東京大学 1964年 理系 第6問 解説

方針・初手
与えられた2つの条件から、$a, b$ の満たすべき関係式と取りうる値の範囲を求める。 条件(1)の $f(1) = 4$ を用いて $b$ を $a$ で表し、$f(x)$ を $a$ のみを含む式にする。 次に、条件(2)の $x \geqq 0$ のとき $f(x) \geqq 0$ を用いて $a$ の値の範囲を決定する。$f(x) = x(x^2 + \dots)$ の形に因数分解できることに着目し、2次関数の問題に帰着させる。 最後に、定積分 $\int_0^1 f(x) dx$ を計算して $a$ の関数として表し、求めた範囲内での最大値・最小値を与える $a, b$ の値を求める。
解法1
条件(1)より $f(1) = 4$ であるから、
$$ 1^3 + a \cdot 1^2 + b \cdot 1 = 4 $$
$$ 1 + a + b = 4 \quad \therefore \quad b = 3 - a $$
これを $f(x)$ に代入して整理する。
$$ f(x) = x^3 + ax^2 + (3-a)x = x(x^2 + ax + 3 - a) $$
条件(2)より、$x \geqq 0$ のとき $f(x) \geqq 0$ が成り立つ。 $x \geqq 0$ のとき常に $x \geqq 0$ であるから、条件(2)が成り立つためには、$x \geqq 0$ のとき常に
$$ x^2 + ax + 3 - a \geqq 0 $$
が成り立つことが必要十分である。 $g(x) = x^2 + ax + 3 - a$ とおく。
$$ g(x) = \left( x + \frac{a}{2} \right)^2 - \frac{a^2}{4} - a + 3 $$
放物線 $y = g(x)$ の軸は $x = -\frac{a}{2}$ である。$x \geqq 0$ における $g(x)$ の最小値が $0$ 以上となるような $a$ の条件を求める。
(i) 軸が $x < 0$、すなわち $-\frac{a}{2} < 0$ ($a > 0$) のとき
$x \geqq 0$ において $g(x)$ は単調に増加する。したがって、最小値は $g(0)$ である。
$$ g(0) = 3 - a \geqq 0 \quad \therefore \quad a \leqq 3 $$
場合分けの条件 $a > 0$ と合わせて、
$$ 0 < a \leqq 3 $$
(ii) 軸が $x \geqq 0$、すなわち $-\frac{a}{2} \geqq 0$ ($a \leqq 0$) のとき
$x \geqq 0$ における $g(x)$ の最小値は頂点の $y$ 座標 $g\left(-\frac{a}{2}\right)$ である。
$$ g\left(-\frac{a}{2}\right) = -\frac{a^2}{4} - a + 3 \geqq 0 $$
両辺に $-4$ を掛けて整理する。
$$ a^2 + 4a - 12 \leqq 0 $$
$$ (a+6)(a-2) \leqq 0 \quad \therefore \quad -6 \leqq a \leqq 2 $$
場合分けの条件 $a \leqq 0$ と合わせて、
$$ -6 \leqq a \leqq 0 $$
(i), (ii) より、$a$ の値の範囲は
$$ -6 \leqq a \leqq 3 $$
次に、与えられた定積分を $I$ とおいて計算する。
$$ \begin{aligned} I &= \int_0^1 f(x) dx \\ &= \int_0^1 (x^3 + ax^2 + bx) dx \\ &= \left[ \frac{1}{4}x^4 + \frac{a}{3}x^3 + \frac{b}{2}x^2 \right]_0^1 \\ &= \frac{1}{4} + \frac{a}{3} + \frac{b}{2} \end{aligned} $$
これに $b = 3 - a$ を代入する。
$$ \begin{aligned} I &= \frac{1}{4} + \frac{a}{3} + \frac{3 - a}{2} \\ &= \frac{1}{4} + \frac{a}{3} + \frac{3}{2} - \frac{a}{2} \\ &= -\frac{1}{6}a + \frac{7}{4} \end{aligned} $$
$I$ は $a$ についての1次関数であり、傾きが負であるから、$a$ が最小のときに $I$ は最大となり、$a$ が最大のときに $I$ は最小となる。 $a$ の変域は $-6 \leqq a \leqq 3$ であるから、
$I$ を最大にするのは $a = -6$ のときである。このとき、$b = 3 - (-6) = 9$ である。 $I$ を最小にするのは $a = 3$ のときである。このとき、$b = 3 - 3 = 0$ である。
解説
条件から文字を減らし、残った文字の変域を求め、その変域上で目的の関数の最大・最小を考えるという、多変数関数の最大・最小問題の定石に忠実に従う問題である。 条件(2)の処理において、$f(x)$ が $x=0$ で $0$ になることに気づき、$f(x) = x(2次式)$ と因数分解して、2次関数の区間における最小値の問題に帰着させることがポイントである。2次関数の軸の位置による場合分けを正確に行う必要がある。 最後に定積分の計算で得られる式は単純な1次関数となるため、変域の両端がそれぞれ最大・最小を与える。
答え
最大にする値:$a = -6, \ b = 9$ 最小にする値:$a = 3, \ b = 0$
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