x^2 + (y-7)^2} < y + 2 $$

条件 (1) より $\sqrt{x^2 + (y-7)^2} > 2$ であり、$y > 0$ であるから、不等式の両辺はともに正である。両辺を2乗すると、

$$ x^2 + (y-7)^2 < (y+2)^2 $$

$$ x^2 + y^2 - 14y + 49 < y^2 + 4y + 4 $$

$$ x^2 - 18y + 45 < 0 $$

$$ y > \frac{1}{18}x^2 + \frac{5}{2} $$

ここで、$y > \frac{1}{18}x^2 + \frac{5}{2} \geqq \frac{5}{2} > 0$ であるため、条件 (1) の $y > 0$ は常に満たされる。 したがって、$A$ の領海が満たすべき不等式は以下のようになる。

$$ \begin{cases} x^2 + (y-7)^2 > 4 \\ x^2 + (y-7)^2 < 36 \\ y > \frac{1}{18}x^2 + \frac{5}{2} \end{cases} $$

この領域を図示するために、境界線の位置関係を調べる。 円 $x^2 + (y-7)^2 = 36$ と放物線 $y = \frac{1}{18}x^2 + \frac{5}{2}$ の交点を求める。 放物線の式を変形した $x^2 = 18y - 45$ を円の方程式に代入して、

$$ (18y - 45) + (y-7)^2 = 36 $$

$$ y^2 + 4y - 32 = 0 $$

$$ (y+8)(y-4) = 0 $$

$y \geqq \frac{5}{2}$ より、$y = 4$ である。 $y = 4$ を代入すると $x^2 = 18 \cdot 4 - 45 = 27$ となり、$x = \pm 3\sqrt{3}$ を得る。 よって、2つの境界線の交点は $P(3\sqrt{3}, 4)$、$Q(-3\sqrt{3}, 4)$ である。

また、円 $x^2 + (y-7)^2 = 4$ と放物線の位置関係を確認する。 $x^2 = 18y - 45$ を代入すると、

$$ (18y - 45) + (y-7)^2 = 4 $$

$$ y^2 + 4y = 0 $$

$$ y(y+4) = 0 $$

これを満たす $y$ は $0, -4$ であるが、いずれも $y \geqq \frac{5}{2}$ を満たさない。したがって、円 $x^2 + (y-7)^2 = 4$ は完全に放物線の上側(領域内)に含まれている。

以上から、求める面積 $S$ は、連立不等式 $x^2 + (y-7)^2 < 36$ かつ $y > \frac{1}{18}x^2 + \frac{5}{2}$ が表す領域の面積 $S_1$ から、円 $x^2 + (y-7)^2 \leqq 4$ の面積を除いたものである。

$S_1$ を直線 $y = 4$ で上下に分割して計算する。 上側の領域は、円 $x^2 + (y-7)^2 < 36$ のうち $y \geqq 4$ の部分である。 円の中心を $C(0, 7)$ とすると、ベクトル $\vec{CP}$ と $\vec{CQ}$ はそれぞれ、

$$ \vec{CP} = (3\sqrt{3}, -3), \quad \vec{CQ} = (-3\sqrt{3}, -3) $$

であるから、

$$ \cos \angle PCQ = \frac{\vec{CP} \cdot \vec{CQ}}{|\vec{CP}||\vec{CQ}|} = \frac{-27 + 9}{6 \times 6} = -\frac{1}{2} $$

ゆえに $\angle PCQ = \frac{2}{3}\pi$ ($120^\circ$) である。 したがって、上側の領域の面積 $S_{upper}$ は、中心角 $2\pi - \frac{2}{3}\pi = \frac{4}{3}\pi$ の扇形の面積と、$\triangle CPQ$ の面積の和になる。

$$ \text{扇形の面積} = \frac{1}{2} \cdot 6^2 \cdot \frac{4}{3}\pi = 24\pi $$

$$ \triangle CPQ \text{の面積} = \frac{1}{2} \cdot (3\sqrt{3} - (-3\sqrt{3})) \cdot 3 = 9\sqrt{3} $$

$$ S_{upper} = 24\pi + 9\sqrt{3} $$

下側の領域の面積 $S_{lower}$ は、放物線と直線 $y = 4$ で囲まれた部分の面積である。

$$ \begin{aligned} S_{lower} &= \int_{-3\sqrt{3}}^{3\sqrt{3}} \left\{ 4 - \left( \frac{1}{18}x^2 + \frac{5}{2} \right) \right\} dx \\ &= -\frac{1}{18} \int_{-3\sqrt{3}}^{3\sqrt{3}} (x^2 - 27) dx \\ &= -\frac{1}{18} \int_{-3\sqrt{3}}^{3\sqrt{3}} (x - 3\sqrt{3})(x + 3\sqrt{3}) dx \\ &= \left( -\frac{1}{18} \right) \cdot \left( -\frac{1}{6} \right) \cdot (3\sqrt{3} - (-3\sqrt{3}))^3 \\ &= \frac{1}{108} \cdot (6\sqrt{3})^3 \\ &= \frac{1}{108} \cdot 216 \cdot 3\sqrt{3} \\ &= 6\sqrt{3} \end{aligned} $$

よって、$S_1 = S_{upper} + S_{lower} = 24\pi + 15\sqrt{3}$ である。

最後に、除くべき $A$ の領土(円)の面積は $\pi \cdot 2^2 = 4\pi$ であるから、求める面積 $S$ は、

$$ S = S_1 - 4\pi = (24\pi + 15\sqrt{3}) - 4\pi = 20\pi + 15\sqrt{3} $$

解説

「図形からの最短距離」を数式に翻訳する定石問題である。円に対する最短距離は「中心からの距離 $-$ 半径」となることを正確に立式できれば、最終的に円と放物線に囲まれた領域の面積計算に帰着する。 面積計算においては、放物線と円の交点を結ぶ水平線($y=4$)を境界として領域を上下に分割するのが見通しが良い。上側は「扇形と三角形の和」、下側は「定積分($\frac{1}{6}$ 公式の利用)」として処理するアプローチは、計算ミスを防ぐうえで極めて有効である。

答え

$$ 20\pi + 15\sqrt{3} $$

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