東京大学 1989年 文系 第2問 解説

方針・初手
2つの放物線 $C_1, C_2$ の共通接線を求める問題である。 (1) では、それぞれの放物線上の点における接線の方程式を立式し、それらが一致するという条件(係数比較)から、接点の $x$ 座標に関する2次方程式を作成する。その方程式が常に異なる2つの実数解をもつことを判別式を用いて示す。 (2) では、(1)で得られた2次方程式の解と係数の関係を利用して、4つの接点の座標を調べる。接点が作る四角形が $y$ 軸に平行な2辺をもつ平行四辺形になることに着目し、面積を計算する。最終的な最小値は、相加平均と相乗平均の大小関係を用いて求める。
解法1
(1)
$C_1: y = x^2 + \frac{1}{a^2}$ について、$y' = 2x$ であるから、$C_1$ 上の点 $\left(t, t^2 + \frac{1}{a^2}\right)$ における接線の方程式は、
$$ y = 2t(x - t) + t^2 + \frac{1}{a^2} = 2tx - t^2 + \frac{1}{a^2} $$
これを直線 $l$ とおく。 また、$C_2: y = -(x-a)^2$ について、$y' = -2(x-a)$ であるから、$C_2$ 上の点 $\left(s, -(s-a)^2\right)$ における接線の方程式は、
$$ y = -2(s-a)(x - s) - (s-a)^2 = -2(s-a)x + s^2 - a^2 $$
これを直線 $m$ とおく。 直線 $l$ と直線 $m$ が一致するとき、この直線は $C_1, C_2$ の共通接線となる。各係数を比較して、
$$ \begin{cases} 2t = -2(s-a) \\ -t^2 + \frac{1}{a^2} = s^2 - a^2 \end{cases} $$
第1式より $s = a - t$ となる。これを第2式に代入して整理する。
$$ -t^2 + \frac{1}{a^2} = (a-t)^2 - a^2 $$
$$ -t^2 + \frac{1}{a^2} = t^2 - 2at $$
$$ 2t^2 - 2at - \frac{1}{a^2} = 0 \quad \cdots \text{①} $$
この $t$ についての2次方程式①の判別式を $D$ とすると、
$$ \frac{D}{4} = (-a)^2 - 2 \cdot \left(-\frac{1}{a^2}\right) = a^2 + \frac{2}{a^2} $$
$a > 0$ より $a^2 > 0$ かつ $\frac{2}{a^2} > 0$ であるから、$\frac{D}{4} > 0$ となる。 したがって、2次方程式①は常につねに異なる2つの実数解をもつ。 $t$ の値が1つ定まると $s$ の値もただ1つ定まり、共通接線が1本決まるため、$C_1, C_2$ の両方に接する直線はつねに2本存在することが示された。
(2)
(1) の2次方程式①の異なる2つの実数解を $\alpha, \beta$ ($\alpha < \beta$) とおく。解と係数の関係より、
$$ \alpha + \beta = a, \quad \alpha\beta = -\frac{1}{2a^2} $$
$t = \alpha, \beta$ に対応する $C_1$ 上の接点をそれぞれ $P_1, P_2$ とすると、各座標は以下のようになる。
$$ P_1\left(\alpha, \alpha^2 + \frac{1}{a^2}\right), \quad P_2\left(\beta, \beta^2 + \frac{1}{a^2}\right) $$
また、$s = a - t$ の関係から、これらに対応する $C_2$ 上の接点をそれぞれ $Q_1, Q_2$ とする。 $Q_1$ の $x$ 座標は $a - \alpha = \beta$ であり、$Q_1$ は $C_2$ 上の点なので $y$ 座標は $-(\beta - a)^2 = -(-\alpha)^2 = -\alpha^2$ となる。よって、$Q_1(\beta, -\alpha^2)$。 同様に、$Q_2$ の $x$ 座標は $a - \beta = \alpha$ であり、$y$ 座標は $-(\alpha - a)^2 = -(-\beta)^2 = -\beta^2$ となる。よって、$Q_2(\alpha, -\beta^2)$。
以上より、4つの接点は $P_1, Q_2, Q_1, P_2$ であり、これらが作る四角形は直線 $x = \alpha$ 上の線分 $P_1 Q_2$ と、直線 $x = \beta$ 上の線分 $Q_1 P_2$ を向かい合う辺にもつ四角形 $P_1 P_2 Q_1 Q_2$ である。 各線分の長さを求めると、
$$ P_1 Q_2 = \left(\alpha^2 + \frac{1}{a^2}\right) - (-\beta^2) = \alpha^2 + \beta^2 + \frac{1}{a^2} $$
$$ Q_1 P_2 = \left(\beta^2 + \frac{1}{a^2}\right) - (-\alpha^2) = \alpha^2 + \beta^2 + \frac{1}{a^2} $$
となり、2つの線分は $y$ 軸に平行で長さが等しいため、この四角形は平行四辺形である。 この平行四辺形の面積 $S(a)$ は、底辺を $P_1 Q_2$、高さを2直線の間隔 $\beta - \alpha$ として求められる。
$$ S(a) = \left(\alpha^2 + \beta^2 + \frac{1}{a^2}\right)(\beta - \alpha) $$
ここで、解と係数の関係を用いて式を変形する。
$$ \alpha^2 + \beta^2 = (\alpha + \beta)^2 - 2\alpha\beta = a^2 - 2\left(-\frac{1}{2a^2}\right) = a^2 + \frac{1}{a^2} $$
よって、底辺の長さは $a^2 + \frac{2}{a^2}$ となる。 また、$\beta - \alpha > 0$ より、
$$ (\beta - \alpha)^2 = (\alpha + \beta)^2 - 4\alpha\beta = a^2 - 4\left(-\frac{1}{2a^2}\right) = a^2 + \frac{2}{a^2} $$
$$ \beta - \alpha = \sqrt{a^2 + \frac{2}{a^2}} $$
したがって、面積 $S(a)$ は $a$ を用いて次のように表される。
$$ S(a) = \left(a^2 + \frac{2}{a^2}\right)\sqrt{a^2 + \frac{2}{a^2}} = \left(a^2 + \frac{2}{a^2}\right)^{\frac{3}{2}} $$
次に、$S(a)$ の最小値を求める。 $a > 0$ より $a^2 > 0$ かつ $\frac{2}{a^2} > 0$ であるから、相加平均と相乗平均の大小関係より、
$$ a^2 + \frac{2}{a^2} \geqq 2\sqrt{a^2 \cdot \frac{2}{a^2}} = 2\sqrt{2} $$
等号が成立するのは $a^2 = \frac{2}{a^2}$、すなわち $a^4 = 2$ のときである。$a > 0$ より $a = \sqrt[4]{2}$ のときに等号を満たす実数 $a$ が存在する。 関数 $f(x) = x^{\frac{3}{2}}$ は単調増加であるため、$a^2 + \frac{2}{a^2}$ が最小となるとき $S(a)$ も最小となる。 ゆえに、$S(a)$ の最小値は、
$$ (2\sqrt{2})^{\frac{3}{2}} = (\sqrt{8})^{\frac{3}{2}} = (8^{\frac{1}{2}})^{\frac{3}{2}} = 8^{\frac{3}{4}} = (2^3)^{\frac{3}{4}} = 2^{\frac{9}{4}} = 2^2 \cdot 2^{\frac{1}{4}} = 4\sqrt[4]{2} $$
解説
共通接線を求めるための基本方針として、「それぞれの放物線上の接線を作って係数比較をする方法」と、「一方の接線が他方と接する(重解をもつ)条件を利用する方法」の2つがある。本問ではどちらの方針でも解けるが、(2)で両方の接点の座標が必要になるため、あらかじめ両方の接点 $t, s$ の関係式 $s = a - t$ が直接得られる係数比較の方法を選択する方が、その後の見通しが良くなる。
面積の計算においては、図形的な特徴を把握することがポイントだ。4つの接点の座標を冷静に並べることで、四角形が $y$ 軸に平行な2辺をもつことが見抜ければ、面倒なクロス積や点と直線の距離の公式を使わずに、単純な底辺 $\times$ 高さの計算に持ち込むことができる。
最後は積が定数になる式の和の最小値となるため、相加平均と相乗平均の大小関係を用いる典型的な処理となる。等号成立条件の確認を忘れないようにしたい。
答え
(1)
略(解法1の証明を参照)
(2)
最小値は $4\sqrt[4]{2}$ ($a = \sqrt[4]{2}$ のとき)
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